十七八より

著者 :
  • 講談社
3.13
  • (3)
  • (7)
  • (15)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 108
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196642

作品紹介・あらすじ

「捨ておけない才気が感じられた」(辻原登氏)
「凝りに凝った文体が緻密で濃厚な文学的味わいを湛えている」(野崎歓氏)
「小説にしかできないやり方で現実と格闘している」(多和田葉子氏)
「世界が単純になっていく中で、『十七八より』はもっとも複雑に書かれている。文学にいま必要なものがここにある」(高橋源一郎氏)
・・など選考委員から絶賛された新人による、第58回群像新人文学賞受賞作。ペダントリーとシニカルなユーモア、豊饒な言葉の魅力にみちた注目作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初めて乗代雄介作品を読んだ。ある女子高生の回想録、という体で話は進むが難解。回りくどいといえば、そう。好みは分かれるだろうが、個人的にはとても面白かった。膨大な知識量を感じさせる修辞、引用、メタ言及の嵐に、これがデビュー作なんておよそ信じられない。町屋良平を初めて読んだときと同じくらい衝撃を受けた。

  • 読みながらこの本の仕掛けに思いを馳せていた。その中で村上春樹のアフターダークを想起したが、読了してみるとそれもなんだか違うように思う。三人称の小説という共通点しかない。一見なにかを言ってるようでどこにも着地しない言説、これが言葉のもつ意味以上に雰囲気を出す。

  • 第58回群像新人文学賞受賞作品。

    かなりの文学オタク向けの作品。うーんわからん! 難しい! なんて思った小説は初めてかも。
    本の最後に載っている選評にも「他の候補作はわかりやすすぎたのかも」と書いてあるし。わからなさ、それから文章の味を楽しむ作品かな。
    ただ、なんでもない日常描写が普通そこ書かないだろっていうくらい緻密に描かれていて、それが不気味さを醸し出している。ホラー映画の日常描写的な。そこは面白い試みだなあと思った。
    本当、別に何が起こるってわけじゃない。少女をはじめとした登場人物は皆どこか非現実的で、そんな会話しないだろーとか言いたくなっちゃうのだけれど、それでいて「ギバちゃん」とか「コンソメ」とか現実的な単語も散見されて、そのあたりのバランスがこの小説世界に歪みを生じさせている。そこが癖になる、のかな。
    あと主人公の少女。最初は「何言ってんだこいつ」ってかんじなのだけれど、読み進めるうちに相当ひねくれた形ではあるが、感傷とか物憂げな気持ちとか孤独への憧れとか、彼女の苦悩にしっかりと十七、八歳の思春期を感じられて親しみをもてるようになった。
    変わり者だけれどね。ウソとかホントとかじゃなくて舌触りのいい言葉を選んでしまって、他人を憎悪して自分を憎悪して、身近な他人が唯一の癒しで、動物に救われる。まごうことなき高校生の女の子。

  • 作中で「何言ってるか、ほんとにぜんっぜん、わかんない」ってセリフがあったんだけど、作品全体がほんとにそんな感じだった

  • 文章のリズム自体は嫌いではないが、結局のところ何を言っているのかわからない表現が延々と続くばかりで萎えてしまった。それでも途中までは俯瞰的に少女の多感な内面を描いているかのようにも思えたのだけれど、後半の叔母との会話はまったくもって意味不明だったし、そこを境にして小説が僕に背を向けてしまった。いったい読者にどんな下地があればこの小説を楽しめるのだろうか?

