- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062195096
感想・レビュー・書評
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短さの中に、たくさんの思いと願いと祈りを込めて。
ただ語呂が良いだけでなく、その中に情景や想像を詰める、ってとても難しい。けど美しい。
「うたうとは小さないのちひろいあげ」に続く下の句には泣いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そうそう簡単に不登校を引き上げることはできない。何事もスルスルうまく進んでいくことに違和感。でも、オハナシだからそっちのほうがいいかもな。
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高校のうた部が舞台。タイトルも5・7・5調で良い。続きも気になるので借りよう。三部作になるのかな?
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読みやすいけど、大人向けというよりYA小説かな。高校一年生にしては同級生がちょっと幼いと感じたり。。
ただ歌に関しての描写はよい!興味が湧いてくる一冊。 -
高校入学した白石桃子は、学校で友達を作らないと中学(西ノ台中学)からの友達、橋爪綾美に約束したのだった。
綾美は高校に入ったものの、不登校を続けていた。
桃子は綾美とのつきあいに悩む中、古畑清ら(2年生)のはからいで、うた部に入ることになる。
うた部とは部員たった3人の短歌を作る部だった。
「短歌って、心の格闘技かもしれない」
舞台は金剛川が流れる道端駅から電車で21分の井筒市にある中田高校。
これは、三重県松阪市なのかな~特定できる場所ではないようだけど。
というわけで、作者村上しいこさんを検索
http://www.geocities.jp/m_shiiko/
本作品は、野間児童文学賞受賞
読編があるらしい!! ~ブログより
須藤彩(すどうあや)同じクラスの後ろの席の女子-登校しない綾美のことを気にかけ、桃子に手紙を託す
途中にはさまる<やーみんの 明日にかける橋>は、綾美のブログ。
うた部部長 大野いと 3年生女子 うた部を作った人
諏訪業平(すわなりひら) 水泳部とかけもちの2年制男子
顧問:難波江正樹(なんばえまさき)現代国語教師
P58「人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける」
紀貫之 古今和歌集仮名序からの抜粋
「歌に詠む素材は、自分から求めていかなければならない。そして歌は、雑談や世間話に、語呂合わせしたものでもないからな。日々の生活の中で感じる、喜怒哀楽の、その瞬間、そのままを切り取る。そこに言葉の命がある。その命に、どれだけ葉を繁らせどういう花を咲かせるか、それはみんなが種である心をどうそだてるかにかかってくる。」
「あとで直すのはいいのですか」
「いい。理由はふたつある。ひとるは、日常の生活の中で、心が揺れた瞬間を切り取るといっても、誰かに届かないと意味がない。届くってことは、共鳴、共感しあうってことだな。そこで初めて歌として成立する。でなきゃ、独り言だ。そのためにも、どうすれば、一番伝えないことを一番効果的に伝えられるかを考える」
「もうひとつのりゆうは」
「それはせっかく、こういう場があるのだから、詠み合うだけじゃ、つまんない。これから先、就活なんかで、自分の、何をどうアピールすれば、相手の心を揺さぶることができるか。役立つと思うよ。」
「短歌には心の瞬発力と柔軟性、そのどちらも必要だからな」
彩のことば
「引きこもってる人に共通して言えることだけど、家の中が、彼女が快適に過ごせるようなルールになってなかった?やっちゃいけないんだよ。それしちゃうと、ほんと出てこられなくなるよ」
「それとね、自分が一番大好きな人や、大事な人を攻撃するようになるって」
「昼夜逆転はそれだけでやばいよ。家族と一緒にごはん食べて、規則正しい生活しなきゃ」
「たとえ引きこもっても、常識的なルールは大事です。綾美さんの言い分bかり聞いてたら、取り返しのつかないことになります」
すてきなのは「たこどつぼ」
清らのお兄さんのお店。
そしてうた部は県大会の予選に出場することに。
「うたうとは小さないのちひろいあげ」
「宇宙へ返すぬくもりをそえ」
たぶん、それを喜んでいる人もいるにちがいない~撮影協力学校の名前
参考文献
「短歌をよむ」岩波新書
「サラダ記念日」
「決定版短歌入門」角川
「短歌文法入門」飯塚書店
「業平ものがたり伊勢物語の謎を読み解く」平凡社
「なりひらの恋 在原業平ものがたり」PHP
「花橘の乱 在原業平異聞」NHK
「見果てぬ夢ー平安京を生きた巨人たち」JR東海
「一冊でわかる百人一首」成美堂
「今さら聞けない短歌のツボ100」角川
「萬葉集三 」岩波
「新編 和歌の解釈と鑑賞事典」笠間
「歌集 一握の砂」ほるぷ
「先送りは生物学的に正しい」講談社α
「つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた」集英社
「上達する!水泳」ナツメ
「哲学個人授業殺し文句から入る哲学入門」バジリコ
「ひきこもり脱出ガイド」明石
「ひきこもり」NHK
「不登校・ひきこもりと居場所」ミネルヴァ
「ネットいじめはなぜ痛いのか」ミネルヴァ -
言葉の力を描く作品。
言葉の力には限界があるけれど、想いを表現する言葉があり、それを発する勇気がなければ想いは伝わらない。言葉を知り・選び・発することを意識的に行ってるか否かで、ヒトの生き方は違ってくるのだろう。
親友への贖罪のため、桃子は入学と同時に自分に制約を課す。それは高校の3年間を楽しまないこと。しかし、あるハプニングをきっかけに短歌を詠む「うた部」に参加することになって…。
自意識といじめと人間関係と。
まさにYA世代のための小説。 -
高校生のうた部、短歌の話です。読んだ後、短歌をよみたくなりました。いじめで引きこもっていた時の綾美のブログは一方的で怖いけど、桃子と綾美が連歌で詠んだうたはすごく優しくて、綾美がひとりきりの世界から帰ってきたんだなぁと伝わるうたでした。
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短歌を扱ってるのはとてもステキだったし、うた部、めちゃ良かった。
でも村上さんはティーンの葛藤を描くのはそんなに得意じゃないと思うので、題材間違えてる気がするなぁ。
最初の構想通り、ラブコメにした方が良かったのでは。
とにかく短歌を作りたくなる良作。 -
”うたう”といっても合唱ではありません。「短歌を詠む」方の「うた」部の高校生のお話。日常のキラキラする気持ち、もやもやする気持ち、いじめをうけた側としてしまった側の気持ち、切込み、救い上げるような短歌、言葉の力ってすごいって思いました(i44)