冥途あり

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 213
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195720

作品紹介・あらすじ

川の流れる東京の下町で生まれ、実直な文字職人として生きてきた父。しかし亡くなったあと、父の人生に知られざる横顔が覗き始めた!遠ざかる昭和の原風景のなかに浮かび上がる人の生き様。著者自らと一族の来し方を見つめる旅を描く新境地傑作。

感想・レビュー・書評

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  • ふわふわしているけど、芯がないわけではない、不思議な感触のお話でした。泉鏡花を読んでいるような感じだなと。

  • ちょっと読みにくかったけど、田舎あるあるな話みたいな。
    双子のいとこが長野まゆみっぽい。

  • 表題作とその続編「まるせい湯」の二本立て。長野まゆみだけれど、半ズボンの少年も機械仕掛けの少年も鉱石も水蜜桃や柘榴も天体望遠鏡も出てこないし思わせぶりな旧仮名使いもしていない。おそらく作者自身の半自伝的な、父親の死をきっかけに家族のルーツをたどるいたって現実的な小説。

    なるほど、幻想的な作風で自身の経験をあまり匂わせない作家だけれど、すでに年齢的にはアラ還、そのご両親や祖父母をたどっていけば、昭和の懐かしい東京をよくご存知なのも納得。原爆や関東大震災など、体験、そして記憶しているひとたちの言葉を、こういう形で残していく作業もとても大切だと思う。

    どこからフィクションかわからないけれど、双子の従弟のキャラクターが面白かった。とくに「まるせい湯」のほうでそのホラ吹きっぷりが炸裂しており、古き良き昭和の銭湯話から、不思議な因縁譚に広がるのはいっそ幻想的ですらありました。

  • ようやく読了しました。
    泉鏡花文学賞、野間文芸賞と二つの賞を受賞されております。
    受賞についてご本人が「27年ぶりに本土より船が来た。」とおっしゃられていましたが、なるほど「船」という表現がしっくりくる作品でした。
    訥々とした語り口調と、更に、東京の地理に明るくないと流れる様に展開される情景描写が呑み込み辛いのでは…なんて老婆心が沸き上がるやや開口が狭い内容。
    隠喩の散見される先生の作品で、情景を妄想しながら読む訓練をしている”まゆみすと”の面々なら、造作もないことでしょうか。
    (私は何となく、で想像して具体的なことは分からないまま読み切ってしまいました。)

    昔から長野先生の著作、雑誌インタビュー等を舐める様に読んでいた人間として、最近の先生の作品はその内容から随筆の様な印象を抱かせます。
    「冥途あり」も例に漏れず、主人公を取り巻く周りの環境や人物の様子がそのままでしたね。
    同じ様に随筆感のある「コドモノクニ」では主人公の幼い頃の渾名が“マボちゃん”と書かれていましたが、「冥途あり」に出てくる女性の名が"真帆”というのは意図的なものを感じます。
    明らかに先生の幼少体験記だよね、と思いながら「コドモノクニ」を読んでいたので、”まゆみ”から”マボ”というのは中々捻った名付け、それとも、その辺りにフィクションを滲ませているのかな、と思っていました。
    もしかして先生の本名は"真帆”さん?長野まゆみという名が本名だと思って(云われて)いましたが…。
    ただ単純に繋がり無く、真帆、マボちゃんという名前が好みなのかもしれませんね。

    その他にも、「冥途あり」は先生の作品のルーツかしら、と思える描写が随所にありました。
    まるせい湯のお話に出てきた、睡蓮と泥の様な川は「夜啼く鳥は夢を見た」のイメージ。
    よせる体質の兄の話は「左近の桜」シリーズ。
    船箪笥は「箪笥のなか」。
    「僕はこうして大人になる」「白昼堂々」シリーズ等に出てくる古い寺と側の墓地。
    ペテン紛いの商いをしている双子は「よろづ春夏冬中」「あめふらし」にも通じますし、
    本編の主軸的に敷かれている父親の被爆体験の話も、直接「八月六日上々天氣」を思い起こさせます。
    江戸っ子口調や彼等の一人称(男性の使う”あたし”)についても昔の会報で詳しく書かれていましたね。
    作者の生きてきた環境、取り巻く人々が、本人の感性に影響するのだなぁと深く感じました。

  • 久しぶりに長野まゆみを読んだ。
    わたしは中学の国語で『夏帽子』を読んで、高校生で『雪花草子』を読んでしまって、そこから『猫道楽』や『左近の桜』 を味わってしまうのだが、そのノリでこの手の本(たとえば、『野川』)を読むと、なんでこの人はこんなにものを知っているんだろうと、話の流れよりもそっちが気になってしまう。そして、言葉の流れ、文の書き方も、てきめんに影響を受けてしまう……。また、いつか。

  • 長野先生、最近書きたいもの(notホモ)に従順だな・・・
    ご年齢を考えれば、当然といえば当然なんだけども

  • 父や母、親族の記憶、昭和の香り。ノスタルジー。
    名前でよばず、「父」「母」「叔父」など関係性で呼ぶので、誰が誰だかわからなくなってしまった。

  • 川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだった―。そう信じていたが、じつは思わぬ蛇行を繰り返していたのだった。亡くなってから意外な横顔に触れた娘は、あらためて父の生き方に思いを馳せるが…。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。

  • 2018.02.27
    父の葬儀をきっかけに父の生い立ちをしる話
    東京の昔の描写、広島の話など始めてしることが多かったが、ちょっと展開が無さすぎて離脱

  • 2017/12/16

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著者プロフィール

東京都生まれ。女子美術大学卒業。1988年『少年アリス』で文藝賞を受賞。2015年、『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞を受賞する。『新世界』『となりの姉妹』『箪笥のなか』『よろづ春夏冬中』『メルカトル』『カルトローレ』『45°』『ささみみささめ』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』「左近の桜」シリーズなど著書多数。

「2021年 『さくら、うるわし 左近の桜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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