グッド・ラック 日本航空123便のコックピットで何が起きたのか

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 41
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195690

作品紹介・あらすじ

1985年8月12日午後6時24分。「ドドーン、ドーン」という爆発音が日本航空123便のコックピットを震わせる。「スコ-ク77!」機長が咄嗟に叫んだ言葉は緊急事態を意味していた。御巣鷹山飛行機事故から30年。元JALフライト・エンジニアだからこそ描ける、「あの日のコックピット」とあり得たかもしれない「もうひとつの結末」。迫真のドキュメント・ノベル。

感想・レビュー・書評

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  • 30年近く経っても「無念」を感じさせる

    8月12日という日だからこそ、この本をご紹介します。

    7月に発売されたばかりのこの本を読んで思うのは、無念さ。
    当時、日本航空で働いていたパイロットたち、いや日航以外の方でも、乗客の命を預かり飛行機を運転する者たちにとって、この日本最悪の墜落事故が起きてしまったことが30年近い時を経ても無念でならない、一生忘れられない出来事なのだと痛感します。

    事故調査委員会には日航関係者が携われず、機種の特性を熟知した調査が出来ていたのかがわからない、とボーイング747型機で22年間フライトをした著者が「コックピット・ボイス・レコーダ」と「フライト・データ・レコーダ」の記録を元に、コックピットでは何が起こっていたのかを検証しています。

    メインである第二部では、検証に次ぐ検証。物理的な計算のオンパレードとなっています。パイロットというのはこうった計算を頭に叩き込み、猛烈にシュミレーションを行うプロ集団なのだと筆者の検証と登場人物たちの会話から読み取れます。

    第二部後半と第三部では、筆者の希望が描かれておりますが、カンパニー・ラジオの会話と、コックピットの判断というのはこの事故の後、この事故の状況を踏まえた検証、シュミレーションを複数回行って出てきた可能性を描いたもの、とあります。事故後に検証を重ね、対策することによって状況を打破する可能性がようやく出てきたということを知り、1986年当時、この状況に追い込まれたコックピットの方々の絶望と、それでも諦めずに航空を続けた様に改めて頭が下がります。

    もし、もしこのフライトが夕方で伊丹に9時までに絶対着陸しなければならない、また、お盆前日で新幹線への振替や宿の手配が困難という状況でなかったら、もっと早い段階で戻ることが出来たのかもなと思うと残念ですね。

    この本を読んだら、ボーイング社が今でもこのままだったらボーイング機に乗るのがちょっと怖いなあと感じてしまいました。

    <関連書籍>

    この事件の関連書籍としては
    ・墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)
    こちらが真っ先に上がります。
    大阪から東京にいく便の読書として誤って選択してしまい、上空で「なんで私はこのタイミングでこれを読むかなあ」と思いながら読むのを止めることが出来ませんでした。
    ・4/524 日航123便御巣鷹山墜落事故写真集[Kindle版]
    こちら、私が見たのは特大サイズの写真集でしたが、キンドル版が出たのですね。
    もう、ただただ、無念。
    小説

    続いて小説。
    クライマーズ・ハイは読んだのですが、半分日航機、半分は登場人物たちの話、という感じは否めなかったです

    こちらをいずれ、チャレンジしたいと思っております。
    ・沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
    山崎先生はまだ大地の子しか読めてないのです。大地の子映画・ドラマは見ているのですが、原作を読むとまたちがいますので、いずれは。

    本書の参考文献

    巻末に記載された参考文献で気になった本としては
    ・マッハの恐怖 (新潮文庫)
    なんと事故前に出版されている本ではないですか。
    ここで語られていたのに、ということなのかな。気になりますね。

    その他参考文献

    第三部を読んだ後、実際はどうだったのかな?とWikipediaを見たのでそちらで気になった参考文献。
    ・墜落の夏―日航123便事故全記録 (新潮文庫)
    ・風にそよぐ墓標-父と息子の日航機墜落事故-
    こちらは、先日読んで止まらなかった本(裁判官は、あなたたち被害者に会う義務もないし、あなた方が裁判官に会う権利もない「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日」門田隆将 新潮社)の作者の方の本ですので、読んでみたいな。

    飛行機をよく利用するものとしては、安全に目的地まで届けて頂きたい、ただただそれを願いたいと思います。

  • ボイスレコーダーとフライトデータレコーダーの事実を 
    時系列的に、丹念に拾いおこし、
    コックピットでなにが起こっていたかを再現する。
    JALの747のフライトエンジニアとしての知識をフル動員して
    一般の人にもわかりやすく、説明しながら、
    仮説、推測、そこから来る原因の推定、
    フゴイド運動とダッチロールのなかで、操縦不能となったときに
    運行技術部のメンバーが どう対応するのかを 論議する。
    その論議の内容が 実にいい。
    また 機長昇格試験の最中であるが故に、
    意思疎通がきちんと図れないという微妙な人間関係も興味深い。
    機長の途中の思考停止、フライトエンジニアの思い込み、
    副操縦士の操縦していると言う錯覚
    などが 実にリアルである。

    尾翼が脱落し、後部に開口部が見えるとい自衛隊機の報告などが
    かさなって、より鮮明な 対応が 生まれていく。
    希望としての帰還を フィクションとして描く。
    読みながら、ノンフィクションではないと思いながら
    仮想的な物語のもつ したたかさが 感じられた。
    現実のうえに、希望を描くことで、鎮魂する。
    その想いが よく伝わる。

  • 結構専門的な分析がなされていて理解できないところも多かったが、高度2万フィートの上空で起こった緊急事態の緊迫感や混乱状況がとてもよく伝わってきた。

  • 結末は違うがあの飛行機でもこんなドラマがあったのかなぁと想像させられる
    難しい数字が多々あるのが難点か

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著者プロフィール

1947年、兵庫県生まれ。神戸商船大学航海学科卒業。'70年から海運会社にて主に南太平洋を航海士として海上勤務。'78年、日本航空に入社。DC-8型機、B747型機フライト・エンジニアとして乗務し、運航訓練部技術教官、運航技術部試験飛行室、運航技術部次長を経験。総飛行時間は1万1000時間。2007年に国土交通大臣より航空厚労省を授与される。同年、定年退職。その後、羽田整備工場にて見学・航空教室を担当。著書に『最後のフライト ジャンボ機JA8162号機の場合』(講談社)、訳書に『航空事故』『航空テロ』(ともにイカロス出版)がある。

「2015年 『グッド・ラック 日本航空123便のコックピットで何が起きたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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