闇に香る嘘

著者 :
  • 講談社
3.63
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本棚登録 : 1211
感想 : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190947

作品紹介・あらすじ

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

選考委員の有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛し、選考会では満場一致で受賞が決定。
第60回を迎える記念の年にふさわしい、江戸川乱歩賞受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • 第60回江戸川乱歩賞受賞作品。
    選考委員の絶賛を浴びたと言うこともあり大いに期待して読む。
    うーむ、正直いってそんなに絶賛するほどの作品なのだろうか。
    いやね、面白く読めましたよ。
    特に後半なんて明日に障ると思いつつ寝る間を惜しんで読んじゃったもの。

    40代で失明した盲目の男性が主人公。
    戦後、満州から引き揚げてきたのだがその際に兄と生き別れになっている。
    その兄が残留孤児として帰国し20年以上もの月日がたっていた。
    ところがあることをきっかけにその兄が本物の兄かどうか不審に思うようになった。
    真実を知るために動き出した彼には様々な困難が待ち受け時には自分の命さえ危機にさらされてしまう。
    果たして兄は、あの兄なのか・・・。

    全盲の人がどんな生活をしているのかこの本を読むと良く分かる。
    描写がリアルで(果たして本当にリアルか分からないが)、読んでいる私まで暗闇に包まれたような重苦しい閉塞感が襲ってくる。
    さらに中国残留孤児の現状がこんなに厳しいものとは思いもしなかった。
    テレビで残留孤児たちの肉親捜しが行われていたのは遠い昔の記憶でしかなかったが、今なお当事者たちは様々は問題を抱えているのだ。
    それにしても政府の対応もひどい。

    こういった社会的背景の描写は緻密な取材に基づいているのだろう。
    ただ、肝心の人物描写がいかんせん浅い。
    この辺りが良くなったら物語に深みが出るのにと思うと非常に惜しい。
    最後の大団円のオチもちょっとね。
    さほどミステリーを読まない私がこんなこと言うのもなんですが。

    でもデビュー作でこれだけ読ませるのは手放しですごい。
    今後に期待したいと思います。

  • 中国残留孤児の「血縁と絆の対立」をテーマにしたミステリーだった。中国残留孤児の主人公の和久が自分の兄が本当の兄なのかを疑問に思う。和久は全盲の視覚障害者であり、真実を知るために動く。和久に対して母・兄は調べるな!と伝えられる。また、満州で一緒だった知人等に会っても真相にたどり着けない。和久の危険な時に必ず現れる「無言の影」、なぜ影が助けたのか?この奥深い真相には、戦争によって人生を狂わされたこの時代の不条理に落胆する。自分がこれまで知らなかった戦争の史実、兄弟愛、生体腎移植の問題を含む壮絶な内容だった。

  • 2020/07/14読了
    #このミス作品34冊目

    満州で生き別れとなり残留孤児として
    帰国した兄に対する偽物疑惑。
    全盲の主人公が正に手探りで捜査する。
    とても骨太なストーリーに加え
    親子兄弟の強い絆に感動する。

  • これは参った!
    なんかサスペンスというよりも中国残留孤児の話だけが
    したかったんちゃうんって思っていたら
    最後のどんでん返しでうやむやが全部つながるという!!
    これぞ小説!

  • 帯文で興味を持って購入。
    27年間兄だと信じていた人物は何者なのかという謎を全盲の弟が追う、という設定。
    全編に漂う閉塞感、不安感はさすがの筆力で、読みながら「見えない」感覚をずっと味わっていた。こんなに不安で閉じ込められた感じがするものなのかと。
    残留孤児の問題もそうだが、満州からの引き揚げの話はとても重かった。私の父も引き揚げ者なのだ。かつて一度だけ話をしてくれたが、とても苦しそうだった。
    ちょうど敗戦記念日の今日この作品を読んだことになにかしらの意味があるようにも思う。
    疑念や疑惑が次々に生まれては反転し、いったいどういうことなのかという興味に引っ張られて一気に読んでしまった。たった一行ですべてが変わる、と選評にもあるが確かにそうだった。伏線も見事に回収されていて、途中で浮かぶ違和感がきちんと解決されていて気持ちがいい。ラストはじんわりとあたたかいものが胸を満たす。
    大変読み応えのある作品だった。

  • ちょっと無理がないか?? と思ったけれど主人公が盲人ということで世界が手さぐり。何もかもが疑心にまみれているところがリアルだった。
    終わり方がご都合主義だったけれど中国残留日本人孤児と言う扱いづらいテーマを絡んで最後まで考えせられつつドキドキハラハラした。

  • 途中、中国残留の歴史のややこしさに中だるみさしたものの、終盤次々に伏線の回収がなされ、予想外の展開に最後の最後まで楽しめた。視覚障害者の主人公と言う設定が、感謝や思いやりまで見えなくなっていたとは、と心情面での変化も気持ちよかった。

  • 長い時間をかけて読了。

    視覚障がいを持っている主人公が、兄への疑惑からその謎を解こうと奔走する

    全盲の世界を細かく描写していて、日常の不自由が細部まで伝わってくる。また、見えないことによる本人の思い違いも盛り込まれていて、その要素が本作をより魅力的にしているように感じた。
    終わり方も大団円で、読み終わりもスッキリしているので、小説を読んだという感触でした。

    ただ、綺麗に纏まっている分、謎解きに伴うハラハラ、ドキドキは物足りなくて、のめり込むという感覚はなかったかな。
    手に汗握る!!ような展開が個人的には欲しかった!!

  • 久し振りに続きが気になり早々に読了。
    中国残留孤児の事は小さな頃にテレビで政見放送のようなのを見てうろ覚えで知っていましたが、よりリアルに当時の状況の一面が分かった気がする。

    最後のオチが分かった後の展開が色々と『それは無理でしょ!?』ってなったがまぁ楽しめたと思います。

  • <あらすじ>
    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、不適合だと分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽物なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。有栖川有栖氏が「絶対評価でA」と絶賛した第60回江戸川乱歩賞受賞作!
    血縁を疑ったが、自分が他人だったとは・・・・・・。
    途中、すこし長く感じたところもあったが、
    かなり面白かった。

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著者プロフィール

1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は数々のミステリーランキングで高い評価を受ける。短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補、『黙過』が第21回大藪春彦賞候補に選ばれた。他の著作に、『悲願花』『刑事の慟哭』『絶声』『コープス・ハント』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』などがある。

「2021年 『白医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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