だれの息子でもない

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 243
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192484

感想・レビュー・書評

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  •  各家庭にミサイルが配備されているというトンデモ設定とか、したたかな親父に振り回される息子の構図とか、ネット上の人工人格「アバター」とオリジナルとが錯綜しまくってワチャワチャと思弁を繰り広げるところとか、好きな要素が多かった。
     ミサイル発射でドカンと決着、のお約束感とかも好き。
     ただ、コミカルな描写のわりに読んでいる最中はそれほど面白くは感じられなかった。

     人生の記録をプログラムに起こしたとして、本当にそこに人格「らしき」ものは生まれるのか…?という疑問が気にかかって、素直に楽しめなかったところがあるかもしれない。

     最終的にネット世界に様々な可能性を託し過ぎて収集つかなくなりそうなのに、動的な「記憶」で繋がり合う、生きた人間のネットワークの強さで締めるラストは、けっこう格好いい。

  • 兄がすきな(すきだよね?)神林さんの近未来SF

    ネットでアバターが乗っ取り死者のアバターが甦り
    って話だった

    難しかったけどまぁ面白かったかな

    なんかマトリックス的なかんじだった(そうかな?笑)

    表紙カッコイイ

  • ネットの中のアバター自体がオリジナルな人格を持つ世界。人のアイデンティティーはどこにあるのか。
    視点は面白かったものの、リアル世界とアバター世界の融合状態の描写が次第に観念的でわかりづらくなっていく。無駄にドタバタな活劇が多いのも混乱の一因。終盤には読者置いてけぼりで、会話形式で自論を展開するだけの文章に成り下がってしまった。
    視点は面白い。ただ、小説としては面白くない。

  • 本著について端的に書くと神林節のきいたエンタメです。
    神林節とはなんぞなという話ですが、私にとっての神林節は『世界というものを自分という主観で語る実体二元論的な話』という認識です。本著もそんな話でしたが、かなり独特な異彩を放っています。

    話の舞台はすべてのご家庭にオーデン改と呼ばれる携帯型対空ミサイルが配備されている近未来的な世界です。
    その世界で、ネット上の故人のアバター(人工人格)を消して回る主人公の元に、故人である父のネットアバターが出現する事で物語は展開していくのですが、そこから先は予想不可能なエピソードが次々と続いていきます。

    話が進むにつれて現実と仮想は混然一体となっていき、次第に自分が読んでいるのが現実の話なのか仮装の話なのか、理解出来ずに夢を見ているような錯覚すら覚えます。そして最終的には、そんな垣根に意味はないのだと言わんばかりの展開と結末が待ち受けているわけです。
    オーデン改を文字通り吹っ飛ばしたような衝撃的な結末は、主人公の、ひいては読者の度肝を抜くことでしょう。

    奇作・怪作という表現が一番ピッタリな話でした。


    余談。
    不思議な感覚ですが、話の流れや展開は理解出来ないことも多々ありましたが、その時々での状況の情景はとても簡単に脳裏に思い浮かべられました。そのことが余計に、夢を見ているような混乱を助長していたのかもしれません。

  • 遠いけれど決して非現実ではないいつかの未来のお話しです。三作のタイトルを、あなたの意識じゃない、神の意識なんかいない、だれの意識でもない、と読み解くといろいろと意味深で面白いです。

    三十路を過ぎて、祖父母のアバターがいたらいろいろ話してみたいし聞いてみたいことがたくさんあるように感じるようになってきましたが、じゃあそれが普遍的になった社会はどのようだろう、という先にこの作品の世界観があるように思えました。

    最初のエピグラムは自己作品からの言及なんですね。その対比として最後に主人公が出す結論が、陳腐かもしれませんがとても好きです。神の御子あたりを混乱しながら読み切った甲斐がありました。

  • 弟に借りた本。

    難しかった。SFになるのかな?
    未来の日本。長野県。
    自分の人生を記録してきたアバターを持ってる。
    このアバターが、具現化して独り歩きして??
    具現化?
    いや、脳内の出来事ってことなのか…
    とにかくこの辺が想像しづらかった。

    文章も回りくどい感じ。
    特に前半は気になった。

    アバターと本物の区分けがつきにくい。
    後半はだんだん盛り上がってきたけど…うーん…

  • いつものようなシリアスで難解な展開になると大砲を出して来て吹っ飛ばすのがおもしろかった.表紙絵にもなっている.この大砲オチでずっと書かないかと思ったけど無理か.
    爆発オチとか大砲オチとか好きなんだよな私. 爆発オチの純文学がないのが残念なレベルで好き.

  • 話の展開が早く、頭をこんがらがせながら読んだ。頭の中を整理しながら、所々立ち止まりながらの読書だったのに、終始こんがらがっていた気がする。読み終えてぐったりでした。
    ネット、アバター、人の意識、面白い組み合わせでしたが、私の頭では追いつけませんでした。。

  • すげえ世界だな。といっても、よく分かったわけでないです。分かんないけどネットと現実、意識が混沌としている近未来で、読んでいる自分がなにを見させられているのかも疑わしい状況にぽんと放り込まれた、ということ。軽妙な語りでそのような荒波を、さざなみくらいに感じさせられながら読んだ。ものすごくせわしないときに、細切れに読んだのが惜しかったかも。一気に読んでどっぷり浸るべき本かも。しかし、面白いな。よくこういうことをおもいつくわー。

  • またもやYA的な表紙で驚き。
    2話の、色々見えてくるところが、作者ぽくてわくわくします。そしてなんでかありえないはずの家族集合の場面に胸が締め付けられてしまう。
    僕とKと親父のやりとりと、とあとやはり「フムン」が好き。
    そのうち、また初期から読んでいきたいです。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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