家族シアター

著者 :
  • 講談社
3.81
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本棚登録 : 2587
感想 : 385
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191876

作品紹介・あらすじ

同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。
褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。
こんな風には絶対になりたくない――だけど、
気にせずにはいられなかった。 (「妹」という祝福)

息子が小学校六年生になった年、
父親中心の保護者会「親父会」に入った、大学准教授の私。
熱心な担任教師に恵まれて、順調に思われた日々の裏には、
とんでもない秘密が隠されていて……? (タイムカプセルの八年)


すべての「わが家」に事件あり。
ややこしくも愛おしい家族の物語、全七編!

感想・レビュー・書評

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  • 辻村深月さんの家族にまつわる短編集。
    どの話もちょっとほろ苦くて、ホロっとくる。
    家族内の色々な立ち位置にある人物が、家族内の一人に対して語られる物語。

    「妹」という祝福…結婚する姉からの手紙で、子どもの頃の姉妹関係の記憶を辿る妹。タイプの違う姉妹の思春期の気まずさ、屈託のようなものが、よく分かる。

    サイリウム…いい年してバンギャのイタイ姉をアイドルオタクの弟が語る。いつも姉にやり込められる内気な弟あるある話…どちらも不器用なのね。

    私のディアマンテ…「勉強」に価値をおく家族で勉強ができなかった主人公が母となるが、勉強のできる娘の気持ちが読めず、ギクシャクしてしまう。でも肝心なところでは、やはり母なのだ。

    タイムカプセルの八年…イマドキの父親らしくない父親が、親父の会に翻弄それながらも、子ども達の夢を守る…いいぞ親父!

    1992年の秋空…これもタイプの違う姉妹の葛藤を描いている。思いやっていても、子どもだからどうしても言葉が足りない。でも理解し合えるのはやはり姉妹。

    孫と誕生会…アメリカから帰国し、実家である千葉の元農家の同じ敷地内に住むことになった、祖父と孫娘の話。昭和な祖父が厳しくも暖かく孫を見守る姿に、じんわり。

    タマシイム・マシンの永遠…ドラえもんの道具、タイムマシンではなく、タマシイム・マシンの話がきっかけで知り合い、結婚した若い夫婦。帰省し、祖母、両親の姿を通してタマシイム・マシンを実感する…ウルッとくる。タマシイム・マシンを知らなかった…。

    家族というのは最も小さな社会というけれど、血のつながりというのは結構やっかいで、素直になれなかったり、言葉にしなかったりで拗れやすい。
    自分には同性のキョウダイがいないのだが、同性というのはなかなか難しいよねぇ…上手く大人になっていい関係になれるといいなぁ。2020.8.2

  • いろんな家族が登場しますが、家族だからこそ分かり合えない部分があったり、ぶつかったり、すれ違ったり、素直になれなかったり。自分にもどこかしら身に覚えがある家族に対する気持ち。
    誰でも、この物語の登場人物の誰かしらに共感する部分があるのではないでしょうか。
    現実はこんなにうまく分かり合えることはない、かもしれないけど、それでも、この物語を通じて温かい気持ちになれる。

  • 4.6
    短編集。
    どれも面白かった。
    短編でありながら、よくまとまっていました、
    深すぎないので、読みやすかった。
    家族をテーマにした話だったので、重そうだなぁと思ってあまり手が伸びなかったのですが、くど過ぎず、重くなく、ちょっとうるっと泣かせるところもあったりと。
    いいですね、もっと沢山書いて楽しませてもらいたいと願います。

  • 「家族」というのは本当に特別な関係だと思う。

    生まれた時から当たり前のようにそこにいた家族。
    他人と作った家族。
    自分が育てた子供が作った家族。

    誰よりも近いようで、誰よりも難しい関係。

    ただほっこりするエピソードばかりではなく、かなりリアルな家族間の心理描写がされていて、自分の実体験を思い返し共感する点が多かった。

    個人的に好きだったのは「タイムカプセルの八年」。
    不器用な父親なりの愛情表現には胸が熱くなった。

    「私のディアマンテ」の
    「この人も、私と同じでわがままだ。兄夫婦については血のつながりは絶対でないと言いながらも、自分の娘にはその理屈は適用できないと思っている。」
    という台詞は胸に刺さるものがある。
    親子というのはやはり特別で、それは理論や言葉では表しようのないものなのだ。

