韓国化する日本、日本化する韓国

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 85
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192729

作品紹介・あらすじ

日本と韓国、いま同時に起こっていることをまとめましょう。都合の良いエビデンスだけを流用して、相手の国を十把ひとからげに攻撃する。あら探しをして、そのイメージで韓国の、あるいは日本の全体を決めつける。同じような問題を抱えているのに、自分のことは振り返らない。求めに応じるハードルをひたすら高く設定する一方、脅威的な存在として警戒する。国境ではなく属性の違いが、お互いの認識を分断していることに気づかない。これらは、すべてそのまま、もう一人の自分の姿ではないでしょうか。まさに「韓国化する日本、日本化する韓国」は「映し鏡」だといえます。(「終章 あまねく、通じること」より)

感想・レビュー・書評

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  • 社会

  •  比較政治学・国際関係論を専門とする政治学者の著者(新潟県立大学国際地域学部教授)は、ソウル大学大学院で博士号をとり、北韓大学院大学校(韓国)の招聘教授も務める人物。

     本書は、嫌韓でも親韓でもないニュートラルな視点(とはいえ、「嫌韓」側からは親韓に見えるのだろうが)から、日韓関係の現状を掘り下げ、未来を展望した優れた概説書である。
     ライターが著者の話をまとめた(浅野智哉という構成者の名が明記されている)ものなので、論文臭はなく、大学の講義録のようなわかりやすい内容だ。

     竹島問題や従軍慰安婦問題など、日韓をめぐるホットなイシューについて、それぞれ「ああ、そういうことだったのか」と目からウロコが落ちる記述が多数。

  • 正しいか間違っているかではなく、損するか得するか。
    外交問題は深い。

  • 「嫌韓」ほどではないが、何となく韓国の「反日」を腹立たしく思っている若い世代が対象か。基本的な知識や論点が押さえられている、入門としては良書だと考える。

    徴用工への個人賠償を認める韓国司法の判断には韓国政府も困惑しているという指摘、「韓国」の一語でくくられがちな各当事者を峻別するのは、当然ではあるがなかなか気づきにくい点である。他方、日本については政府も保守論客もネトウヨも「日本」の一言でまとめているのだが、こちらは各当事者の違いが見えにくいということか。

    筆者は、日韓が連携を深めれば対中ヘッジとなると述べているようである。しかし、近年の中韓関係を見るともはや日米韓同盟の時代とは構造的に変わっているようにも見え、韓国を「こちら側」に引き寄せることができるのかどうかはわからない。

    また筆者は、日韓は自分たちだけで通じる「特殊語」を半世紀使ってきたが、今後は世界で通じる「普通語」も使って話し合いをしていくべき、と説く。すなわち、国際社会の中での日韓関係の在り方、また日本が第三国からどう見られているか(徴用工や慰安婦問題は普遍的な人権や戦争犯罪の問題として捉えられていることに日本はうまく対応できていないこと)を考えるべきだ、という問題意識が強く伝わってくる。

  • 好き嫌いでなく、ビジネスライクな関係を築くことが現実的だし、両国にプラスになるんじゃないのかねって内容だった。
    国際社会におけるアピール(主張)の仕方の違い(もっと言うと日本のプレゼンの下手さ)はあぁ…って思います。
    一部だけ見て全体としてしまう危うさ。気をつけないとね。

  • 319.1021||As

  • 比較政治学を専攻する著者。

    両国はどの様に異なり、その異なる点によってどの様な政治決定がなされるのか。

    そういった内容も含め、最近ある様な右傾化的な内容に警鐘を鳴らす。

  • 日韓関係を考える上での基本書という感じ。
    日韓それぞれの間にある問題を具体的に取り上げ、世界からどのように見えるのか、国家の地位を競う国際ゲームで勝つにはどう行動すべきかを軸に書かれているという認識。

    良い点は、可能な限りナショナリズム(感情)を排除し「問い」を立て、それに答える事によってより中立的・論理的な分析を行い、易しい言葉で読者に伝えている事。政治学等に興味のない者でも理解し易く、幅広い読者それぞれが自分で「問い」に答えるために思考できるように書かれていると感じた。

