無名亭の夜

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 22
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195164

作品紹介・あらすじ

極東の島国・日本。場末の「店」で「彼」は、店主の従兄弟が語る不思議な物語に耳を傾ける。それは、遙か遠いオスマン帝国の時代、皇帝の近衛兵となった「少年」が、詩に魅せられ、当代一の語り手へと登りつめるめくるめく物語だった──。
時空を往還しながら、物語を形作る七つの神秘に迫る、七夜の旅。壮大な世界観と文学的な仕掛けに満ちた野心作!

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で偶然見つけて手に取った本。作者の名前も何も予備知識ゼロで読んだけど、好きな雰囲気でよかった!
    日本にいるのに別の世界へ連れて行かれる感覚が、物語の中の「彼」と、読んでいる自分と重なるような気がした

  • アラビア?あたりの話?
    なのだろうかどうにも人類学は不勉強。

    現代と古い古い時代の話を、語り手を転々として紡がれた話。
    ある人には、少年は年老いても少年であり、その他の様々な人々にはまた別の呼び名となる。

    というわけで、あれ、これ誰だっけか、と何度か悩んで、最終的にまあいいか、となった。
    読むのになかなかに根気がいりました。

  • 無名亭の夜、ハキルファキル、いずれも現代日本とオスマン帝国を行きつ戻りつの話。無名亭の夜は、東京の語り部のいる酒場と学生の私、セリム1世期からスレイマン大帝時代に詩人として名をなしつつ、将官としても活躍した人物の語り。二つの世界は、おそらく、最後は結び合わさったことが示唆される。オスマン帝国パートがわざとなのだろうけど、主語をとりにくくしていて、ともすれば内容をつかみかねるところもあったけれど、二読、三読して、その他の文学的企み、仕掛けについても読み解いて行きたい、と思った。アフメド「そう、詩は美を切り取るよすがなのだ。ほれ、このようにな。神の名において(ビスミッラー)」p.85/そして、最も印象的なシーンは、「タータタター、タータター、タータタター、タータター-さあ、これでいい。吾輩の詩はすべて、アフメド殿にあげてしまうのだ。せっかくの韻律に美しい言の葉を乗せられないのは申し訳ないが、そこはご勘弁願おう。p.136 処刑間際の上官に、言葉では伝えられないから、せめてもの、後世のモールス信号のように、駆ける調子で伝えるシーン。「仕舞まで挽歌ではなく、武勲詩を贈るとは、まさにそなたの別れの押韻にふさわしい」p.137/ハキルファキルは、荷運び人の兄と詩で身を立てようとしている弟と、詩の王と呼ばれたバーキーの交わりが、現代東京で写本を読み解く過程で浮かび上がってくるしかけの物語。宮廷人としてのいやらしさだけを煮詰めたようなバーキーの造形が興味深い。そして、詩をつかった応酬、わかる人にだけわかるように刺していくやりかた、大真面目なのにおかしみも添えて、心楽しき佳品。

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著者プロフィール

宮下遼

1981年、東京生まれ。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在は大阪大学言語文化研究科准教授。
専門はトルコ文学(史)。
著書に『無名亭の夜』(講談社)、『多元性の都市イスタンブル―近世オスマン帝都の都市空間と詩人、庶民、異邦人』(大阪大学出版会)、訳書にオルハン・パムク『私の名は赤』、『僕の違和感』、『雪』、『無垢の博物館』(いずれも早川書房)、ラティフェ・テキン『乳しぼり娘とゴミの丘のおとぎ噺』(河出書房新社)などがある。

「2021年 『物語 イスタンブールの歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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