<世界史>の哲学 イスラーム篇

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194488

作品紹介・あらすじ

神自身が信仰を投資に例えるイスラーム教のもとで、どうして逸早く資本主義が発達しなかったのか?クリスチャンの息子達を集めて皇帝の忠実な親衛隊に育て上げたオスマン帝国の「デヴシルメ」はなぜ実現可能だったのか?法を重視し、法に徹底した情熱を注ぎこんだはずのイスラム圏で、「法の支配」がなぜ崩壊したのか。など、イスラーム帝国の社会構造の本質に迫る。
世界史の謎を新たに読み解く壮大なシリーズ、「古代篇」「中世篇」「東洋篇」に続く第四弾、待望のイスラーム篇。


第1章 贖罪の論理
第2章 純粋な一神教
第3章 〈投資を勧める神〉のもとで
第4章 「法の支配」をめぐる奇妙なねじれ
第5章 「法の支配」のアンチノミー
第6章  人間に似た神のあいまいな確信
第7章  預言者と哲学者
第8章  奴隷の軍人
第9章  信仰の外注
第10章 涜神と商品
第11章 イスラームと反資本主義

感想・レビュー・書評

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  • 歴史

  • イスラム教に対して感じてきた疑問に、クリアーに答えられてる気がする。特に、キリスト教との対比において。

    アッラーの最大の性質は「慈愛」
    旧約聖書のヤハフェの冷酷さとは対照的。

    イスラム教では「ヨブ」はありえない。
    不幸は悪いことをした報いであるから。

    イスラム教は神の謎を消して明確化した。
    キリスト教は神の謎を深めて神秘化した。
    p.66

    アッラーにすばらしい貸付をする者はいないか。何倍にもしてそれを返却して頂けるんだぞ。
    コーラン2章246節
    p.86

    イスラム教の観点から正しい行いをすることが、アッラーへの投資として描かれる。

    仏教は、経済的な利得を求めるような欲望を否定してる。
    しかし、イスラム教は、神自身が商人として、あるいは資本家として、ふるまっている。
    ならば、イスラム教のもとでこそ、資本主義が発展すべきでなかったのか?
    p.88

    イスラム圏では、利子の徴収が禁止されていた。
    しかし、中世キリスト教も、利子を禁止していた。
    利子を罪悪視する感覚はキリスト教のほうが遥かに強かった。

    神すらも投資家や商人のように振舞うイスラム教のもとで、なぜ市場経済が生まれなかったのか?
    p.90

    神を信ずることは、神に投資することに等しい。
    コーランでは、神自身が信仰を投資に譬えている。
    p.94

    イスラム文明圏は、もともと、他のどの文明圏よりも完備された法の支配を確立した。
    しかし、近代化の課程で、法の支配の伝統は活きなかった。
    逆に西洋では、ある時期以降、法の支配は前提となった。植民地には適用しなかったが、西洋本国では近代化に先立って、まず法の支配が制度化され、機能してきた。
    p.107

    イスラム教が発生した場所は、ユーラシア大陸のほぼ中央であり、東西交易にとって、きわめて有利な場所だった。
    そこは商業の先進地域であり、遠隔地交易も盛んだった。ムハンマドもまた有能な商人であり、商人のエートスを代表する宗教としてイスラム教が生まれた。
    p.264

    何事によらず「わしは明日これこれのことをする」と言いっ放しにしてはならない。必ず「もしアッラーの御心ならば」と付け加えるように。
    コーラン18章23節
    p.278


    六信五行
    の義務を果たしていること。これがイスラーム教徒であることの条件。

    六つの信仰。
    ①アッラー
    ②天使ガブリエル
    ③コーラン
    ④予言者ムハンマド
    ⑤来世
    ⑥天命

    五つの行
    ①信仰告白
    ②礼拝 1日に5回、聖地メッカにむかって
    ③喜捨 布施とは違い一定率の義務。税金のような。
    ④断食
    ⑤メッカへの巡礼 一生に一度は巡礼。義務ではない。

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著者プロフィール

大澤真幸(おおさわ・まさち)
1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学助教授、京都大学教授を歴任。思想誌『THINKING「O」』主宰。2007年『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞、2015年『自由という牢獄』で河合隼雄学芸賞をそれぞれ受賞。ほかの著書に『不可能性の時代』『〈自由〉の条件』『社会は絶えず夢を見ている』『夢よりも深い覚醒へ』『可能なる革命』『日本史のなぞ』など多数。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『げんきな日本論』などがある。



「2021年 『〈世界史〉の哲学 近代篇2 資本主義の父殺し』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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