あの子が欲しい

  • 講談社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192699

作品紹介・あらすじ

情報戦を制し、新人採用プロジェクトを完遂せよ!採用者側から就職戦線をリアルに描いた新しい「就活」小説。
主人公の川俣志帆子は、新進IT企業「クレイズ・ドットコム」の来年度採用プロジェクト・リーダーに抜擢された。優秀な学生を獲得するため、ネット戦略を練り、裏工作や心理戦を駆使して成果を上げていく志帆子。一方、私生活では元部下の小説家志望の男と同居しながら「猫カフェ」に通い、満たされない心を愛猫ザビーとのふれあいで癒す日々。苛烈な採用戦線の果てに、彼女が得たものは――?

感想・レビュー・書評

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  • 怖い話。

    仕事の評価は得たけれど、
    それしか残らないって恐怖でしかない。

    ズルしたらダメってこと?
    そういう教訓話でもなさそなところが
    気味が悪い。

  • 新進IT企業に勤める志帆子は、新規採用プロジェクト・リーダーに抜擢された。優秀な学生を獲得するため戦略を練り成果を上げていくが、心は満たされず・・・。

    就活を採用する側から描いたもの、といっても企業の裏側の話でもなく苦労話でもなく、アラフォー女性の満たされない思いを描いたもの。
    結局彼女は何が欲しかったのだろうか。
    (図書館)

  • 新進IT企業に勤める『志帆子』は、社長から来年度の採用プロジェクトリーダーに指名される。ネット掲示板で悪評を書かれ惨敗した去年をふまえ、彼女は緻密な作戦を練り学生を獲りに行くのだが・・・

    今時の就職活動は、採用される方もする方も大変なんだなぁ・・・というのが正直な感想。勿論それだけの話ではないのだけれど。
    さて、タイトルの「あの子」というのは誰に掛かっているのだろうか。多くの部分書かれているのが採用プロジェクトなので、当然学生、中でも『小柳』を指しているのだろう。初題からすれば、猫カフェの猫『ザビー』。そして、曖昧な関係である元部下の居候作家『セキ』。
    志帆子は彼らを手練手管を駆使し、自社を自分を選ばせるように追い込んでいく。否定はしたが正に神の気分のような奢りはあったのだろう。だからこそ、思い違いは激しく抉られただろうし、結果にも満足は出来ないのであろう。本当は、選ばせるのではなく、選んでほしかったのではないか、そんな気がした。
    果たして彼女は気付いていたのだろうか?すり替えようとしてまで欲しいと思っていた猫を本名の『ザビー』ではなく、苦々しく感じていた女のつけた呼び名『ザビエル』といつしか呼んでいたことを。一体彼女が見ていたものは何だったのか。

  • 就活の採用側のあれこれは興味深かった。主人公の、欲に一直線でしかし満たされない感じが迫ってきて読後感はすっきりしないがおもしろい。他の作品も読んでみたい。

  • 最近の就職は大変なんだな~とは思ってました。
    娘、息子が続けて就職活動してましたから。
    就職活動を採用する側から描いた一種のお仕事小説です。
    ネットの氾濫により想像以上に大変みたいです。
    誹謗中傷、ネット操作・ネット炎上、2チャンネル、等することがテンコ盛り。
    それに主人公の恋愛と、何故か猫カフェの話が挟まり面白い展開になっています。
    発表時の原題は「ザビエルが欲しい」。
    これはこれで有りですね。オチが就活とは何の関係も無い、とぼけた情景なのがいいです。

  • 新卒の採用業務に関わっていることもあり、興味深く読みました。
    面白かった!!
    朝比奈あすかさんは「翼の翼」に続く2冊目でしたが、どちらも表面的には「きちんとした」人の、他人には見せないドロドロした部分を描くのが上手いなと思いました。
    後味の悪さが何とも言えずですが、それも含めてよかったです。

  • いやー、あれこれ考えて行動するって嫌らしいんじゃない。
    そこは自然にいきたいもんだ。
    とは言え、時には駆け引きも必要なのか。

  • 就活の話については、説明不足感があった。
    謎の単語、無説明の固有名詞が続き、物語に入っていきにくかった。

    主人公が、猫カフェで出会った、どーしてもほしいと思ったザビーという猫をやっと手に入れたのに、家に連れて帰った途端に別の猫に見えた…というくだり。
    手に入れた途端に魅力的じゃなくなる、手に入れる経過がすべて、という、主人公の就活生への意識を象徴していてるようだった。

  • テーマも手法もテイストも、朝井リョウを小ぶりにした感じ。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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