作品紹介・あらすじ

1977年に刊行された佐野洋子の名作絵本『100万回生きたねこ』に捧げる短編集。人気作家13人による短編小説や詩のアンソロジー。
著者は、江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、山田詠美、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦、谷川俊太郎。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』をトリビュートしているアンソロジー。
    https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12061719807.html

  • 絵本「100万回生きたねこ」へのオマージュアンソロジー。

    面白かった編
    ・100万円もらった男
    タイトルもじっただけでねこ出てねぇじゃん!でも面白いというか業が深いというか。男が持ち崩していく残高が妙にリアル。己の畑を耕さなかったからだ、と言われるものの、植わっているのが何なのか、芽が出るのかどうか、花が咲くのかどうか、分からないことだらけの中で「耕せ!」と言われてもそれはちょっと酷なんじゃと思わなくもない。「己を信じて努力できる」ってのも才能の内ではあるんだろうけどけどけど。
    荒れ地の上に何ができるのか、それでも耕すことを選んだ男に、立派でなくとも美しい何かが実ればいいなと祈るように思う。

    ・おかあさんのところにやってきた猫
    自由のない世界で生きることは幸せかどうか。室内飼いをしたことがあれば、一度も考えない飼い主はいないんじゃないかなあと。与えられない自由の分だけより溺愛するんだけど、それがウザがられるのもまたあるある。
    そして安寧のおうちを捨て、おかあさんを捨てたはずのおちびちゃんが、年を取って戻ってきたところが泣けた。ぐるぐるぐるぐる。

    ・生きる気まんまんだった女の子の話
    小生意気でほろ苦くていい話。
    わざわざ好きになれなさそうな夫を選んだのに、いざ死なれてしまうと会いたくてたまらない。だったらやっぱり自分が好きになれる人を選んで楽しく生きた方がよかったのかなあと思う。ねこにとっての白ねこみたいに後悔のないように。でもダメ男だったから手放せなかったってのもあるのかもしれないけど。人生長いしなー。

    ・博士とねこ
    こちらも飼い主としてどこまでしてやるべきか、延命治療の話として読んで痛かった。死なないで欲しいと手を尽くすのは愛なのかエゴなのか。博士には迷いがなかったようだけど、ねこは日に日に自分が自分でなくなっていくことに苦痛を感じてたかもしれない。最後は電気仕掛けで生かされていたみたいで、生身のねこ本体はとうに亡くなっていたのかもかも。どんな姿になってもずっといっしょにいてほしいっていう気持ちもよく分かるんだけどね。でもなー。

    総評
    作家それぞれのカラーが濃ゆくて面白い。そして元ネタの「100万回生きたねこ」を読み返したくなる。100万回生きたなら、もっともっとこの他にもねこの一生があったんだろうなあと。ねこはずっとつまらなかったんだろうけど、ねこと生きて、ねこのために泣いた人たちは、愛されなくても愛することそのものが幸せだったんだろうなあと本編と同じ余韻にふける。

  • 「100万回生きたねこ」のトリビュート短編集ということで13人の文筆家が書いているが4人しか男性がいない、これは今の出版業界の実情を表しているかのようである。そしてこうして作品が並ぶと作家の実力が如実に現れるが特に男性陣は酷いテーマさえ踏襲できていない者さえいる。もう男性作家はミステリー以外は存在価値がなくなっているのかもしれない。芥川賞直木賞が女性に独占されるのも分からんではない気がする。

  • 佐野洋子さんの絵本が好きなひと、沢山居ると思う。その誰もが、自分だけの虎猫ものがたりを心の中に描けるんだろうな。
    山田詠美さん、江國香織さん、角田光代さんの話がそれぞれ心に残った。もう生き返る気力も無いくらい、誰かを愛すのって清々しい。
    最後の谷川俊太郎さんの話。別れた妻へのラブレターみたいだ。お互いの健闘を讃えあうといったところか。
    わたしも、力の限り今の人生を生き抜こう。

  • 私にとっては、読んだことのない作家さんばかりの短編集。
    誰がどんな物語を聞かせてくれるのか楽しみながら読みました。

    角田光代さんのが良かったかな。「しあわせは知らないけれど、しあわせの反対は、わたしにもなんとなくわかる。」
    このフレーズ、相田みつをさんの「しあわせは、いつもじぶんのこころがきめる。」に通じる感覚だと思った。
    角田光代さんの作品、今度何か読んでみよう。

  • 綿矢りささんのを読んだ後、ポーの「黒猫」が気になり読んでみた。なるほど、ポーと佐野さんへの程よいバランスのオマージュって感じでしょうか。
    山田詠美さんのが一番おもろかった。女性作家が描く「バカな女」っておもしろいなー。愛憎相半ばする感じで。

  • 江國香織さんの
    「生きる気まんまんだった女の子の話」はすごく淋しくなりました。
    角田光代さんの
    「おかあさんのところにやってきた猫」はとても悲しかった。人生の悲哀があると思いました。
    町田康さん
    「百万円もらった男」は教訓話のようだと思いました。
    唯野未歩子さんの
    「あにいもうと」はオチもわかるけど、なんかとても面白い小説だと思いました。
    綿矢りささんの
    「黒ねこ」はポーの作品を読み返してみたくなりました。

    でも、この本、なんか1度読んだことがあると、角田さんのところでやっと気づきました。2回ともわざわざ図書館から借りたんですね。これだけ有名な絵本のオマージュ本、普通1度読んだら忘れないですよね。まだ、物忘れする歳じゃないと思うんだけど・・・。
    でも、この本を読んで寝たら、今朝、夢の中に、数年前、亡くなったうちの猫が出てきてくれたんです。それだけでも2度読んでよかった!

  • 記念すべき1000冊目なのだが、タイトルになぞらえたなら1000分の1回なのであり、そこに妙なこだわりをもってはいかんのだろな。・・・うん、絵本のほうがずっと好き。

  • 文学
    絵本

  • あにいもうと良かった。

全145件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

谷川俊太郎(たにがわ しゅんたろう)
1931年、東京生まれ。父に、哲学者・谷川徹三。現在の東京都立豊多摩高等学校を卒業し、1948年頃から詩作の活動を開始。1952年第一詩集『二十億光年の孤独』出版。以後詩、エッセー、脚本、翻訳などの分野で多岐に渡る活躍を続けている。
翻訳については、ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』や『スイミー』、ゴフスタインの絵本の数多くを手がける。詩集に『ことばあそびうた』、『みみをすます』、『日々の地図』、『はだか』、 『世間知ラズ』など、エッセー集に『散文』、『ひとり暮らし』、絵本に『わたし』『ともだち』『もこ もこもこ』、詩集に『シャガールと木の葉』、『すき』、『詩の本』、『トロムソコラージュ』など。
萩原朔太郎賞、鮎川信夫賞、三好達治賞、朝日賞など多くの受賞歴がある。

100万分の1回のねこのその他の作品

谷川俊太郎の作品

100万分の1回のねこを本棚に登録しているひと

ツイートする