深紅の断片 警防課救命チーム

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195041

作品紹介・あらすじ

命を弄ぶ凶悪犯に立ち向かうのは、
命を助ける術しか持たない、救急隊!

舞川市中央消防署・警防課救急第二係の隊長・真田健志。
真面目で責任感の強い彼は、血気盛んな後輩・工藤、
運転のエキスパート・木佐貫と三人一組を組み、救急車で出動する日々をおくる。
ある晩、「少女を閉じ込めた。早く助けないと死ぬ」という匿名の通報が!
犯人と思しき相手が告げた通り、監禁された少女は衰弱しており、
その背中にはトリアージタッグを模したシールが貼られていた。
黒、赤、黄、緑に色分けされた紙片は本来、災害現場などでの治療優先順位を示す。
しかし、犯人が残した紙片は、被害者をどれだけ痛めつけたのかを表し、
次の事件を示唆するものだった。かつてない怒りを覚えた三人は、
事件に関わることを決意。彼らは、人々の命と街の平穏を守ることができるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 救急隊が主役のミステリー。冷蔵庫監禁され衰弱した少女には黄色、焼却炉に入れられ腹を刺されたお父さんに赤、床下収納の中で2か所刺された女に黒、のタッグが張られていた。救急隊が非番にいろいろ調べまわってこの3人をつなげる5年前の事件にたどり着く、犯人は誰なのか。というストーリー。救急隊の仕事内容を常習者のエピソード、病院の医師とのかかわり等も取り入れつつわかりやすく書いており、よく取材しているという印象。しかし、非番週休に捜査みたいなことしたり、搬送した人に何回も会いに行ったりしない、というか駄目じゃない?トリアージについて、事件関係者がみんな詳しいのが、都合とはいえ出来すぎだ。最後の犯人はお前だ!のあともあっさり犯人は完落ちしてくれる。

  • 警防課救急第二係 真田隊に出場要請が入る。
    「少女を閉じ込めた。早く助けないと死ぬ」
    匿名通報で出動した現場には、鎖で閉じられた冷蔵庫があった。
    冷蔵庫より休出した少女の背中にはドイツ国旗のようなシールが。
    3色のシールをトリアージタッグではないかと考え始めた彼らに第2の匿名通報が入る。
    真面目で正義感の強い救急救命士の真田隊長。
    温厚なベテラン運転士の木佐貫。
    ムードメーカーな若手の工藤。
    真田隊の当番日を狙ったような匿名通報に3人は事件を解明しようと動き出す。

    「神様のカルテ」や海堂さんの本で救急病院の切実さを読んできたけれど、今回はその病院へ急患を運ぶ救急隊視線での物語。
    「ときどき悔しくなるんです。僕たちは一分一秒を争って搬送しているのに、病院とは気持ちの温度差がありますよね。」
    週に何度も救急を呼ぶ自傷の女性や住所不定のアル中の男性。病院の受入拒否に悶々とする。
    普段目にすることもないけれど、確実に存在しているそんな問題がリアル。
    消防士、救急隊、警察、教師、社会に影響力のある方々が誇りをもって仕事ができるように、この職業に憧れと尊敬をもたなくては。
    そのためにこういう小説がもっと描かれるとよいな。
    「真面目にやっている人間は、きちんと評価されるべきだと思う」
    救助活動の助けにと行ったはずの行動が悲劇に。
    途中でなんとなく結末が見えてきちゃうし、犯人への説得のあたりが強引な気もするけど、登場人物が生き生きと描かれていて最後まで楽しめた。
    過去の事件も解決したけれど、なんともせつない余韻を残す。
    「俺は毎回、後悔しないような仕事をしているつもりだよ。それを積み重ねれば、いずれ周りが評価してくれる。」
    そんな真田さんの言葉に励まされつつ。

    読み終わって、ふと思う。
    一番かっこよかったのは工藤さんのお祖父さんだったかも?

  • 過去のトレーラートラック横転事故のトリアージミスが引き起こした連続傷害事件の真相に救急隊員が迫っていくという今までになかったストーリー。タイトルの意味も最後にちゃんと判明して、作品の出来自体は悪くないけど、やはり救急隊員が刑事の役割をしちゃうところが現実味がなかった。

  • 命をもてあそぶ凶悪犯に立ち向かうのは、命を助けるすべしか持た救急隊救急隊

  • 救急隊員の仕事がリアルに書かれていた。
    患者を病院に繋げるだけなのに、患者と病院の板挟みになってこんなにも大変だなんて。。

    「自傷行為をする度に通報してくる女性」というイメージだった患者に、そんな事情があったとは。
    自分が見えているところだけで図ってはいけないと思った。

  • 「オンラインブックトーク紹介図書2021」

    ▼配架・貸出状況
    https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00523483

  • 救急隊、大変なお仕事なのね。
    こんな大変なお仕事、チームワークが影響するのもわかる気がする。
    それなのに、変に勘違いされてもなぁ。

  • 刑事もののシリーズを手掛ける方の救急隊もの
    大きな交通事故によって大切な人を失ってしまった後、どう生きるかというのが根底のテーマだったと思う
    人は弱いゆえに誰かのせいにしたいと思ってしまう
    現場に居合わせた人々は決して悪かったと思えないのだけど、誰かを悪人にすることで無駄な正義感を満足させている人がいるなーともんやりと感じたり
    残された人たちに救済の道があるといいと思う

  • 救急隊が事件究明するのが新鮮だった。

  • 2018/8/28 50

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著者プロフィール

1965年千葉県生まれ。2006年『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。『石の繭』から始まる「警視庁殺人分析班」シリーズで人気を集める。その他著書に「警視庁文書捜査官」シリーズ、「特捜7」シリーズ、「重犯罪取材班・早乙女綾香」シリーズ、『深紅の断片 警防課救命チーム』『共犯レクイエム 公安外事五課』『骸の鍵』『擬態の殻 刑事・一條聡士』などがある。

「2023年 『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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