    どれだけ憎くても、どれだけムカついても、心のどこかで憎みきれず許せてしまう。
    そこには理由はない。それが家族なのだと思った。

  • 家族というのは近すぎて遠い、どこか苦くて温かい、そんなお話が7編。
    多感な子供心のお話は、懐かしくもあり恐ろしくもあり。

    一番短いラストの「タマシイム・マシンの永遠」がすごくよかった。
    驚くほどの共感。
    私も辻村さんも、人の親なんだな。

  • 家族の関係を描いた短編集。
    家族にも当然、人間関係が存在する。
    家族と言うひとくくりの関係だけではなく、兄弟姉妹、親子等、1対1の関係もある。
    普通の人間関係より遥かに長い時間を費やして築き上げた関係だから、遠慮がなく、他人との関係よりも複雑で縺れることもある。
    しかし、拗れてもぶつかっても根底にある気持が修復へと導いてくれる。それが家族。
    そうとわかったら、怖がることはない!
    ケンカしたらいい!拗れたらいい!
    捻れた糸はよりを戻せば味が出る。
    切れた糸は繋ぎ直せば強くなる。
    そんな気持ちが強くなる。
    家族ってやっぱりいいなぁ…、しみじみと感じさせてくれる素敵な本でした。

    ■「妹」という祝福
    妹から姉への物語。
    私には残念ながら姉も妹もいない。
    姉妹は時にライバルで、厄介なこともあるだろうと想像する。
    だけど、やっぱり最強の応援団だろうなぁ~
    姉か妹が無性に欲しくなった!
    絶対無理なのにね~(笑)

    ■サイリウム
    弟から姉への物語。
    サイリウムって何? 
    棒状の使い捨てライトだそうな。
    そうそう、ライブ映像などでよく見る、ファンが振ってるアレらしい。
    異性の姉弟だからわかること、わからないこと。
    心配してても言葉に出さず、全く逆の行動に出て、ムカついたり。
    姉からしたら弟は可愛くて頼りない。
    弟からしたら姉は子供の頃はどこか怖い存在。
    だけど、いつしか守りたい、守らねばならない存在になるのかな……

    ■デイアマンテ
    母から娘への物語。
    友だち母娘、姉妹のような母娘。
    そんな言葉を良く聞くが、どこかでボタンをかけ違えるとものすごく厄介な関係になるだろうことは想像できる。
    本文中の娘の言葉、『血のつながりは絶対って思ってると、いつか、痛い目見るよ』
    でも、最後のには、その血のつながりが力強いんだけどね……

    ■タイムカプセルの八年
    父から息子への物語。 
    やっぱり息子は父の背中を見て育つのか……
    言葉がないぶん、深い愛情があるんだろうなぁ。

    ■1992年の秋空 
    姉から妹への物語。
    読みながら胸が熱くなって 
    姉にとっての妹ってこんな感じなのだろうなぁ…
    誰がなんて言ったって妹なんだ!
    『無条件で私の腕を頼っていいのは、この地球上で、この子だけだ』は胸に染みた〜!

    ■孫と誕生会
    おじいちゃんから孫への物語。
    おじいちゃんと孫(小3・女の子)の関係ってなかなか難しいだろうなぁ~
    でも、孫はやっぱり可愛いものなんですね。

    ■タマシイ厶・マシンの永遠
    子どもの頃に愛された記憶。
    覚えていないことだらけ。
    でも、愛情に包まれていたことを大人になって思い出す、体験できる方法ってあったのよね~!

    • 杜のうさこさん
      azumyさん、こんばんは^^

      毎日暑いけど、体調崩してませんか?
      私はすでに夏バテ気味。やっぱりへなちょこだわ(#^^#)

      ...
      azumyさん、こんばんは^^

      毎日暑いけど、体調崩してませんか?
      私はすでに夏バテ気味。やっぱりへなちょこだわ(#^^#)

