可愛い世の中

  • 講談社
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本棚登録 : 361
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194976

作品紹介・あらすじ

芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。
決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。
退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。
香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!

感想・レビュー・書評

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  • いつの頃からか、自分というものを持て余している。
    小さい頃からそうだったような気もするし、今よりは無心でいられたような気もする。
    おそらくは生まれた時からあまり変わっていない。

    この小説の主人公(豆子)も、自分のことを持て余しているみたいだ。
    自分で自分がめんどくさいという状態ではないかと思う。
    つまらない(と頭では考えている)ことがどうしても気になったりして、そんな自分が嫌だー嫌だーと思っている。
    私が実際にそんななのだが、豆子もきっとそんななのだろうと想像しながら読んだ。
    うーわー、君もめんどくさい人だねぇ、と語りかけながら読んだ。

    とは言え、豆子と私は似てはいない。
    意見を交換したら豆子は私を軽蔑するのではないだろうか。
    でも、私は豆子に自分を重ねて、ちょっと疲れて、でも、ちょっと慰められた。
    豆子の考え方というより、豆子を受け入れている姉妹や友人の存在に慰められたのかもしれない。
    それぞれの考え方が異なっていても寄り添えること、そのゆるりとした肯定のなんと有り難いことか。
    疲れた時、許せないことがあった時に読むと、肩の力が抜ける小説だと思う。

  • 芳香剤のメーカーで働く地味な会社員、豆子は、自身の結婚式を機に、金銭感覚が人生と共に変化していくことの面白さを発見する。決して「モテ」を追求することなく、社会人としての魅力をアップしていきたい。退職して、「香りのビジネス」を友人と起こそうと画策する。香水に、セクシーではなく、経済力という魅力を!
    「BOOKデータベース」より

    お金の話が中心.現実的.”働く女性”が抱える気持ちの一つの例をものすごく現実的な結婚という事柄を事例に展開.
    働く女性が皆こう思っているとは限らないと思うが、少なくない女性が思っていることも想像できる.~らしさ、というのはやっかいなもので、見えない鎖と言える.
    豆子が訴える、”経済力を認められたい”という願望は、一般には男性がもつものとされるが、女性がもつことも当然ある.世の中の大半に理解されないかもしれないが、何が悪い.開き直るとイタイ人というレッテルが貼られるのだろうが、それこそなんでイタイんだ、と思う.
    生き方が多様化している現代にあっては、これまで男性が抱くとイメージされてきた事柄も女性が抱くようになるのは、至極当然.価値観の多様化は、複雑化する社会の必然.この本を読んでそう思った.
    生臭い話がいっぱいでてきて、辟易するかもしれないが、流されて生きていくのがいやな人にはいいと思う.立ち止まって考えてみようかしら、という気持ちになるだろう.

  • 女性と経済力。それを香りに、というのが山崎さんらしい視点だな、とは思うけど、なんだろうな。特に豆子さんは、出会えてるだけで幸せだと思うのに、何をそんなに欲しがるのか、他の人に知ってほしいのかとも思ってしまいました。世の中まだそういう人にすら出会えてなく、豆子さんほどの「経済力」もないけれど、日々坦々と働いて、社会の中で自分なりにしっかり楽しく生きている女性はいっぱいいると思うなぁ。山崎さんの作品。好きでずーっと読んできているけど、個人的に今、こういう女性作家の結婚とか出産とか、そういった作品はあまり読みたくない。なんだか私生活と関係あるのかしら、とかつい、思っちゃう。ってこと自体がまあ、可愛くない自分、なんでしょうけど。

  • この作者の価値観なのか、
    豆子の価値観なのか分からないが
    わかる、わかるとすごく思えた。
    だけど、ウェディングドレスのかわりにスーツとか、
    ごぼうの香水とか 全然分からない、でも面白い。

  • 初の山崎ナオコーラさんの作品。4姉妹の次女?の豆子は結婚を控えた会社員。頼りない旦那に代わり、結婚式を金銭面をも主体的に取り仕切ろうとしている。長女、4女は美人で離婚した&セレブ主婦。三女は確か、ニートだったが、豆子からすれば、主婦とニートは同じような存在…らしい(・・;)!

