不愉快犯

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 147
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196123

作品紹介・あらすじ

著名なミステリー作家、成宮彰一郎の妻、瑠璃子が行方不明となった。事件性が高いと見た三鷹警察署の新米刑事ノボルは、先輩刑事の佐藤とともに、捜査を開始。次々に容疑者候補が浮かぶが、その過程で警視庁本部の組対四課や捜査一課も事件に関与してくる。
「どうせなら死んじゃっててくんないかなぁ……」
不愉快な言動を繰り返す夫・成宮の真意は――。
完全犯罪を「完全」に描いた、前代未聞の傑作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 『あんた、日本の司法関係者をおこらせすぎたな』。異常な性癖をもつミステリー作家の成宮が完全犯罪を試みる。そのために司法を冒涜し、妻を嘲笑うかのように殺害。さらに不幸な21歳少女を飼い犬の如く扱う。成宮と警察の命懸けの攻防戦を繰り広げ、ルーズヴェルト・ゲームで決着。警察の秘密兵器は「必殺、一事不再理返しっ❗️」。タイトル通り不愉快極まりなく存在感は抜群のミステリー作家だけあり、隠し球、裏技が多数あるので読み手も心して読み進めること必至です。最後、不起訴となった少女が鷹揚に構える立ち姿に嬉しく読了。

  • 不愉快な野郎だった。
    佐藤さんがいなくても、ノボルくんは頑張ったよね~。
    この二人、また組んでほしい。本部刑事と所轄刑事の関係で。

  • さすが木内さん、映画とかテレビとか漫画とかすべてのエンターテイメントに通じてるからこその小説だと思います。

  • 神経戦、頭脳戦、バカは出てこなかった。

  •  自分が留守の間に妻の成宮瑠璃子が行方不明になったというのに驚きもしないミステリー作家・成宮彰一郎。三鷹警察署の佐藤とノボルは最初から怪しいと睨んでおり、やがて証拠をみつけた警察は任意同行をかけ、厳しい取り調べをはじめる。その中で「秘密の暴露」となる証言を導き出し、成宮彰一郎を揚々と起訴するが、それとは全く異なる場所から異なる状態で瑠璃子の死体が発見されてしまい、警察は大混乱に陥る。

     最初から自分が犯人だといわんばかりの態度をとり、任意同行されてもわざと腹が立つような言動を繰り返して警察官が自分を恐喝させるように仕向け、やってもいないことを自白。そして証言は強要されたものだと自分で自分を弁護し、一事不再理を勝ち取る。それによって警察は、こいつは犯人だと確信しながらももう手出しすることができない。「不愉快犯」「完全犯罪」とはなるほどなぁと。小説はノボルの視点と彰一郎の視点、両方から描かれており、読者側は成宮が犯行を行っているのが間違いないのがわかるため、余計に腹が立つ(苦笑)。一度無罪として世に放たれてしまった犯罪者をノボルら警察は捕まえることができるのかどうかが見もの。

  • ミステリー作家の成宮彰一郎の嫁が行方不明になり警察は嫁の足取りを追う。携帯も財布も自宅に置かれたまま、自宅のコップには強姦殺人の前科があるヤクザの男の指紋がついていて、警察は拉致監禁を想定し捜査を続けるのだが…全国に名を残す完全犯罪を目論んだ犯人の自己顕示欲と法律に精査してる頭脳、知能犯の語りは面白い。図書館で借りた本。

  • 面白かった!たった今読み終わった。内容だけ見れば、性根の腐った男の犯した犯罪をどう暴いていくか。それに尽きるが、最後のシーンがなんとも言えないほど秀逸。
    さて、ここからはネタバレ。
    売れっ子作家が、自分の妻で完全犯罪を犯してみたいという、そんな理由で殺し、警察の目を誤魔化し、見事起訴されず、もう殺人の罪で裁かれることは無くなった。そこで、頼りになる先輩刑事を本部に取られた頼りない刑事のノボル。彼に殺人者を罪に問うことができるのか。
    知能が高い犯罪者と頼りない刑事の戦い。殺人の罪で裁けないってところがこの小説のキモ。飽きることなく最後まで楽しめること間違いなし。

  • 成宮というミステリ作家がいた。
    彼の妻は行方をくらませ、そして死亡が確認された。
    彼は妻を殺したのか?
    だとしたらどうやって?なぜ?

