ぼくの短歌ノート

著者 :
  • 講談社
3.63
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本棚登録 : 350
感想 : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194587

作品紹介・あらすじ

人気歌人にして名エッセイストの著者が、近現代の短歌の中から意想外のテーマで名作・傑作を選びだし、眼からウロコの講評を加えていく。「コップとパックの歌」、「ゼムクリップの歌」、「賞味期限の歌」、「身も蓋もない歌」、「落ちているものの歌」、「間違いのある歌」、「ハイテンションな歌」「殺意の歌」……などなど著者ならではの鮮やかな視点と鋭い言語感覚で、一つの短歌から新たな世界を発見する、魅力に満ちた傑作短歌案内エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • ほむらさんがテーマごとに短歌を紹介&講評する1冊。

    「平仮名の歌」「身も蓋もない歌」「貼紙や看板の歌」など、テーマの切り口がほむらさんだなぁと、まずにやり。
    そしてそんなテーマに合う歌が、世の中にはこんなにあるものなのか!
    短歌の世界の幅と奥行きに驚かされました。
    個人的には「会社の人の歌」で紹介されていた歌が好き。
    会社という現実の場が言葉の磁場でぐわんとゆがむ、その感覚にくらくらとするのです。

    ほむらさんの講評が短歌の味わいを深めてくれます。
    特に、斎藤茂吉の短歌が読んでみたくなりました。
    ほむらさん曰く、斎藤茂吉は「アマチュアの凄みを併せ持つプロ」。
    絶賛されていた天然っぷりをもっと体感したいと思いました。

    パラレルワールドが詠みこまれた歌が、やけに印象に残っています。
    私たちの日常には無数の分岐点があふれていて、膜の向こう側では"こっちを選ばなかった自分"が同じ時を生きている、という感覚。
    たった31文字、なのにこの広がりはなんだろう。

  • 今、
    エッセィと併読している途中で、
    (おや)と、気付いた。

    (私、歌集読むの遅いなぁ…。)
    たった31文字だと言うのに
    遅々として進まない。

    うむむ。
    短歌は立派な芸術なんだなぁ。
    お気に入りの絵画の前では動きたくないように、
    読んで現れる風景の中に長々といたい。
    ずっといたい。

    日常めくら、の私には
    いつも見ているはずの風景、どこかで見た事のある風景だとしても、
    全部がものすごく新鮮に思えるのだ。

    更に穂村さんの奥行きを深める様な解説が、
    3D効果の様に立体感まで生み出して
    ぐいぐい迫ってくる。

    すう~っと通り過ぎて行くだけの薄情な日常に、
    (待て!)と、ぶつけたカラーボールが見事命中し、
    曝け出した正体をついに見てしまった様な
    面白い歌集だった。

  • いいなぁって思える句があって
    短い活字を追っているだけなのに
    ドラマが見える

  • なんでもない日常のワンシーン、わざわざ人に話すでもないふとした感情 それらが短歌というフィルターを通すことで作品になることが面白い
    マニアックだけど普遍的 特別格調高いものじゃないけど、素朴さや切実さがかえって胸を打つ
    プロの表現力、目の付け所はとても参考になる

  • テーマごとに短歌が集められ、面白い。穂村の洞察は鋭く、短歌に広がりを感じることもある。

  • 短歌については今まで全く関係なく生きてきたが穂村さんのエッセイなどを読んで穂村さんに完全に心酔していたので、初めて触れた世界であったが、こんなにも自由でかつ面白い世界があったのか!と目からウロコの気持ちになった。この短い言葉の連なりから何を受け取りどう感じるのか、繊細な世界が繰り広げられている。ハマりそうである。

  • 日常を細かく見る視点

    解像度を上げる

    すべての世界に意味はあって
    それに気づけるという幸せがある

  • 穂村弘は、歌作よりも、エッセイよりも、断然、評論。
    秀れた読み手でないと作れない。
    現代短歌ガイドとしても使える一冊。
    気に入った歌をいくつか
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    「運転手一人の判断でバスはいま追越車線に入りて行くなり」奥村晃作
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    「座るとき立ち上がるとき歩くとき ありがとう足そして重力」東直子
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    「現実を逃避したとて現実を逃避しているという現実」松本秀
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    「ねじをゆるめるすれすれにゆるめるとねじはほとんどねじでなくなる」小林久美子
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    「砂時計のなかを流れているものはすべてこまかい砂時計である」笹井宏之
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    「この夫人をくびり殺して捕はれてみたしと思ふ応接間かな」夢野久作

  • 2016.5/11 角田光代さんとの恋愛考察エッセイ『異性』でのライトでソフトな語り口に鋭い洞察力を溢れさせた穂村さんが気になっていたのに1年も経った?手に取る。自身が選者として出会った心掴まされ短歌や有名な歌人の歌を平たく並べて思う存分紹介し解説してくれる。非常に面白い!

  • どのように浮世離れした詩人であっても、霞を食っては生きられない。つまり現世のシステムから完全に自由になれるわけではない。だからこそ、もうひとつの超越的な世界に憧れるのだ。
    (P.104)

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著者プロフィール

穂村弘(ほむら・ひろし)
1962年、北海道生まれ。歌人。1990年、歌集『シンジケート』でデビュー。その後、短歌のみならず、評論、エッセイ、絵本、翻訳など幅広い分野で活躍。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、連作『楽しい一日』で短歌研究賞を受賞。エッセイ集『鳥肌が』で第33回講談社エッセイ賞受賞。絵本『あかにんじゃ』で第4回ようちえん絵本大賞特別賞受賞。第4歌集『水中翼船炎上中』で第23回若山牧水賞受賞。他の著書に『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『短歌ください』『ぼくの短歌ノート』『蚊がいる』など多数。

「2021年 『ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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