  • 多分全然分かってないのでとりあえずメモ程度に。
    主人公の少女と叔母は、「最高の任務」に出てくる2人と同一の設定だと思われ、同作が大好きなので前日談として読めて嬉しい。
    超雑に言えば、1周まわって自意識が異常に高い、周りがどうしてもほっておかない見目の少女が世界とどう対峙していくかみたいな話なのかなあ?広すぎて絶望的な言葉の世界と、狭過ぎて絶望的な目の前の現実。いや、全然違うかもしれない。
    叔母さんもいいけど、お母さんがすごくいい。彼女の態度に周りはみんな翻弄されているのに、お母さんだけがNOという。「特にあなたの声は町内で一番通らないのに、笛も持たずにどうやって(中略)生きていくつもり?」「あんたのお喋りははぐらかすのが目的。私は伝えたいのよ。そのためには、どんな言い方したって構わないと思ってるだけ」「ホントいやになる。いつかめちゃくちゃに傷つくに決まってんだから。気の利いたことを言いたいだけ。ホントもウソもおかまいなしで、とにかくふざけてる」お遊戯会の件も好き。家族で焼肉食べに行くシーンは全体的に面白い。
    勉強会一緒に参加してる男の子に主人公がしてやられるとこもグッとくる。それをコンシーラーでなきものにするというのも独特過ぎる。
    最後の病院のシーンはすごい。どんな事実があろうと、目の前でどんなことが起ころうと、ただひたすら自分の世界だけで生きるものが自分の世界に現れた時の独特の感じがビンビンに伝わってくる。
    うさぎよ、ありがとう。
    と、部分部分はおもしろいと思いつつも、全体が全く読めてないので、また時が経ったら再読してみたいと思います。

  • あまり品揃えのよくない我がまちの図書館だが、これを購入する決断をした図書館員に感謝

    『優雅にしかも堂々と休み、軽々し泳ぎ、生き生きと遊び、狡猾に潜み、懸命に格闘する』p.113

    『過去を振り返る時、自分のことを「あの少女」と呼ぶことになる。叔母はそういう予言を与えた。』
    冒頭の意味を計りかねる一文。
    そして後半
    その言葉が『魚のように』って言葉にすり替えられる時が、休みなく訪れるのよ。しかもすり替わったところで、そっくりそのままおんなじ意味なの。それに耐えられる?p.114

    やはり意味をはかりかねるわたしはとほうにくれるのだけれども、文が滑らかでするすると読んでしまい、挙げ句にいい本を読んだと感じてしまう不思議。



    ヨーヌィチ チェーホフ p,110
    この世について深追いする何者かの後ろ姿をみる
    ハック・フィン p. 4
    死んだ人間のことなんか、面白くもなんともない

  • カバーのコラージュは岡上淑子の〈ダンス〉。
    かつて十七歳だった阿佐美景子を表徴するのにこれほど適切な作品はないと思う。
    素顔と分かちがたく癒着した仮面のような澄まし顔。その視線は外側ではなく内側へと向けられている。いかさまのトランプのドレスを身にまとい、すらりと伸びた足を無自覚に惜しげもなくさらし、誰の手をとることもなく、爪先立ちでくるくると独楽みたいに回転しながら遠ざかってゆく。真実をはぐらかし、謎をふりまき、秘密を抱える「あの少女」に貼り付けられた複数の記号をただ一つに固定することは誰にもできない。

  • 自分が十七、八才の娘さんだったころのことを語っているっていうのはわかっていたけれど、呼び方がちょくちょく変化するので混乱してしまった。不思議な比喩も多いし。わざと読みにくくしているんだろうな。いかんせん読解力が足りないもので、正直よくわからなかった。残念。
    こういう小説を読んで、ふむふむなるほどね、と言える人になりたいものだ。

  • 全然…分かりませんでした。
    「不思議の国のアリス」とか「星の王子様」が何度、読んでも全然分からなくて…同じ。笑
    アホなんかな。

    私自身も文中に比喩を使うことが少なくないので、比喩そのものは嫌いなほうじゃないんだけれど、全ての行動に比喩がついてくるのは、ちょっと行き過ぎな気がしなくもない。読むのが辛くなる。本筋がブレてしまう。
    170ページ程の小説だけど、中身は多分…100ページに満たないんじゃないかと思ってしまいました。
    しかも、プロローグで述べられたことに対する答えはなく…小説と言うより、作者の有り余るボキャブラリーを小説ぽく、言葉の羅列を頑張って読んだ。という感。
    もう少し、出し惜しみして、小説にして欲しかったけど…多分、それは作者の意図じゃない。
    やっぱり、私がアホなんだと思う。

    2016.2.13
    今年の3冊目

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1986年、北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年、「十七八より」で第58回群像新人賞を受賞し、デビュー。2018年、『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞を受賞。著書に『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』がある。

「2021年 『旅する練習』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乗代雄介の作品

ツイートする
×