闇に香る嘘

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1042
レビュー : 192
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190947

作品紹介・あらすじ

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

選考委員の有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛し、選考会では満場一致で受賞が決定。
第60回を迎える記念の年にふさわしい、江戸川乱歩賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 第60回江戸川乱歩賞受賞作品。
    選考委員の絶賛を浴びたと言うこともあり大いに期待して読む。
    うーむ、正直いってそんなに絶賛するほどの作品なのだろうか。
    いやね、面白く読めましたよ。
    特に後半なんて明日に障ると思いつつ寝る間を惜しんで読んじゃったもの。

    40代で失明した盲目の男性が主人公。
    戦後、満州から引き揚げてきたのだがその際に兄と生き別れになっている。
    その兄が残留孤児として帰国し20年以上もの月日がたっていた。
    ところがあることをきっかけにその兄が本物の兄かどうか不審に思うようになった。
    真実を知るために動き出した彼には様々な困難が待ち受け時には自分の命さえ危機にさらされてしまう。
    果たして兄は、あの兄なのか・・・。

    全盲の人がどんな生活をしているのかこの本を読むと良く分かる。
    描写がリアルで(果たして本当にリアルか分からないが)、読んでいる私まで暗闇に包まれたような重苦しい閉塞感が襲ってくる。
    さらに中国残留孤児の現状がこんなに厳しいものとは思いもしなかった。
    テレビで残留孤児たちの肉親捜しが行われていたのは遠い昔の記憶でしかなかったが、今なお当事者たちは様々は問題を抱えているのだ。
    それにしても政府の対応もひどい。

    こういった社会的背景の描写は緻密な取材に基づいているのだろう。
    ただ、肝心の人物描写がいかんせん浅い。
    この辺りが良くなったら物語に深みが出るのにと思うと非常に惜しい。
    最後の大団円のオチもちょっとね。
    さほどミステリーを読まない私がこんなこと言うのもなんですが。

    でもデビュー作でこれだけ読ませるのは手放しですごい。
    今後に期待したいと思います。

  • どういう時人は嘘をつくのだろう。自分のため?誰かのため?許されない嘘、優しい嘘、悲しい嘘…。人を疑うことは簡単で信じることは難しい。全盲の和久なら尚更だろう。そんな和久を襲う数々の事件。
    中国残留孤児の兄への偽者疑惑、送られてくる謎の俳句、本物の兄を名乗る男の出現、抜かれた自宅の電話線、腎臓移植を待つ孫娘の失踪。和久は闇の中から真実を追う。結末でわかる嘘。それを知った時和久の心は…。
    人間の絆とは何かを考えさせられた、江戸川乱歩賞受賞作品。

  • これは参った!
    なんかサスペンスというよりも中国残留孤児の話だけが
    したかったんちゃうんって思っていたら
    最後のどんでん返しでうやむやが全部つながるという!!
    これぞ小説!

  • 帯文で興味を持って購入。
    27年間兄だと信じていた人物は何者なのかという謎を全盲の弟が追う、という設定。
    全編に漂う閉塞感、不安感はさすがの筆力で、読みながら「見えない」感覚をずっと味わっていた。こんなに不安で閉じ込められた感じがするものなのかと。
    残留孤児の問題もそうだが、満州からの引き揚げの話はとても重かった。私の父も引き揚げ者なのだ。かつて一度だけ話をしてくれたが、とても苦しそうだった。
    ちょうど敗戦記念日の今日この作品を読んだことになにかしらの意味があるようにも思う。
    疑念や疑惑が次々に生まれては反転し、いったいどういうことなのかという興味に引っ張られて一気に読んでしまった。たった一行ですべてが変わる、と選評にもあるが確かにそうだった。伏線も見事に回収されていて、途中で浮かぶ違和感がきちんと解決されていて気持ちがいい。ラストはじんわりとあたたかいものが胸を満たす。
    大変読み応えのある作品だった。

  • 初めて下村さんの本を読みました。面白かったです。
    全盲の主人公が生きる闇に包まれた世界がありありと伝わってきました。
    見えないということで、何を信じればわからなくなる描写に、最後まではらはらさせられました。
    隠されていた真実が終盤に明らかになるのですが、驚きました。タイトルの、嘘の意味。思い返すと、伏線もたくさん張られていたのだな。
    この本も、登場人物たちのその後が幸せだったらいい、と思います。
    腎不全で血液透析を受けている身内がいるので、その描写は辛かったです。

  • この作品は主人公が盲目であるため、終始ドキドキハラハラしながら読めることが最大の魅力です!
    他のミステリー小説では味わえないなんとも言えぬ怖さがありますね。もちろん伏線の回収もすごいとしか言えません!
    「闇に香る嘘」一体何の嘘でしょう?
    最後には感動して、泣ける物語でもあります。
    さらに、あの有栖川有栖先生が「絶対評価A」とまで評価して下さっているので、見られずにはいられますか?
    まだ未読の方は是非ご覧になって下さい!

  • 全盲の主人公がある事がきっかけで、中国残留孤児だった兄が、日本に戻って来る際偽物にすり替わったのでは、と真実を探り出す話です。なので、中国残留孤児の事や、満州での出来事など、ミステリーを読んでたのに戦争の本を読んでる錯覚になる部分があります。中国残留孤児がキーになってるので仕方ないですが、孫にせがまれたとは言えこのまま話したの?と懐疑的になる部分も。ミステリーの部分は主人公が全盲ゆえのスリルがあり楽しかったです。ミステリー半分、戦争物半分の1冊でした。

  • 40代で視力を失った村上。彼は満州からの引き揚げ組であり、ロシア軍から逃げる最中に兄とはぐれていた。しかし、残留孤児として中国人に育てられた兄は、村上が失明した後に帰国し、母と同居する。村上は孫娘のための腎臓移植を兄に頼みに行くが断られ、「兄は本物の兄なのか」という疑問を持ち始めるー。

    最初から最後までとてもスリルがあり、一気に読んでしまった。結末も予想できず、好きな感じのどんでん返し。残留孤児や満州引き揚げについてこれまで知らなかったが、予想以上の過酷さだった。

  • ミステリーらしすぎて、ネタからいろんな設定がされたように感じられた。
    謎解きはすごいんやろけど、物語には入り込めんかった。主人公も気難しいし、イヤミスに近い感じ。ってことで星3つ。
    ラストがいい話になったのが救いかな。

  • 盲目の高齢な主人公という自分と大きく環境の異なる主人公ではあったけど、物語にぐんぐん引き込まれ、終盤に向け自然にスピードアップしていく。
    読み進めるうちに主人公と一緒に疑心暗鬼になっていき、胸がギュッとなる。ラストに向けて一気に収束していく展開、すごかった。
    家族のつながり、優しさと思いやりにほっとしました。良かった。。

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著者プロフィール

1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。翌年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補に、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補となった。他の作品に『難民調査官』『サイレント・マイノリティ 難民調査官』の「難民調査官」シリーズ、『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『黙過』がある。

「2018年 『失踪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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