百年後、ぼくらはここにいないけど

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 111
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062195812

作品紹介・あらすじ

チレキ。正式には地理歴史部。「一番楽で、上下関係厳しくなくて、ついでに存在感もなくて、でもいちおう部活動だから入部すれば内申点つくし、帰宅部よりオススメ」だったはずなのに、主人公の健吾が中三になった春、状況が一変する。
熱血の新顧問が改革に乗りだし、部長の太陽がすんなり従い、秋の学習発表会にみんなでジオラマ作成をすることに。健吾以外の部員4名は賛成するが、健吾は太陽への嫉妬と、ジオラマへの苦い思い出から、反発する。しかし、太陽の突然の転校により、なりゆきで新部長となってしまい、残された縦2メートル、横1メートルのジオラマ作成と、いやいや向きあうことになる。
ジオラマのテーマは、〈百年前の渋谷〉。自分たちの住んでいる町は、どのようにして今の姿になったのか。町の過去を振りかえる作業を通して、自分の過去の傷を見つめる健吾。他の部員も、町の変容に、自分たちの今を重ねて、ここにいる必然に気づいていく。青春小説。

町に暮らす人々は、バラバラに生きているようでいて、実はみんな、どこかでつながっている。過去に生きていた人と、今を生きているきみも。今を生きているきみと、きみのとなりのあなたも──。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて、図書館で借りる。
    そこまで期待していなかったのだが、面白かった!

    東京渋谷区の公立中学校の地理歴史部が舞台。
    「楽そうだから」で入部した地歴だったが、健吾が3年になってやる気満々の顧問に代わり、文化祭でジオラマを作成して発表することになる。それに乗っかる部長の太陽は留学してしまい、横滑り的に健吾が部長になることに。
    失恋の痛い思い出と結びつくジオラマ作成に、反発する健吾と部員との間に溝が生まれるが…

    100年前の渋谷をテーマにジオラマ作りに精を出す中学生たちの姿が、ああ、この時期に打ち込めたものがあるっていいよね~…とじんわり。
    近くに住んでいても、お互いのことをよく知らなかった部員たちが、作業を通してそれぞれにある屈託を知る。
    ジオラマって完成品を見るより、完成させるまでの作業の方が絶対楽しいだろうな。
    知られざる渋谷トリビアも面白い。
    2021.3.31

  • ジオラマ作りの2ヶ月半のなかで部員たちの細やかな心の変化を感じとれる物語だった。
    その場面や情景がありありと想像でき、登場人物一人ひとりが私の中で生きていた。

  • 中学3年の健吾が副部長を務める地理歴史部は、ゆるーい部活だった。ところが部員が足りず、このままでは廃部の危機に陥るという状況の中、顧問がやる気満々の教師に代わった。健吾が周りの変化に追いつかない間に、研究発表にジオラマを作ることになり、部長の太陽は大きな土台だけ残して転校してしまった。受験を控えた健吾は、それでもみんなをまとめて期間内にジオラマを作り上げなくてはならない立場になる。
    100年前の渋谷を再現していきながら、かつてそこに生活していた人たちの想いに気づき、仲間や協力してくれる周囲の人たちに励まされ、製作は進んでいく。

    ジオラマづくりを通して成長していく思春期の姿を描く。

    ジオラマ制作の場面が非常に詳細で、著者の強いこだわりを感じる。ジオラマに詳しくなれるかも。

    困難に出会いつつも、葛藤しつつも何とかがんばる少年たちの姿を描く教科書的な物語。
    そんな物語に変化を与えているのは健吾の元彼女の希の存在だが、それも、ちょっと取って付けた的に感じる。

  • 長いタイトルってあまり惹かれないのだけど、これはなんだか気になっていた。
    期待ほどではなかったけれど、面白かった。
    しかし、これが中学生?私の頭の中では高校生だった。
    東京はやっぱり大人だなあ。

  • 中学のチレキ部ー地理歴史部が、学習発表会に向けて、100年前の渋谷駅周辺のジオラマを造るお話。
    うーん。なんかなあ。
    ちょっとお話がペラって、感じだった。
    2018/11/3読了。

  • ジオラマ作りに打ち込む中学生のお話。青少年に共感出来るところが多いのでは。こうして、人から人へ受け継がれ、未来へ続いていく。

  • 初期にオチは読めるけれども、なるほどね、と思うお話だった。

  • 石田健吾は地理歴史部の部長。もともと、活動らしい活動もない楽な部活だからと、草野太陽(くさのたいひ)と一緒に入った。けれど、このまま新入部員が入らなかったら存続の危機にあるらしい。部長だった太陽は、今年の学習発表会で「地元の渋谷を調べる。ジオラマ製作」と決めて、2メートルの土台作りだけして転校していった。
    代わりに部長になった健吾は、ジオラマを作る気もないし(トラウマになる想い出もあるし)、後輩をまとめるもの面倒だと思ってる。三年なのに
    なぜ自分がこんな役回りをする事になったのか、と。

    けれど、もともと鉄道好きでジオラマ作りをやったこともあった健吾。渋谷を歩き、調べ、地図を見て考えるうちに、出来るかもという気持ちになってきた。作業を進めていくうちに、部員達の意外な才能を知ったり、それぞれの事情を知ったり。

    百年後前の渋谷は、今の渋谷とはちがう生活が息づいていた。
    そして、百年後、今とは違う、渋谷がある。
    特に、東京オリンピックに伴う開発で消えてしまう商店街などもある。
    そんな生活の一瞬を切り取ったかのようなジオラマ製作作りを通して成長してゆく、青春物語。

  • 部員の減少で存続が危ぶまれている地理歴史部。部をアピールするために学習発表会で一畳大の百年前の渋谷駅前のジオラマを作ることになった。
    言い出したのにさっさと転校していってしまった太陽に代わり、部をまとめることになった健吾。部員たちと百年前を調べつつ、ジオラマに必要なものをお金をかけずに作る方法も考える。
    健吾は、自分たちの町・渋谷を調べる中で、自分自身の初恋の思い出や、町の人々とのふれあい、突然転校してしまった太陽への思いなどが絡み合っていく。

    渋谷駅近くの中学校を舞台にした2か月の青春。

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。テレビの構成作家として主に子ども番組の制作に携わる。2006年『タイドプール』で第47回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。同作品でデビュー。近著に戦時下における敵国人抑留に光をあてた『ハンナの記憶 I may forgive you』、共感覚をテーマにした『木曜日は曲がりくねった先にある』、シンガポールの日本人学校を舞台に、加害の歴史に触れた『ハングリーゴーストとぼくらの夏』がある。

「2016年 『百年後、ぼくらはここにいないけど』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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