      最近レビューがないから、コメント遠慮してたの。
      今日も迷ったんだけど、うれしくてつい…。

      いいね!ありがと~~!
      うれしかった~!
      それと、『アイミタガイ』読んでくれたんだね。
      きっと私の本棚で見かけて読んでくれたんだろうなって、勝手に解釈(笑)
      私ね、ネットの世界の方々とつながるのって、ブクログが初めてなの。
      だから、スルーしたほうがいいのかとか、微妙な距離感がいまだ把握できなくて恥ずかしいんだけど…。
      時々、これ重たいって思われちゃうかな?なんて、考えながらコメしたりして。
      でも、azumyさんも「つい、おせっかいしてしまうの」って前に話してくれたでしょう。
      だから甘えてしまってる~。許してね(*^-^*)
      私も最近いろいろとあって、大変で…。

      でもね、azumyさんが☆5つだった『すみっこごはん』
      読みたくなってゲットしたよ!
      とても楽しみ♪

      久しぶりにお話しできて嬉しかった。
      一応、非表示にするね。
      それと、返信は気にしないでね!!絶対だよ!
      では、またね(^^)/
      2016/08/04
  • 辻村深月ワールドの安心感。

    妹という祝福は4歳の次女の視点で、
    サイリウムは客観的に、
    ディアマンテは将来の自分の視点で、
    タイムカプセルの八年は夫の方がマシかなと始めは思いつつ、いやなんて素敵なお父さんだろうと、沢渡屋じゃないけど見直した、妻の視点で(笑)。
    1992年の秋空、私には妹はいないのに、不思議と自分の目線で読んでいた。妹の方がしっかりしてても、頭が良くても、姉はどこまでも姉なのだ。妹という祝福でもそれは感じたこと。
    涙が出た…。
    孫と誕生会、こどもに好かれるおじいちゃんを持つ孫の気持ちとはどういうものだろう?そんな機会もなかったせいか、想像できない。でも一つ感じたのは、クラスの中心人物に圧倒される感覚。なぜそんなに苦手だったのか今となってはわからないけど、昔は私もどう接していいか当惑していた。多分なんてことなかっただろうに、その子だけ、苦手だった。

    家族だから、さらけ出したりうんざりしたりガッカリしたりここぞという時に頼ったり頼られたり。いろんな関係を築ける。

    その時の関係と、過去の関係未来の関係は違う。それでも変化しながら、一緒に成長していく。

    辻村さんの家族に関する文章は、いつも見つめ直すきっかけをくれる。

  • 家族だから許されること、許されないこと...。ほっこりしたり、苦々しく思ったり、兎に角忙しい(良い意味で)。恒例のドラえもんネタも挿入され、最後のピースがきっちり収まった家族のパズル絵の完成!
    黒辻村さんが恋しくなった。

  • 色々な家族の関係の短編集。
    血のつながりがあるからって、なんでも分かり合えるわけじゃない。
    ムカつく事もあるし、普段嫌な態度をとる事もある。
    けど「家族」は自分に許された「甘えてもいい関係」でもあるよね。

    「孫と誕生会」のおじいちゃんが好き。
    孫をいじめる子たちをかわいがる道理はないってスパって言ってしまうくらい、孫が当たり前に大事なんだよね。

  • 冒頭───
     親族の席は、会場の一番下手だった。
    『井上家・山下家』結婚式会場。
     私の一つ上の姉、由紀枝の結婚式。
     式場の美容室で髪をセットし終えると、姉はもう写真撮影のために新郎と別室に移ってしまった後だった。式の前、披露宴会場に入る時間ができて、自分の席を確認に行くと、きれいに折りたたまれたナプキンの前に、封をされた手紙らしきものが立て掛けられていた。
     親族以外の客たちは、まだ姿がない。結婚式というセレモニーに相応しい真っ白い封筒にバラの透かし模様。表に姉の字で『亜季へ』と書かれていた。
    ───

    ふわっ、と春風が突然ぼくの中を通り抜けていった。
    アツアツのスープを飲んだように、一瞬にして、身体が芯から温かくなる。

    辻村深月デビュー10周年記念発刊の最後の三作目。

    一篇が3~40Pほどの本当に短い作品集なのだが、起承転結のしっかりした、なおかつホロリとさせるような一面をも持った心を揺さぶる作品ばかり。
    複雑な伏線を張り巡らせた長編でこそ彼女の素晴らしさは発揮されると常々信じていたぼくだったが、これほどの小品でも十分に辻村深月はその才能を披露できるのだな、とあらためて感心した。


    妹という祝福───真面目な姉の優しさに気付く妹(姉を祝福する妹)
    そんな妹をずっと自慢に持っていた姉
    姉の結婚式での彼女からの手紙

    サイリウム───ビジュアル系バンドに入れ込む姉とアイドルグループオタクの弟(姉を思いやる弟)

