もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら 帝国、逆襲す

  • 講談社
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本棚登録 : 29
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196437

作品紹介・あらすじ

スター・ウォーズは、シェイクスピア時代に上演していた!?AT-ATたちとワンパはセリフを与えられ、ヨーダはふりふりの襟をつけて俳句を詠み、ベイダーとルークの親子対決は美しくドラマチックなポエムに!?ニューヨークタイムズベストセラーが待望の日本語訳で登場!
第一幕 第一場
ワンパ そこで、私はただのワンパとご承知置き願います。
     怒ってみせるのは好きではございません。
     この若者の顔を力いっぱいひっぱたきは致します。
     が、それもただ、食事をするためでしかございません。
第二幕 第二場
AT-AT1 だけど、俺たちを手伝えと誰に命じられた?
AT-AT3 ーピエットだ。
叛乱軍とその小さな基地をぶっつぶすべく
俺をおまえらのところへよこしたのはピエットだ。
第三幕 第六場
フェット 了解。[傍白]史上最大の暗黒界のシス卿が自ら見つけられないやつらを見つけるべく選んだのが俺様だ。だが、俺は何者か。ここにいるほかの連中と違わぬ賞金稼ぎか? いや、それ以上だ。俺は、天下のボバ・フェットだぜ。最悪にして最強。銀河一の恐ろしいハンターさ。
第三幕 第七場
ヨーダ わしを見よ 物の大小 無関係
     このわしは フォースを使いて 強大だ
     生あれば フォースがわしらを 結びたり
     肉体を 超えるフォースを 感ずべし
     そこらじゅう 木にも岩にも フォースあり
     あの船と 大地の間(ま)にも フォースかな
第四幕 第三場
アグノート1 そら、パスだ!
アグノート2 やれ、よこせ!
アグノート3 俺たちゃ働くアグノート!
アグノート2 そら、頭!
アグノート3 胸、よこせ!
アグノート1 せっせと働き、チェックメート!
アグノート3 ドロイドめ!
アグノート1 捕まえた!
第五幕 第一場
レイア姫 [歌う]彼は五尋海の底 氷の墓のなか
       命はあれども 引き裂かれ 悲運の恋の仲
      歌え、ロシュア、ロシュア、ロシュア
第五幕 第三場
ベイダー卿 ーいや、私こそ、そなたの父親だ。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    戯曲風冒険活劇、第2幕。
    映画内で言外に描写される心情や、更には台詞の無い怪獣ワンパやエグゾゴース(ミレニアム・ファルコン号が洞窟だと思って入っていた、小惑星に生息していた大きな生き物)にまで、その心境が丁寧に描かれるのは、戯曲ならではという印象。
    心なしか挿絵も前巻に比べ、丁寧かつ古典風に豪華になっているような……
    映画でも印象的なヨーダの元でルークが修行しているシーン、石やX-ウィングを持ち上げる所の描写は舞台らしい紐で吊った挿絵で表現され、舞台上での演出としてイマジネーションを膨らませられた。
    最大の見せ場である、ルークとダース・ベイダー卿の戦いは『ハムレット』を強く意識させる。

    平行して、注釈からシェイクスピアの戯曲のオマージュや、英語での掛詞を学べる。さらにはちょっと広義に、エリザベス朝演劇における、「人は役者、人生は芝居」という世界劇場(テアトル・ムンディ)という概念を知る。

    翻訳を手がけた河合祥一朗氏があとがきで言っているが、修行中のヨーダの台詞が日本人に馴染み深い七五調になっていることで、詩的で、またそれによる紙面の余白から、瞑想的な雰囲気が醸しだされている。
    日本人に伝わりやすい、詩歌の印象を強めた良い翻訳だと思った。

    だから頷ける――“韻文(ヴァース)とともにあらんことを!”

  • 素晴らしかった。その試みが。
    SWが古典であることの証明だろう。

    ”もし、シェークスピアがスター・ウォーズを書いたら”という副題にあるように、かのシェイクスピアの文体を真似、戯曲のスタイルで書かれている。
    題材となったのは当然Original Trilogyの3作品だ。内容も熟知しているので、1冊読むなら?と考えたが、そこは迷いなくEp.IV「帝国の逆襲」だろう。
     登場人物が増え、なにより独特のしゃべり方をするヨーダのセリフがいかに工夫されているかが最大の関心ごとだ。ネタバレになってもなんなので詳細は書かないが、著者もやはりヨーダの言葉をいかにするかは苦心したことがあとがきの中で触れられていた。見つけた解決策が、日本人としては嬉しくなるところだ。

     登場人物はワンパ(氷の星ホスにいる雪男タイプのクリーチャー。映画では咆哮だけしかない)でさえもセリフを与えられ、堂々の演技を披露する。舞台の袖から袖へと次々と登場人物が現われては退場していく様がユーモラスでもある。
     16世紀の雰囲気を銅版画風の挿絵も醸し出し、登場人物の衣装もレンブラントが描いた「夜警」の人びとのようないで立ちで出てくるのが実に可笑しい。

     SWモノは、ジェフリー・ブラウンの絵本にもすぐ飛びついてしまったが、このシェイクスピア・パロディも相当面白かった。
    「韻文(ヴァース)の共にあらんことを」というプロモート用の一言も効いている。
    とはいえ、3冊とも読むようなものではない。この1冊で十分だ。

     惜しむらくは、シェイクスピアにそれほど親しんでいないこと。もちろん原文でも読んでいない。どうやら原書のほうに登場する独特の表現なども再現(引用?)されているようで、分かっていれば抱腹絶倒なのだろうなと思うと浅学の身が恨めしい。

     誰か、「平家物語」風パロディにでもしてくれまいか? まだそのほうが大笑いできたかもしれない。

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著者プロフィール

1960年生まれ。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。現在、東京大学教授。著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、『シェイクスピア 人生劇場の達人』(中公新書)、NHKテレビテキスト 100分de名著『シェイクスピア「ハムレット」』(NHK出版)など。本書の元となった児童文学『新訳 ドリトル先生』シリーズ他、『新訳 ナルニア国物語』などを角川つばさ文庫にて刊行中。

「2021年 『新訳 ドリトル先生の月旅行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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