    被疑者はみな怪しい。
    同期もそれぞれありそうだ。
    一方、成宮の妻もひと癖のある人物だ。
    だからと言って殺されていいわけではないが、愛憎入り混じった人間だったようだ。

    成宮は不愉快極まりない。
    傲慢で自己中心的。
    自分は誰よりも優れていると信じて疑わないし、注目を浴びたくて仕方がない。
    どこまでが本当でどこからが嘘なのか。
    せせら笑い、高くなりすぎた花を明かしてやりたいが、刑事の砂糖とノボルはどうやって犯人を見つけ、どうやって罪を償わせるのか。
    犯人のプライド、刑事の矜持。
    さて、勝利するのはどちら?

    快楽殺人、愉快犯。
    こうした人種は確かに存在する。
    ひとの心に添えない、自分のためにしか生きられない。
    そうした特徴を持ったひとの全てが犯罪者だと言い切るつもりはないが、時にこうした特徴が他人を傷つけ、恐ろしい方向へ向かってしまうことがあるのは間違いない。

    物語の中だけなら面白いかもしれない。
    多様性は認めるべきだと思うし、「普通」を押し付けることの怖さも理解はしているつもりだ。
    しかし、実際に人を傷つけることを厭わず、チリカスのようにしか他人を見られないような人物が隣にいたとしたら。
    綺麗事ばかり入っていられない、私もそんなふうに相手を扱うしかないだろうか?
    いや、違う。
    一番恐ろしいのは自分は普通だと信じ、そこからはみ出るものに対し先制攻撃をする「普通」の人の心なのだ。

  • 人気ミステリー作家の妻が行方不明になった。
    完全犯罪を目論む作家と警察のバトル。

    木内さんの作品を初めて読みました。
    良かったです。
    次回作も読んでみたい作家です。

  • ミステリー作家の美貌の妻が行方不明になった。自宅玄関には争ったような形跡と微量の血痕。事件か否か、切れ者の佐藤と凡庸な兼子の刑事二人組と、怪しい言動を繰り返す夫の作家の攻防を両者の視点から描いた物語だ。
    この作家のノリのいいスピードと痛快な展開が好きなんだけれど、今回は法の抜け道などが論点になっていたこともありやや減速気味のストーリーだったのが個人的に残念。
    物語の骨格は全然違うのだけれど、「佐藤くん!」と作家が呼びかけるシーンでふと木内一裕の著作である『デッドボール』を思い出した。全然物語の骨格は違うのだけれど。意図的に重ねているのか、単なる既視感なのか。
    ・・・ってここまで書いてなんとなく『デッドボール』のあらすじを見返してみたら、兼子ノボル、って今回のダメ刑事、『デッドボール』の主人公じゃん!
    成宮(作家の名前)って、『デッドボール』に出てくる悪辣弁護士じゃん!
    『デッドボール』の展開からいって兼子が刑事になるわけがないので、これは続編ではなくて著者のお遊びととるべきなのかな。
    最後まで気づかなかったけど著者がニヤっとしながら楽しんで書いている気がする。

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著者プロフィール

1960年、福岡生まれ。2004年、『藁の楯』(2013年映画化)でデビュー。他著に『水の中の犬』『アウト&アウト』『キッド』『デッドボール』『神様の贈り物』『喧嘩猿』『バードドッグ』『不愉快犯』『嘘ですけど、なにか?』『飛べないカラス』『小麦の法廷』がある。

「2020年 『ドッグレース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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