テノヒラ幕府株式会社

著者 :
  • 講談社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194525

作品紹介・あらすじ

フリーターの拓真は、若手女性社長の寺井サチが切り盛りするスマホゲームの開発企業で、イラストレーターとして住み込みで働くことになった。中途入社の同期は、一流企業から転職してきたロマンスグレーのビジネスマン・小野寺。拓真は一流の流儀を説く小野寺と、ベンチャーマインド溢れる社員たちとの間で板挟みになり、自らの居場所を探していく。

「ぼくらは好きで“ゆとり”になったわけじゃない」
「これがビジネスマン人生最後のチャレンジだ」
「上場とか、俺はどうでもいい。俺は楽しい仕事しかしません」
「わたしはただ、好きなゲームをつくっていたかったの」

あまりに異なる価値観を持つ人々が集ってしまったテノヒラ幕府。彼ら、そして彼女らは、わかり合うことができるのか? スマートになんか生きられない。ぶつかりつづける人間模様の果てに待つ、衝撃のラストとは――

日々働くあなたに届けたい、組織人への応援歌!!

感想・レビュー・書評

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  • 異なる価値観を持つ人々がひとつになっていく過程が面白かった。「自分に出来ないことを出来る人間は尊敬に値する」「分かり合えなくても認め合うことが出来る」など、働くうえで大事なメッセージが散りばめられた作品だった。サチさんのような上司に自分もなりたい。

  • 仕事に対して求めること、取り組み方が、様々な観点から描かれてあって、読んでいくうちにどんどん引き込まれていった。

  • 2022.4 映画ではマイ・インターン、小説では終わった人。主人公のタイプは同じ感じだけれど、読んでいて思わずグッときて涙が出そうなシーンがいくつもあった。若い人の感想とは大分違うんだろうが、私にとっては最初から重ね合わせた小野寺さんが主人公でした。結末はちょっと作りすぎな感ですが。

    オフィスは同じ目的を持った社員が集まるところだからリモートワークとは違う存在意義がある、分かりあえなくても認め合うことはできる、か。

  •  『被取締役新入社員』が気に入って読み始めた安藤祐介さんのお仕事小説のひとつです。

     作品によって出来不出来の差がはっきり分かれる作者だけれど、本作はよい出来でした。
     細部では粗さが目につくものの、展開に『営業零課~』のような勢いがあり、引き込まれてしまいました。

     舞台となる会社は、職人気質の若者たちで構成されており、一芸に秀で管理されることを好まない人間の集まった組織です。
     描かれるのがそんな個性派集団の世界だけならファンタジーでしかなく物足りなかったでしょうが、利益至主上義の『大人の社会』に飲み込まれないための盾となる人間まで配したことで、作品がうまく回りました。

     安藤さんらしいうまい人員配置だったと思います。お見事でした!

  • 同著の『おい!山田』の「ガリチョコバー」、『逃げ出せなかった君へ』の「ブラック企業」もチラリと出てきて、小説間の小さなつながりも嬉しく。

    <以下本文より>
    「会社を大きくしようとするなら、事業の柱を二つ以上は持つべきだ。」

    「アメリカのゴールドラッシュは多くの大富豪を生んだが、それよりもっと多くの敗者も生んだ。その時に最も苦労せず笑ったのは誰だと思う」「つるはし屋だよ。一見地味だが絶対に負けない。なぜなら、金を掘る者みんながつるはしを使うからだ」

    <どんなビジネスにも基本がある>
    小野里はプロジェクトに臨む時、いつも関連書を読み漁った。その場では理解できなくても、読み飛ばす。乱読、かつ速読。最初に大局的な全体像をイメージする。ゼネラリストとして生きてきた小野里が自分なりに身に付けた千絵だった。なんとなく目にした言葉や聞き知った話が後々に現場でリンクし、生きた情報となる。