    ディアマンテ───娘を心配する母親
    優秀な女子高生の娘を持った母親。
    勉強一筋の娘とミーハーな普通の子になって欲しい母親とは価値観が合わない。
    きれいな顔立ちの担任教師。
    思わぬ出来事。
    本当の娘の気持ちに気付かなかった母親

    タイムカプセルの八年───息子を思う父親
    小学校を卒業するときに校庭に埋めたタイムカプセル。
    息子の憧れの存在だった小学校の担任。
    社交性のない父親。息子にあまり関心を持たなかったが───。
    八年後に掘り起こされたタイムカプセルにはある秘密があった。
    無事タイムカプセルが開けられたことで、子供たちの未来は変わった。

    1992年の秋空───妹を思う姉
    一歳下の科学好きの妹うみかとそりが合わない姉のはるか。
    『学習』と『科学』
    逆上がりの練習を見てあげると言いながら、約束を破ったその日に妹は鉄棒から落ちて骨折してしまう。
    宇宙飛行士になりたい妹の夢が遠のく。

    孫と誕生会───アメリカ帰りの孫を思う祖父
    孫の気持ちがなかなか理解できない祖父だったが、どんなことがあっても自分の家族だ。大切な孫だ。
    苛める子など許しはしない。

    タマシイム・マシンの永遠───赤ちゃんを思う両親や祖父母の気持ち

    全て家族の関係を描いた物語である。
    仲たがい、すれ違い、勘違いなどで当初は上手くコミュニケーションがとれず、誤解していた双方が、いろいろな事件をきっかけに互いのありがたみを知る。
    家族って何て素敵な関係なんだろう。
    そう思わせるような心温まる珠玉の短編集。

    講談社路線はこれだから良いのだ。
    黒辻村などいらん!! 全部白辻村路線で書いていってほしい!!
    自分勝手で傲慢な考えなのは百も承知だが、辻村さんには講談社以外から出版してほしくない、彼女が書きたい物語ではなく、読者が読みたい物語だけを書いてほしいと思うほどだ。

    生きていて良かった、この本に巡り合えて良かったと思えるような、心の底から感動する、彼女にしか書けない白辻村路線の物語をもっともっと書いてほしい。

    • 杜のうさこさん
      koshoujiさ~ん、こんばんは~♪

      返信が遅くなって申し訳ありません。<(_ _)>
      『ツナグ』映画観てないんですよ~。
      そも...
      koshoujiさ~ん、こんばんは~♪

      返信が遅くなって申し訳ありません。<(_ _)>
      『ツナグ』映画観てないんですよ~。
      そもそも映画化されていたということも知らず、
      本を読んで、他の方のレビューで知りました。
      今度ぜひ観たいと思います!

      それと、あのイケメン俳優M君にびっくりです!
      そのお父様はもっとイケメン!。お~~!
      そういえば、船内でご覧になった「鑑定士Q」出てませんでしたっけ?

      ちなみに臨機応変カレー美味しそうでしたね。
      筑前煮カレーは試されたんですか?(笑)

      それと、先日信号待ちをしていたら、
      大音量で音楽かけて通っていった車がいたんです。
      はじめ、右の翼関係?かと…(>_<)
      そしたら、応援歌だったんですよ~。
      曲名忘れちゃったんですが「勝鬨あげて~手を打って~○○○の幸を~」っていうアレです。
      なんか懐かしいやら、恥ずかしいやら、フクザツな気分でした。(笑)
      2016/05/17
    • koshoujiさん
      >船内でご覧になった「鑑定士Q」出てませんでしたっけ?

      よくご存知で。そうなんです。それを見て思いだしたのです。面白い映画でした。
      ...
      >船内でご覧になった「鑑定士Q」出てませんでしたっけ?

      よくご存知で。そうなんです。それを見て思いだしたのです。面白い映画でした。
      小説は読んでないので、今度は本のシリーズを読んでみたいと思いました。
      筑前煮カレーは、さすがに思い留まりました(笑)。
      「勝鬨あげて~手を打って~○○○の幸を~」
      これ、なんでしたっけ??? こんな歌あった??
      2016/05/18
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』など著書多数。

「2021年 『闇祓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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