    ただ、普段から著書と同様の方法で日韓問題を考えている者(具体的には読者案内の「国際秩序」「原因を推論する」「戦略外交原論」などの政策科学・国際関係論の書物を読む者)からは些か物足りなく感じるのではないかと思う。

  • 書名:韓国化する日本、日本化する韓国 
    著者:浅羽祐樹(比較政治学・国際関係論) 


    【目次】
    目次 [001-005]

    序章 009

    第1章 韓国人の特性を考える 021
    「比較政治学」「国際関係論」ってどんな学問?/比べることの大切さ/「ダメな韓国論」にハマることの罠/富士山を羨ましがる韓国人/日本サッカーが短期間に伸びた理由/韓国人の人生を決める大学入試/セウォル号沈没事故について思うこと/歪なシステムのなかの人的怠慢が事故の遠因/韓国大統領が苦慮する行政のコントロール/相手のゲームの「ルール」を理解しよう/日韓に広がる「相互不信」

    第2章 落としどころを見失った判決 053
    「感情」で動く韓国の司法制度の特殊性/徴用工の損害賠償裁判が問いかけた韓国憲法という問題/韓国人にいまも残っている「不合意」の感情/「合意できないことに合意した」高度な政治判断/解決のゴールポストが設定されていない/似たもの同士の誤解が積み重なっている

    第3章 竹島問題に有用な視座 075
    韓国大統領が竹島に上陸したインパクト/国連海洋法条約が対立のきっかけだった/間違った翻訳でイメージを誘導する/竹島問題を解いていく「星座」のつくり方

    第4章 韓国人の「位相」と日本がすべきこと 093
    韓国に特有の「位相」という考え方/報道の自由と「位相」の相互関係/韓国の学術会議で起きたこと/多様性許容の範囲に差がある/慰安婦問題に表れた日韓の思想の溝/国際基準でみる日本の対処法のまずさ/慰安婦問題について、どう考えるべきか/戦後の平和国家ニッポンを国際社会にアピールする/プライドではなく外交戦略の話である

    第5章 韓国は北朝鮮との統一を果たせるか? 131
    失態が続く日本の国際的パフォーマンス/プレゼン戦略では韓国に大きく負けている/韓国はイノベーターにはなれない?/韓国の国民生活も年々厳しくなっている/南北統一後に起こりうる新たな国内格差/「統一韓国」に備えよ

    第6章 チップをはるところが違う日韓の「ゲーム」 161
    アメリカとの同盟が日韓関係を左右する/韓国は「新型大国関係」を望んでいる/自律的外交の余地が狭まってきた/日韓の対立でどこの国が得をしているのか?/日本は本来柔軟に対応できる国である/アメリカにチップをはる日本と「股裂き」状態の韓国

    終章 あまねく、通じること 197
    日韓双方が利用している情報ソースの違い/日韓ともに根本的な認識の次元で齟齬が生じている/「反日」は「千年恨」ではなく「変数」/韓国の「用日論」に呼応していく必要性/日韓の連携でお互いに得する面は多い/「あまねく」「つうじる」──不通から「普通」へ/日本と韓国は似た者同士のプレイヤー/お互いに相手の等身大の姿を知らない/2点間の関係の外に点を加えて思考の線を増やす

    読書案内 [243-252]

  • わりと幅広く、今まで出てきた内容の総集編的にやるのかな、それなら急いで読まなくてもいいかな、と思っていたが、そんなことはなく。読むべし。日韓の問題点をあげた上で、米中や世界の世論なども考慮した上で、しかも結構踏み込んで著者の意見も述べる。個人的に賛同できない点もちらほらあったけど、それ以前に、燃えやすい分野できっちり偏らず媚びず自らの考えるところを、講談社から1500円でこの文体で、という広く伝わりやすい形で世に出したことは尊いことだと思う。

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著者プロフィール

浅羽祐樹(著)
新潟県立大学国際地域学部教授(比較政治学)
現代韓国朝鮮学会賞(小此木賞)ほか受賞。
『韓国化する日本、日本化する韓国』(講談社)、『したたかな韓国 朴槿恵時代の戦略を探る』(NHK出版)ほか。

「2017年 『だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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