だれの息子でもない

  • 講談社 (2014年11月11日発売)
3.15
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Amazon.co.jp ・本 (298ページ) / ISBN・EAN: 9784062192484

作品紹介・あらすじ

高校生のころに父は死んだ。母とぼくを捨てて出奔し、祖父の田畑を勝手に売り払った親父を、憎まずにはいられなかった。――あれから十数年、ぼくは安曇平市役所に就職し、電算課電子文書係として働いている。故人となった市民の、ネット内の化身人格(アバター)を消去することが主な業務だ。ある日、ぼくの目の前に現れたのは、ネット内で育った親父の人工化身だった。


高校生のころに父は死んだ。母とぼくを捨てて出奔し、
祖父の田畑を勝手に売り払った親父を、
憎まずにはいられなかった。
――あれから十数年、ぼくは安曇平市役所に就職し、
電算課電子文書係として働いている。
故人となった市民の、ネット内の化身人格(アバター)を消去することが主な業務だ。
ある日、ぼくの目の前に現れたのは、ネット内で育った親父の人工化身(アバター)だった。

みんなの感想まとめ

人間の存在や意識について深く考えさせられる物語が展開される。主人公は、亡き父のアバターと出会うことで、ネットとリアルの境界が曖昧な現代社会における自己のアイデンティティを問い直す。物語の舞台は、少し未...

感想・レビュー・書評

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  • 分かり易いが、分かり易すぎないか?
    老成と呼ぶべきか、老いと呼ぶべきか?

  • 今よりネットの環境がやや進化し、今と少し違う“現実社会”の長野県安曇平でおこる、ネットとリアルの小さな衝突。
    この亡父のアバターは幽霊か、現実か。
    そして〈ぼく〉はどうして〈ぼく〉たりえるのか。
    意識とは。知能とは。〈リアル〉とは。
    そんな神林SFの重要要素てんこもりの一冊です。

    ……しかしなんでこんな変則飛行から物語が着地できるのですか。やはりすごい書き手だ。

  • 自分を補助してくれるネット上に作った自分のコピー、アバターが世の中に普及している世界で、亡くなった父親のアバターと出会い事件が転がり始めていく。SNSのサブ垢と本垢が使い分けられている今と、大して変わらない世界なのではと感じた。自分たらしめるもの、人たらしめるものは何かを、視界も感覚も現実と仮想が曖昧に感じられるようになるほど、深く理解しておかなければならないのだろう。

  • 「意識」にフォーカスされた物語。

    「僕」の意識の産物である死んだはずの親父と、漫才のように物語が進む。親父は「意識」の中に存在しているにもかかわらず、車を運転したり、酒を飲み始めたり、「僕」の上司に触れてみたり、やりたい放題なのだが、逆に「おまえはオリジナル(実体)なのか」と訊いてくる。
    この、何が実体で何が仮想かよくわからないまま(読者に理解させぬまま)、ドタバタといろんなことが起こる。あたまの中を整理しようにも、いつも隣に親父がいて、なにやら語りかけてくるのだから、一向に整理がつかない。これがなんとも、深刻な事態にもかかわかず、ローカルネタとあいまって本当に面白い!(ファニーでありインタレスティングでもある)

    私たちは現実というものを「五感」をインターフェースに、「意識」を介在させて脳内に現実を再構成している。だから、「真の現実」というものをどれだけ正しく意識しているかわからないし、そもそもそのような「真の現実」は、思考実験の上にしか存在しない。科学すらも意識が創り出したフィクションだという解釈は、非常に革新的だと感じた。

    では、たとえばその「現実の観測」をデバイスを使ってできたとしたら、現実の「私」は、そしてそれによって再構成された「私の意識•アバター」は何だろう。何のために存在するのか、そして何を目的に存続するのか。
    そんな問いかけに答えを出そうとするようにして、僕と親父は議論をしながら、人生を語り合う。

    人生は記録(ログ)ではない。結末のこの言葉に込められた意味は、抱腹絶倒のストーリーで忘れてしまいそうになるが、本質的で、人間にとっての「意識」を肯定する最大の賛辞ではないかと思う。

