こぼれ落ちて季節は

著者 :
  • 講談社
3.27
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本棚登録 : 269
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191425

作品紹介・あらすじ

田舎から大学進学を機に上京してきた愛は、この何でも手に入る、魔法のような街で大学のフリーペーパーサークルの先輩・新野に恋をしている。初めてのキスもセックスも新野とだった。でも彼が愛を好きかどうかは、分からない。一方、都会育ちの那美香も、同級生の新野のことが気になって仕方がない。二人の思いがたどり着く先は……。アルバイト先の後輩・あさひに思いを寄せる長谷岡と彼に片思いをしている小埜。ろくでもない男との運命を占うあさひと彼女のことを疎ましく思っている妹のゆき。繊細に揺れ動く感情を描いた、六篇の傑作連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 加藤千恵さん。島本理生さんと仲良しさんだけあって、島本作品好きなら加藤さんの作品もいいかもしれません。雰囲気がなんとなーく似ているような気がした。


    大学サークル内の恋愛“あるある”から発展してゆく短編連作。ごめん、すごくすき。タイトルから…もう良すぎる。


    大好きだったのはあの頃と、あの頃の思い出の中のわたしと彼で、けっして今のわたしと彼ではないという…。20代後半頃のどうしたらいいのか漠然とした不安や切なさが、うまく伝わってきて好きな雰囲気。


    この作品に出てくる女子たちは自分との折り合いの付け方がうまい子が多くって大人ぽっかた。(そうじゃない子もいるけど。)むしろ男子のほうが気持ちを引きずってるような…そんな感じが現実っぽい。

    バーのマスターが登場したあたりで、「脱線だ。」どうなるのか…収まりがつくのかドキドキしたけど、無事に元の線路に戻ったのでホッとしました。


    表紙をぱっと見てエリカ様を思い出した。きれいすぎて借りてしまったけど、よかった。


    季節はめぐって夢のようだった魔法もほどけてしまう。不思議だけど読んだ後、スワッと気持ちよくなりました。清々しいような気がする。


    友だちのふり(木崎愛/今川那美香)◎
    たぶん初恋(長谷岡旬/小埜静香)◎
    逆さのハーミット(古橋あさひ/古橋ゆき)◎
    向こう側で彼女は笑う(工藤葵/瀬尾佳奈美)◎
    この人かもしれない(浦井梓/山崎修一)○
    波の中で(今川那美香/木崎愛)◎


    古橋ゆきが一番好きな私は一体どうなんだろうか………。

  • カンバラクニエさんの表紙に惹かれ、手に取ってみた。どんな内容かはよく知らず、でも加藤千恵さんなら間違いないだろうと思って読み始めたら、予想以上にハマった。彼女の作品はいつもそうなのだけど…やめられなくなり一気読み。
    連作短編集なのだけれど、それぞれの話に二人の語り手が存在する。後輩/先輩、姉/妹、高校時代の同級生の男/女、などなど。背中合わせのストーリーは、同じ場面でも語り手を変えるとこんなにも状況の捉え方が異なるのかとぎょっとする。相手への嫉妬。報われない恋心。諦め。虚栄心。裏切り。…こう並べてみるとマイナスの感情ばかりだけど、決して後ろ向きな内容というわけではない。連作短編という形式で、それぞれの登場人物がゆるやかにつながりながら、自分の足元を見据えていく。
    淡々とした文章の加藤作品の読みやすさは相変わらずなのだけど、作品を発表するほどにビターさが増していきますね。その苦さがクセになっています。短編のタイトル「この人かもしれない」、これは「運命の人に出会えたわ」的な恋愛ものなのかと思ったら、全然違いました(汗)自分の年齢的にも、一番この話がほろ苦くて共感できた。男女の関係、一筋縄じゃいかない感じが好きです。
    全体的に、男のたよりなさというかダメっぷりが際立ちました。特に、計算高い女子を「天然」と勘違いし(養殖女子ですか?)翻弄される長谷岡君に「あ~あ」だよ。
    若さゆえの、理想破れての躓きなんかがリアルで、いい年した自分でさえ「うう…」と呻きたくなる。でも、加藤作品のそんなところが好きなんだよね。不毛な恋愛から、何を学び、どう歩んでいくか。「こぼれ落ちて季節は」というタイトルも、うまいなと思いました。