    一般的な?親の脛かじり感?!が出ている従来型の結婚式ではなく、豆子が理想とする経済面もきちんと独立していることを表現出来るような式を挙げるべく、奮闘していたが。…一見自由そうな現代の結婚式だが、実情は型にはまったものが良し…とされる現代の結婚事情を示唆している。変わったことをやると、世間から断絶されかねないよ…と。

    豆子の考えや人柄に親近感を持つが、私は型にはまった結婚式を挙げ、今に至ります…。

  •  生きづらそうな豆子の結婚までの道のりを描いた物語。
     自分の結婚式を思い出しても、「ああすればよかった」「こうすればよかった」とキリがなく、穴があったら入りたくなるもの。来てくれた人たちを信頼することでしか、穴からのそのそ出る勇気はわかなかったかもしれない。
     女には、“可愛い/可愛くない”という大きな評価軸が常につきまとう。可愛らしさを通行手形にして人生関所を楽々と通過する女もいれば、豆子のように別の軸を見つけ、邁進して人生関所を悪戦苦闘して通過する女もいる。
     そして、その女の種類の数だけ幸せ度を測る定規も違う。豆子が持つ「経済力」「社会への貢献度」の定規を基準に、褒め言葉を求めたってなかなか一般には共感を得られないかもしれない。4姉妹は、定規も四者四様、それがこの物語の面白さにもなっている。
     豆子のダメなところは、普通の結婚式は嫌だと言いつつ「発言小町」を読んで見ず知らずの他人や世間の意見に流されまくったり、自分が結婚費用を全額負担したことに対して人から「えらいね」という言葉を求めようとしたところ。でもそれが人間らしくて愛おしいんだけどね。
     後に読んだ「太陽がもったいない」というエッセイで、この物語は彼女自身の経験を描いたのだろうなと気づき、生きづらさを文章に昇華させようともがく山崎ナオコーラにますます興味がわいた。

  • 初ナオコーラさん
    さくさく読める、女の心情。
    4姉妹のうちの豆子さんはなかなか気難しい。
    けれど"多様化が受容される高度な社会"で"恋愛でも家族でも仕事でもない関係が、昔より増えた"現代日本では、豆子さんのように立ち位置が確認しづらい人は必ずいるはず。
    物語が前向きになってきたところで終了なので、ご飯でいうと前菜で終わった感じがあったけれど、そこから美味しくなるだろう豆子のライフにエール。
    男性も女性も歳と共により輝くべきと捕らえます。

  • あぁ~~ナオコーラさんだなぁ、と読みながらずっと思ってた。

    社会とどう関わるか、はこれまでもテーマとしてあった気がするけど、今回はそれがド直球で飛んでくる。

    「女性が」「女性だから」「女性なら」言い出したらきりがないけど。
    こういうの好きじゃないって思っていても、結局使ってしまうし受けいれてしまうし。
    何かひとつ括る言葉があるってやっぱり便利っちゃ便利なんだよね。

    そんな中で、私はどうするんだろうとか、ぐるぐる考えてしまった。

  • 豆子の考えが共感出来ない。面倒くさい人だな。
    結婚式やらなければよかったのに。
    経済力の香りってどんなだろう…。

  • ダイバーシティの獲得への過程は茨の道。
    しかし、得るものは大きいはずだ。

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著者プロフィール

1978年生まれ。『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞を、『美しい距離』で島清恋愛文学賞を受賞。その他の著書に『浮世でランチ』『この世は二人組ではできあがらない』『ニキの屈辱』『昼田とハッコウ』『反人生』『ネンレイズム/開かれた食器棚』、エッセイ集『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、絵本『かわいいおとうさん』などがある。

「2018年 『偽姉妹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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