佐藤優の10分で読む未来 キーワードで即理解 戦争の予兆編

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192675

作品紹介・あらすじ

本書のコンセプトはズバリ「あの佐藤優氏の国際分析と未来予測を、わずか1テーマ10分で体得できる本」です。
著者の佐藤優氏は、外務省で主任分析官を務めていた時代に、国際情勢のポイントを簡潔にまとめた「分析メモ」を週に2~3通作成しては首相官邸に届けていました。
その佐藤氏が自らのメールマガジン創刊を機に、この「分析メモ」を復活させ、現在も執筆を続けています。これが外交のプロやビジネスパーソンの間でたいへん好評のため、今回、分析メモの一部を抜粋して書籍化することになりました。

また、分析メモの内容を「もっとわかりやすく、手早く知りたい」という方のために、佐藤氏が現在出演しているラジオ番組「くにまるジャパン」(文化放送)で、パーソナリティの野村邦丸氏との軽妙な「国際分析トーク」も掲載しました。まずは「くにまるジャパン」のトークで、基礎的な理解を深め、分析メモを精読することで佐藤流の分析手法をじっくりと味わう、ハイブリッド型の書籍です。


本書のもう一つの特徴は、国際情勢を読み解く上での補助線=大きなヒントとなる「キーワード」の視点から各章がまとめられている点です。
第2巻となる本書では、「反知性主義」「レッドライン外交」「毒サソリVS.毒ヘビ」
「集団的自衛権」といったキーワードがでてきます。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤氏ならではの鋭い視点で面白い。
    アメリカ一極独裁制が崩れたこと。
    ロシアとウクライナは、どちらも曲者どうしの戦いであること。
    NSCができても公明党の動きで自由に統帥権を施行できない事態になっていること。
    北朝鮮はスターリンの真似をしてNo2を処刑したこと。
    中国がした空からの進入がどれほど危険なことを意味しているかということ。
    沖縄問題は、日本でも民族主義を引き起こさせかねないこと。
    などなど勉強になった。

  • 2015

  • 資料ID:92142811
    請求記号:304||S
    配架場所:普通図書室

  • 前作「新帝国主義編」の続編で、期間は2013.7~2014.6となっている。

    【アラブの春】
    アラブの春で手にした民主制というものは、民意を問うとイスラム原理主義が勝ってしまい、その国の政治を不安定にする。結局軍が出て、事態を収拾する事態になっており、民主主義の否定という皮肉な結果を生んでいる。

    【反知性主義】
    麻生副総理の「ナチスの手口をまねろと」言う発言。
    米国にとって、ナチスドイツと現在のドイツ連邦共和国は全く別の国家である。同様に大日本帝国と現在の日本国は、全く別の国家だという前提で日米同盟は成立している。
    麻生発言はこの前提を崩す危険性をはらんでいる。
    今その辺を溜めているのが韓国で、歴史認識で(現在の)日本はナチスと一緒だということにして、アメリカのユダヤ・ロビイストと連携していこうとしている。

    【シリア問題】
    以前のシリアには部族・宗教意識だけしかなく反対派を皆殺しにするようなことをやっていた。それでは駄目だということで、今のバッシャール・アサド大統領は改革に乗り出した。
    ここで今のバランスを崩したら大内乱になると考えているのが、ロシア、イスラエル、イギリスで、それに対してアメリカは「悪いのはアサド」と決めつけて懲らしめてやれと、(ドラエモンの)ジャイアンのような単純な考えだ。
    ただ、シリアは金がなく、そこにイランが金を出して反イスラエルの動きをさせている。
    また、フランスは反政府側の糸を引いており、フランスの影響下に置こうとしている。

    【米国のレッドライン外交の終焉】
    レッドライン外交とは、まず米国が一方的に越えてはいけない線(レッドライン)を引く。この線を越えた政権、組織、個人に対しては、力による懲罰を加える。
    イラクのサダム・フセイン政権、アフガニスタンのタリバーン政権はレッドラインを越えたので、米軍によって壊滅させられた。
    今回オバマ大統領はレッドラインを越えたシリアを攻撃することが出来なかった。
    今回のシリア問題を巡る対応の稚拙さが、国際社会における米国の影響力に翳りをもたらしたことは間違いない。

    【イスラエルとの共同声明】
    今回の「日本・イスラエル共同声明」は、日本の安全保障とか、今までのアラブ寄りだった日本の外交政策をガラッと変える。
    武器輸出三原則の緩和のときのポイントは何だったかというと、一番大きかったのは実はイスラエルだった。


    他に
    ・面倒な隣人中国
    ・北朝鮮問題
    ・ウクライナ問題
    等面白い見方、分析が満載。
    今の時点でも新鮮さを失っていない。

  •  ますます複雑化してきている世界への新たな見方をいろいろ得ることができた。
    「まだ殺し足りない。(中略)周囲や外部が干渉せず、とにかくその地域のなかで封じ込めるしかない(アルチューノフ)」(p28)。
    「政府を経由しない富裕層から社会へのパイプが、国内外の政策策定に無視できない影響力を行使するようになっている(元イスラエル政府高官)」(p195)。
    「今後しばらくの間、戦争に訴える覚悟をした諸国が国際政治において実力以上の影響力を行使することになるであろう(元イスラエル政府高官)」(p198)。
    「今後、安倍政権は、この閣議決定の内容を事実上、反故にし、いくつもの踏み越えをしないと実際に集団的自衛権を行使することはできない。その過程で、自民党と公明党の関係が緊張する」(p213)。等々。
     基本的には外務省官僚的な視点。
     10分では読めなかった。
     戦争がひたひたと近づいてきている…。

  • ラジオ番組のトーク記録とメールマガジンの配信を組み合わせたハイブリッド型に再構成された書籍とのこと。確かにその効果はあると思った。ラジオの記録は、平易にわかりやすくその本質をついているので、メルマガの深堀りが生きている。
    テーマそれぞれが、日常生活には全く関係ないことと思っていたが、今後、日本への波及の恐れのある事象であるということが理解できた。

  • ウクライナ情勢と歴史を初めて知った。中国アメリカに目がいきがちだけど、ロシアを中心とした視点も必要だな。

  • 池上さんより詳細。あまり日本でこう言う類の一般人にもわかるように各国の問題を掘り下げた本を出す人はいなかったので貴重。ただし、池上さんより分析と私見の境が曖昧。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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