    「恥ずかしながらうちの倅(せがれ)、無職なんです。部屋にこもって何をしているかと思えば・・・。」
    「さっきから恥ずかしい、恥ずかしいって言いますけど、誰に対して、何がどう恥ずかしいんでしょうか」
    「そうですね。私が勝手に恥じているだけです」
    血のつながった息子であれ、自分以外の人間の生き方を勝手に恥じる権利などあるだろうか。

    今の拓真にとって仕事をする上で大事なことはただひとつ。それは「何を仕事にするか」でも「どこで仕事するか」でもない。「誰と仕事するか」だ。

    井野はよく言っていた。
    誰と仕事をするかによって人は大きく変わる、と。

    「それにしても小野里さん、数あるゲーム会社の中でどうしてうちに声を掛けてくれたんですか?ジョイボックスとかメチャキッズとか、一流どころがたくさんあるのに」
    「もう一度、テノヒラ幕府のメンバーと仕事がしたい。それが一番の理由だ」

  • フリーターの拓真は、若手女性社長の寺井サチが切り盛りするスマホゲームの開発企業で、イラストレーターとして住み込みで働くことになった。
    中途入社の同期は、一流企業から転職してきたロマンスグレーのビジネスマン・小野里。
    拓真は一流の流儀を説く小野里と、ベンチャーマインド溢れる社員たちとの間で板挟みになり、自らの居場所を探していく。
    「ぼくらは好きで“ゆとり”になったわけじゃない」
    「これがビジネスマン人生最後のチャレンジだ」
    「上場とか、俺はどうでもいい。俺は楽しい仕事しかしません」
    「わたしはただ、好きなゲームをつくっていたかったの」
    あまりに異なる価値観を持つ人々が集ってしまったテノヒラ幕府。
    彼ら、そして彼女らは、わかり合うことができるのか?
    スマートになんか生きられない。
    ぶつかりつづける人間模様の果てに待つ、衝撃のラストとは――
    (アマゾンより引用)

    小野里さんが最初好きじゃなかったけど、良い味出してた。
    最後の一緒に仕事出来るってとこめっちゃ感動。
    ホント同僚とか上司とかってめっちゃ大事と思う。

  • 軽い気持ちで読み始めたが、なぜか泣けた。

    自分にできないことをできる人間は尊敬に値する。

    下手なビジネス書よりも気づきが多い本でした。

  • カレー食べたい

  • タイトルとカバーの感じで
    勝手に山田悠介てきな軽いミステリーかと思った。
    ら、全然違った。
    IT系スタートアップ企業が
    スマホゲームつくる話やった。

    ドラマ大賞を受賞してる作者のかいたこの話、
    確かにドラマとかアニメにしやすそうなストーリーの流れ。あとキャラクターにも個性がある。

    とくに主人公ね。
    ゆとり世代で、自分で選択できなくて、この会社での役割を見出せないと悩み悩みするあたり。
    私かと思った。読んでて心苦しい。

    でせっかく主人公とシンクロできたんだけれど、この話、あんまり抑揚がなくて、主人公がどう成長していくか書かれてないので最後共感できなかった。
    なんか突然いい感じの立ち位置になって周りから認められていくのだ。
    どうやって頑張ろうと思ったとか、詳しい心情を書くと3倍ぐらいに文字数膨らんでいくのかな。。。全体的に平坦に色んな出来事が過ぎ去っていく感じだった。

    おもしろい出来事はドラマやアニメで十分なので、小説ではやっぱり美しい文章が読みたいな。

  • アプリ製作のITベンチャーの物語。キャラクター設定はありきたりだが、他者との協業、連携で新たなビジネスを創り出す過程が面白い。

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著者プロフィール

安藤祐介
一九七七年生まれ。福岡県出身。二〇〇七年『被取締役新入社員』でTBS・講談社第一回ドラマ原作大賞を受賞。同書は森山未來主演でドラマ化もされ、話題を呼んだ。近著に『本のエンドロール』『六畳間のピアノマン』『就活ザムライの大誤算』などがある。

「2023年 『崖っぷち芸人、会社を救う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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