  • ひとつの物語を別の人物の視点から2サイドで書いた短編集。どこかのまちかどで今も繰り返されているかもしれないお話を紡ぐのがやはりうまい作家である。最初と最後は語り手が同じふたりだが年月がたち、みんな大人になっている。各話の登場人物は順番につながっていく。1話の脇役が2話では語り手という風に。

  • いろんな視点から見たひとつの日常、少しずつ絡み合っていて面白かったです。みんな何かを思い、考え、何かを抱えながら生きてるという当たり前のことを改めて思い出させてくれました。
    大学生の背伸びした恋は昔を思い出して心の奥がキュッとなった。最後には月日が流れて大人になっていて、結局その時はいっぱいいっぱいでも時は流れるし、その時の思いはいつまでも続かない。その時キラキラしていた人やものが数年先もキラキラしているとは限らない。キラキラし続けるにはたゆまぬ努力が必要、などいろいろ考えさせられました。
    こぼれ落ちて季節はってタイトルもとてもしっくりくる。人生ままならないことは多い。それでも自分を信じて前向きにやってくしかないのかな。今の自分にはとても突き刺さります。ある意味いいタイミングで読めたのかもしれない。

    話が収拾つかなくなるのはわかるけど、さつきや陽輔、真貴あたりの視点も見てみたかったなぁw

  • フリーペーパーを作るサークルに所属しているメンバー、その友人や周りの人たちなどの連作短編。

    一篇のなかに二人の語り手がいて
    同じ場面が別の視点で繰り返されたり、
    語りだしの言葉が同じだったりと、構成が凝っていました。


    加藤さんの描く世界は、やはりどことなく切ない。
    切ないだけで終わらず、
    冷静に真理をついている気がします。


    特に『向こう側で彼女は笑う』が女性としては
    かなり共感できた。


    いくら仲が良くても、友人と自分を比べてしまうこともあるし
    言えないこともたくさんある。


    なんだかやるせないけど女子の人間関係ってそういうところがあるのも現実。


    最初の『友達のふり』と最後の『波の中で』は
    愛と那美香という同じ人物が語り手なんだけど、
    いい意味でも悪い意味でも、大人になったなーと感じた。

    月日の長い間を感じる構成になっていました。



    他の短編でも、その後がちらちらとわかったり
    物切れじゃなく、続いてる感じがよかった。

  • 軽い感じで一気に読んだ
    鼻の奥がツンとするような展開もあってせつない
    交錯する想い、うまくいかないことだらけ
    こういうことは、割とある

  • 二人ずつの視点から進んでいく短編集。
    半日で一気読み。とても読みやすく、好きでした。

    大学メンバーより、大人メンバーのその後の方が気になってしまいましたが(笑)梓さんの旦那はどうなったのだろう…

    輝いていたあの頃も、あの頃に思い描いていた未来と違う今も、明るい未来を想像出来ない未来も、全部、今の積み重ねですね。
    全部全部愛しく思えたらいいなぁ。

  • こういう形式の小説は初めて。
    あるシーンについて登場人物2人のそれぞれの視点から描かれていて、次は繋がりのある人に次々に焦点がズレながら一周する。
    つながりを持った短編小説のようで長編小説。
    みんな他人に憧れを抱きながら逆に誰かから憧れられて、キラキラして見えるあの人にも見えないコンプレックスとか事情とかもがいてるところがあって、自分の身近でこの本を実話で描いてくれたら絶対に読みたい。
    他人から見たキラキラした部分を自分でも感じられたらいいのに。

  • 学生の頃の爽やかで一生懸命だった、誰かを思う気持ち。軽やかに読めるピュアな小説を読みたい方にオススメ。

  • 佳奈美と梓の話が、何とも言えない読後感。
    年齢も相まってなかなかしんどい。

    同時進行で読んだ「消えていく日に」より
    こっちの方が好み。

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著者プロフィール

1983年生まれ。歌人・小説家。北海道旭川市出身。立教大学文学部日本文学科卒業。
2001年に短歌集『ハッピーアイスクリーム』でデビュー。
恋愛小説を中心に、多数の小説作品も執筆。著書に『ハニー ビター ハニー』、『映画じゃない日々』、『そして旅にいる』など。

「2021年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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