  • ドタバタ劇なのだが、ネットにより自我が多重かつ希薄になるさまがありありと描かれていて、不気味。
    最後は野生生物もネットに入り込んでいるんじゃないか?という説まで浮上し、そんなことがあったら、もはや収拾がつかないじゃないか、と思う。

  • だれの息子でもない

  • SF。サイバー空間。アバター。
    何度か挑戦しているが、どうも苦手な作家さん。今回も合わなかった。
    自分には短編のほうが合うかも。

  • 国民だれもがロケットランチャーを所有し、ネットにアバターを持っている世界。公務員として兵器、オーデン改を管理している主人公は、平時はアバターの管理をしているうちに死んだはずの父親と出会う。

    何だか神林長平も普通のホームドラマのような作風になったなあと思って読み始めたら、途中からもう神林さんならではの電脳ハチャメチャになってきたので安心しました。

  • 良くも悪くも神林長平作品!
    一気読みしてしまいました…勿体無い(笑)
    最近の氏の作品は難解なテーマを読みやすく書かれていると思われる、此処のどなたかも書かれていらっしゃいましたが、老成と呼べるものなのかもしれません。
    少し前に読んだ「あなたがわからない」に通じるテーマだと思います。僕とはなにか、君とは何か。クオリアや哲学ゾンビ、唯識など好きな方にはうってつけだと思います。
    盛り込む話題もどれもイマドキで、加筆修正を行ったとは言え、ちょっと未来を描くには新鮮で在ろうとする姿勢が流石です。

    何よりも親父が素敵でしたな!

  • 兎に角まわりくどくて、小難しい文章が読みたくなった時に
    読む本。

  • 【請求記号】9100:2739

  • 人生は記憶。祖父母や両親、そのほか、記憶している無数の人生が『ぼく』の身体を形作っている。それはすなわち、『ぼくら』は『彼ら』の息子ということになる――。

    市民がすべからくネットの仮想現実世界に自らのアバターを構築し利用する時代。主人公“ぼく”は故人となった市民のネット内に残されたアバターを消去する掃除屋。
    そんな彼の前に、アバターを構築することなく死んだはずの父親の、おそらくアバターが現れる。そして、祖父のアバターも。
    オリジナルの人格がすでにないはずのアバターを構築したのはいったい何者なのか――?

    意識、心、記憶、そして存在。リアルな人間を存在足らしめるものは、なんなのだろうか?
    主人公が自分の職場を破壊するあたりで「雪風」の零を思い出してしまった。彼は職場に火をつけたんだった。久々に読みましたがいつもの神林節、健在。

  • 未来過ぎず現代でもない近未来ものは結構好きだ。神林作品は多分ちゃんと読んだのは初めてだけど思ったより読みやすかった。土感のあるSFは安堵する。後半20ページぐらいからすごく良く纏まって読後感がスッキリ良い気分。

  • ネット世界と現実世界の多重人格化について。
    初めは(第1章)神林さんらしくない感じがする、と思った。
    なんというか、特有の人間や意識に関する深い読み込みというかがなかったのだ。

    だが、第2章の後半あたりからクオリアや哲学的ゾンビの話、意識の話がどんどん絡まってきてああ神林さんだなあと実感した。
    幽霊、という存在に些か疑問を覚えたが(だから評価は星四つにしたのである)

    意識が記憶を複製する、なかなか的を射ている言葉だと思う。
    例え死んだとしてもその記憶が別の人達に残っていればそれはその人が、いる、と同義なのだろうか。世界史や日本史などの歴史に繋がっていく部分を感じた。

  • この著者の未来の書き方好きだ

  • 2015/09/24

  • 難解だな

     リアルとバーチャルの融合がイメージできなくってオカルトチックに感じてしまう。記録ではなく記憶だという主張には大いに賛同するのだが、それがどうも宙に浮いている感覚が残るなぁ。こじつけとまでは言わないにしても、説明不足かな。少しばかり残念。

  • まさかのSF
    苦手分野で・・・
    最後は救われました

  • 失敗したラノベという感じ。設定はいいけど、キャラが面白くない

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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