闇に香る嘘

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190947

感想・レビュー・書評

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  • 中国残留孤児の「血縁と絆の対立」をテーマにしたミステリーだった。中国残留孤児の主人公の和久が自分の兄が本当の兄なのかを疑問に思う。和久は全盲の視覚障害者であり、真実を知るために動く。和久に対して母・兄は調べるな!と伝えられる。また、満州で一緒だった知人等に会っても真相にたどり着けない。和久の危険な時に必ず現れる「無言の影」、なぜ影が助けたのか?この奥深い真相には、戦争によって人生を狂わされたこの時代の不条理に落胆する。自分がこれまで知らなかった戦争の史実、兄弟愛、生体腎移植の問題を含む壮絶な内容だった。





  • 下村さんのデビュー作であり、苦節9年目に江戸川乱歩賞を受賞した作品。

    気合いの入った作品だった。
    満州開拓団、中国残留孤児という問題を脇役に語らせる事で分かりやすく、詳しくないわたしでも理解できた。
    70歳にして兄が偽物では?と疑念を抱く主人公。
    主人公が盲目という設定が、偽物かも?という兄への疑いを無理なく話が進む。

    この本の見開きに下村氏の受賞のコメントが。
    巻末に選考委員である作家らの選評が載っていた。
    選評がとても面白かった_φ(・_・

    受賞作なので内容は絶賛されてますが…
    応募時のタイトル「無縁の常闇に嘘は香る」
    「とにかくタイトルを何とかしろ」と言う今野敏さんに笑ってしまった。
    確かに今野作品のタイトルは短い笑

    落選した作品の選評はみなさんボロクソ笑
    「何の為に500枚も読まされたのか唖然とした」
    これまた今野敏さんの選評笑


    こんな選評を9年間もらいながら、クサる事なく挑んだ下村さんは凄い( ̄▽ ̄)


    以下巻末に掲載されていた受賞経緯です♪

    第52回(2006年)から毎年江戸川乱歩賞に応募し続け、9度目で受賞に至った。この間、5度最終候補に残り、落選に落ち込む時もあったが、未熟さを見抜いた選考委員からの激励と受け取り、励むことが出来たという。[1]選考委員からは「相対評価ではなく、絶対評価でA」(有栖川有栖)、「自信をもって世に出せるものを送り出せた。ぜひ期待してほしい」(今野敏)と高評価だった[2]。応募時・受賞時のタイトルは「無縁の常闇に嘘は香る」だったが、「タイトルが意味不明」(石田衣良)、「作品のコンセプトを語り過ぎている」(桐野夏生)、「とにかくタイトルを何とかしてほしい」(今野敏)と総じて不評で、改題に至った。


    タイトルは大事ですよね( ̄▽ ̄)笑

    • 1Q84O1さん
      大丈夫です!
      どれも読みやすいからサクサク読めますよw
      手を出してくださいねw
      大丈夫です!
      どれも読みやすいからサクサク読めますよw
      手を出してくださいねw
      2023/01/19
    • なおなおさん
      みんみんさん、私も読みました。
      最後…そういうことだったのかと。面白かったです。
      それにしても応募時のタイトル、何のこっちゃ((੭ ᐕ))?...
      みんみんさん、私も読みました。
      最後…そういうことだったのかと。面白かったです。
      それにしても応募時のタイトル、何のこっちゃ((੭ ᐕ))?ですね笑
      良かった…タイトル変えてくれて^^;今野敏さんの「とにかくタイトルを〜」がキツイけど笑えます。
      お話にぴったりなタイトルになりました✧*。
      2023/01/19
    • みんみんさん
      なおなおさん今晩は〜♪
      面白かったですよね(^ ^)
      タイトルで読んでみたくなることあるから
      センスないのはダメです笑
      なおなおさん今晩は〜♪
      面白かったですよね(^ ^)
      タイトルで読んでみたくなることあるから
      センスないのはダメです笑
      2023/01/19
  • どういう時人は嘘をつくのだろう。自分のため?誰かのため?許されない嘘、優しい嘘、悲しい嘘…。人を疑うことは簡単で信じることは難しい。全盲の和久なら尚更だろう。そんな和久を襲う数々の事件。
    中国残留孤児の兄への偽者疑惑、送られてくる謎の俳句、本物の兄を名乗る男の出現、抜かれた自宅の電話線、腎臓移植を待つ孫娘の失踪。和久は闇の中から真実を追う。結末でわかる嘘。それを知った時和久の心は…。
    人間の絆とは何かを考えさせられた、江戸川乱歩賞受賞作品。

