賢帝と逆臣と 小説・三藩の乱

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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190961

作品紹介・あらすじ

「中国史上最高の名君」
康熙帝(こうきてい)の果断!

才幹と意欲にふさわしい成果を望んだ男が、
平西王・呉三桂(ごさんけい)らの三藩と
長江を挟んで天下分け目の決戦へ――。

有徳の皇帝がすべてを決めて統治するこそ理想――。

十七世紀半ば十四歳で親政を始めた清の第四代皇帝・康熙帝(玄ヨウ)は、
勉強熱心で経書や史書に明るく、聖賢の道を究めることを理想としていた。
この時期、清の南方には独立小国家ともいえる三つの藩があり、
最大の実力者・呉三桂は明から清に寝返った将軍だった。
「裏切った者は、また叛く」――康熙帝は、
叛乱を覚悟しながらも熟慮を重ね、三藩の廃止を決定。
それは「史上最高の名君」となるための重大な決意だった。

感想・レビュー・書評

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  • こんなにも姦臣とされてきた呉三桂を、人間臭く魅力的に描いた作品があっただろうか。反乱者の血筋とされながら、美味いものには目がない、寒いところは大嫌いな間諜の李基信を語り手に、即位し、実験を得るまでは雌伏、実験を握ってからは、己の判断の一つ一つに大きな責めを負いながら、名君への道を目指す康熙帝を対置しつつ、呉三桂の魅力も引けを取らず。いや、こちらに皆親近感を覚えるのではないかと。/先帝の政策はそれほど嫌われていた、将来のためにどこが拒否されたのかしっかり分析しないと、ただ輔政大臣の政治に異を唱えれば帝位を失う可能性もある/李基信「食い物は重要だよ。理想だけでは人は動かないからね」/突厥の兵を借りて天下を統一した唐はやがて突厥を支配、契丹の兵を借りて中原を制した後晋は燕雲十六州を割譲した、それに習おうとしたと言う、清を利用しようとして逆に利用された呉三桂の言い分/なぜ閥を作ろうとするのか、個人として国と皇帝に奉仕すればよいではないか。/決断力があるわけではないし、過去のことを根に持っているし、言動が首尾一貫しないことが多い。吝嗇だし、利己的だし、そもそも今回の叛乱も自分だけの都合で起こしたようなものだ。並べてみるといいところがないが、それでも応援したくなるから不思議だ。/李基信「あなたは山海関を開いたじゃないですか」/決断できなかった呉三桂を責めようとは思わなかった。それが人間なのだ。進言するだけの立場で合理的に渡河するべきだと判断するのと、すべての責を負って決断するのとでは、心の負担がまったく異なる/補佐を必要とするのは、何かに欠けた男だ/山海関を開いて異民族を中原にみちびき、旧主の縁者を狩り立て、さらに大義名分のない叛乱を起こし、最後は敗北が見えてから即位する。呉三桂は稀代の悪党、そして愚か者として罵られるにちがいない。「そんなことは三十年前から覚悟している。死んだ後のことなど、頓着していられるか」/死の間際の、「長江を渡れ」には不覚にも涙してしまった。

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著者プロフィール

小前 亮(こまえ・りょう)
1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修了。在学中より歴史コラムの執筆を始める。
(有)らいとすたっふに入社後、田中芳樹氏の勧めで小説の執筆にとりかかり、
2005年、『李世民(りせいみん)』(講談社文庫)でデビュー。
『覇帝フビライ 世界支配の野望』『唐玄宗紀』『賢帝と逆臣と 康煕帝(こうきてい)と三藩の乱』(いずれも講談社文庫)などの歴史小説のほか、
『三国志』(理論社)、『真田十勇士』『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』(ともに小峰書店)など児童向け作品も手がける。
近著に『添乗員さん、気をつけて 耕介の秘境専門ツアー』(ハルキ文庫)、『新選組戦記』(小峰書店)などがある。

「2021年 『ヌルハチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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