総司の夢

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 117
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196031

作品紹介・あらすじ

俺はね、夢を見たことがないんです。

新選組一番隊組長・沖田総司。
江戸の一道場の塾頭だった男は、時代の急流の中で、京に上り、幕末随一の剣士となっていく。
最強の男――「鬼」は誰なのか。
芹沢鴨、土方歳三、近藤勇――。

何故、俺は人を斬るのか――自らに問いながら、沖田は鬼の正体を探そうとする。

著者にしか書けない、沖田総司の一代記。

感想・レビュー・書評

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  • 明るく人に優しい、なのに無情に人を斬る。そんな総司のどちらかというと陽の部分が生き生きと描かれている。
    もしもこの時代でなければ総司の人生はきっと豊かで充実したものだったのだろうな、としみじみ。
    でも、この時代でなければ剣に命をかけることもなかっただろうし、そうすると総司の人生の半分は色あせて見えるのかもしれないし、とぐるぐる。
    タイトルの「夢」がこっちの意味での夢だったのか、と最後の最後に分かり合えたことが救いでもあり。

  • これまでにない沖田総司の姿。よく笑い、無邪気で無垢な彼は存在しません。土方と同じように鬼でありたいと願う彼の姿は切なくて、それでいて胸を打つものでもあります。

    新選組研究自体もまだ始まったばかりで、こうした若い作家さんが司馬遼太郎を越える作品を描きだしてくれることを望んでやみません。

    ラストシーンと総司の内縁の妻のシーンで泣いた。

  • 沖田と斎藤の、あまり多く言葉を交わすことはないけど、互いを察してる関係性が描かれているところ良かったです。芹沢の息子が出てきたのは意外でした。

  • 新選組で鬼といえば?
    その問いに対する答えは、多くの新選組の創作物がそうであるのと同様に、自分も一つの答えしか出てきませんでした。その思い込みのせいで、答えが明かされるまで低調な読み応え。
    鬼の正体が明かされたところで、今まで読んできた物語の印象が全く変わりました。
    そりゃそうだ。
    新選組で鬼といえば?という問いかけにしてしまったのは、自分の早とちり。
    先入観で読み進めてはいけませんな。

  • たかだか150年前なら史実としてしっかりと記録が残っている新選組、更に隊士のキャラ付けも司馬先生が既に確固たるものにしてしまっているためこれを新たな物語として起こして行くためには愛があれば大丈夫!だけでは行き詰まり感は否めない。
    今回も架空の人物を織り込み剣術にしか興味のない変わり者の沖田を恋も悩みもあるひとりの人間として描く工夫はされているがその背景は新選組の歴史の走り書きであり土方の物語となんら代わり映えしないようにも見える。
    ならばいっそのことマニア限定で大胆にエメル版新選組を作り上げてしまって良いのではないだろうか。
    沖田、土方と来て次は誰?期待してます

  • 芹沢鴨の息子の存在が新鮮だった

  • 新撰組の話。淡々とした文章。彼らの転機となる出来事もさらっと流している。小松さんあやかし小説は好きだけど、この手の時代物は苦手。

  • 新撰組の一番隊長沖田総司のおはなし。
    殺伐とした雰囲気の中に近藤さんや土方さんをはじめとする仲間たちへの思いや、彼の人となりを表すエピソードなどが描かれてて、新撰組愛にあふれているなあという筆者への評判に納得。
    沖田くんらしさという点では物珍しさはないけど、それはそれで理想の沖田総司像を壊さず、幕末の動乱のなか、剣と戦い儚く夭折した天才剣士の生き様と、結局歴史の敗者となった新撰組の陰が切なく描かれております。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。母方にトルコ人の祖父を持ち、名はトルコ語で「強い、優しい、美しい」などの意味を持つ。2008年「一鬼夜行」で第6回ジャイブ小説大賞を受賞しデビュー。主な著作に「一鬼夜行」「銀座ともしび探偵社」シリーズ、『総司の夢』『梟の月』『歳三の剣』など。

「2022年 『時代小説アンソロジー てしごと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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