  • 帯文で興味を持って購入。
    27年間兄だと信じていた人物は何者なのかという謎を全盲の弟が追う、という設定。
    全編に漂う閉塞感、不安感はさすがの筆力で、読みながら「見えない」感覚をずっと味わっていた。こんなに不安で閉じ込められた感じがするものなのかと。
    残留孤児の問題もそうだが、満州からの引き揚げの話はとても重かった。私の父も引き揚げ者なのだ。かつて一度だけ話をしてくれたが、とても苦しそうだった。
    ちょうど敗戦記念日の今日この作品を読んだことになにかしらの意味があるようにも思う。
    疑念や疑惑が次々に生まれては反転し、いったいどういうことなのかという興味に引っ張られて一気に読んでしまった。たった一行ですべてが変わる、と選評にもあるが確かにそうだった。伏線も見事に回収されていて、途中で浮かぶ違和感がきちんと解決されていて気持ちがいい。ラストはじんわりとあたたかいものが胸を満たす。
    大変読み応えのある作品だった。

  • これは参った!
    なんかサスペンスというよりも中国残留孤児の話だけが
    したかったんちゃうんって思っていたら
    最後のどんでん返しでうやむやが全部つながるという!!
    これぞ小説!

  • 私にとって、初の下村敦史さんの作品。
    ミステリーであり、家族の話であり、視覚障碍者の話でもあり、中国残留孤児の話でもあり、大変勉強になった気がします。視覚障碍者の方や中国残留孤児の方、また帰国できても満洲へ行ってた方、大変なご苦労をされたんだなーと思いました。語り手の記憶があやふやなのはミステリーとしては、どうかしら?と思いましたが、私自身はいっくら何でもそんなに記憶が飛んだりしないのでは?と思いながら読みました。最後の方は、寝る時間になっても、ついつい読んでしまいました。良いお話でした。

  • 途中、中国残留の歴史のややこしさに中だるみさしたものの、終盤次々に伏線の回収がなされ、予想外の展開に最後の最後まで楽しめた。視覚障害者の主人公と言う設定が、感謝や思いやりまで見えなくなっていたとは、と心情面での変化も気持ちよかった。

  • 久し振りに続きが気になり早々に読了。
    中国残留孤児の事は小さな頃にテレビで政見放送のようなのを見てうろ覚えで知っていましたが、よりリアルに当時の状況の一面が分かった気がする。

    最後のオチが分かった後の展開が色々と『それは無理でしょ!?』ってなったがまぁ楽しめたと思います。

  • 初めて下村さんの本を読みました。面白かったです。
    全盲の主人公が生きる闇に包まれた世界がありありと伝わってきました。
    見えないということで、何を信じればわからなくなる描写に、最後まではらはらさせられました。
    隠されていた真実が終盤に明らかになるのですが、驚きました。タイトルの、嘘の意味。思い返すと、伏線もたくさん張られていたのだな。
    この本も、登場人物たちのその後が幸せだったらいい、と思います。
    腎不全で血液透析を受けている身内がいるので、その描写は辛かったです。

  • この作品は主人公が盲目であるため、終始ドキドキハラハラしながら読めることが最大の魅力です!
    他のミステリー小説では味わえないなんとも言えぬ怖さがありますね。もちろん伏線の回収もすごいとしか言えません!
    「闇に香る嘘」一体何の嘘でしょう?
    最後には感動して、泣ける物語でもあります。
    さらに、あの有栖川有栖先生が「絶対評価A」とまで評価して下さっているので、見られずにはいられますか?
    まだ未読の方は是非ご覧になって下さい!

著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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