「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気

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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196741

作品紹介・あらすじ

「ヤマトがあったから僕はアニメを見続けることができた」――庵野秀明(監督・プロデューサー、2008年・西崎義展との対談より)

日本アニメの金字塔「宇宙戦艦ヤマト」が誕生してから40年以上になる。生みの親であるプロデューサー西崎義展(1934ー2010)はすべてにおいて「特異な男」だった。交流をもった者は誰もが彼を「悪党」と評しながらも、そこには深い愛憎が見てとれる。いまや世界の文化である日本アニメを語るうえで無視することができない西崎義展の存在を、その大いなる成功と挫折から綿密に描く初の本格的ノンフィクション

「宇宙戦艦ヤマト」のプロデューサー・西崎義展が、遊泳のため訪れていた小笠原・父島で船上から海へ転落。午後二時五八分、死亡が確認された―。
 平成二二(二〇一〇)年一一月七日、その夜半にもたらされた一報に首をかしげる関係者は少なくなかった。
「もしや西崎は消されたのではないか。あの男はそれだけの恨みを買っている」
 またたく間に、本気ともブラックジョークともつかぬ他殺説が世間に流布されていった。(「序章」より)

感想・レビュー・書評

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  • ・関われば面倒な人であり、正の人徳を体現していたのが手塚治虫であれば、負の人徳と表現されていたのが西崎義展という稀有なプロデューサー
    ・これだけ人に嫌われながらも人が離れていかない特異なプロデューサー
    ・悪党プロデューサーとして周囲に多くの敵をつくり、いつ消されてもおかしくない人物
    ・あまりに有名な宇宙戦艦ヤマトであるが、自分はヤマト世代ではなかったために観るきっかけを逃していたが、本書により初めてヤマトへの視聴意欲を駆り立たされた
    ・初映画制作は自腹で出資し、空前の大ヒットにより利益を総取り、ド派手な私生活を繰り広げた
    ・その栄華を満喫した後、破産・服役という絵に描いたような転落劇をみせたが、服役後は映画制作にこぎつけ、盛者必衰の理を見事に覆した
    ・30代後半で芸能ビジネスからアニメ業界に転身、営業としても手腕を発揮
    ・あの漫画の神様、手塚治虫をも手玉にとって権利をひっぺがえした
    ・宇宙戦艦ヤマトを生み出す前の経歴ですでにカレンダーなど版権ビジネスで成金にのしあがっていった
    ・公演プロデューサー時代の西崎は、ヤクザにピストルを突きつけられるなど揉めていたが、生き残るためには女を抱かせ、酒を飲ませ、金を握らせる
    ・現在のアニメ制作は共同出資による制作委員会方式であり、リスク回避のために作品選定も原作が売れている事が条件となっている。「ヤマト」は独立プロデューサーによる完全オリジナルアニメのテレビ放映決定というアニメ界の快挙を成し得た
    ・人の金を当てにせず、自腹でヤマト制作にあたったからこその迫力と独立プロデューサーとして独裁的に仕事を進める事ができた
    ・版権ビジネスとコンテンツビジネスを作り上げた人物でもある
    ・家族を顧みなかったのは、金と権力で支配してきた仕事とは違い、家庭では通用しないことが分かっていた為に苦手意識があったと言われている
    ・覚醒剤や銃刀法違反で事件を起こし、女性遍歴もめちゃくちゃ、関わった様々な関係者にも恨まれ、何もかもが嘘であった西崎プロデューサーであるが、「ヤマト」への尋常なまでの愛だけは本物であった事が、唯一彼の人生に光を当てた

  • ヤマト自体はキチンと見ていないのにも関わらず、音楽が好きでサントラを買って聴き込んだウン十年前。
    西崎義展の生い立ちを知って納得。

  • 優れたドキュメントであると聞き、読みました。

    こんな人いるんだ、という驚きが正直なところ(笑)
    この本を読んで、
    素晴らしい作品を作るには、ぶっ飛んだ個性が必要なんだ、
    と結論づけることは簡単ですが、
    じゃあ、西崎義展さんみたいになりたいかと言われれば、そうでもない。

    なにを学べばいいのだろうか、難しい。
    ただ、どん欲に成功を目指す姿、仕事に傾けた情熱は、とてもうらやましいです。

  • 以前読んだ『ウルトラマンが泣いている』を思い出しました。
    『宇宙戦艦ヤマト』を世に送り出した男・西崎義展さんの
    波瀾万丈(本人もだけど周囲にとっても)の生きざまを綴った一冊。
    まあいろんな意味で大変な人だったんだなぁと感じつつ、
    人に迷惑かけちゃいけないけど、このくらいのパワーや図太さがなくては
    大事は動かないんだろうなと、ある種敬服してしまうところも。
    改めて『宇宙戦艦ヤマト』『海のトリトン』『ワンサくん』などを
    観返してみたくなりました。

  • #「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男西崎義展の狂気 読了。やっと読めた。評判通り無類に面白かった。初めて出会ったアニメがヤマトだった者として、その当時の状況が知れて興味深い。しかし西崎さんというのは器が大きいのか小さいのか?両方が混ざり合う、昭和の人間の「過剰さ」がここにもある。

  • <本全体、あるいは各章ごとの概要>

    <個人的な知識・ターム>
    * 覚えておきたい事(本全体の主張と関係なくともよい) + キーワードで興味のあるもの
    * 短い説明とページを記入
    <引用>

    <自分の見解>
    * 読後感・意見・反論・補足など書きたいと思ったこと

    <読書回数>

  • 面白そうだけど、Kindle版はないようなので、とりあえず購入!

  • 【由来】
    ・MyYahooの講談社コンテンツ

    【ノート】
     一気に読んだ。宇宙戦艦ヤマトが好きだった人には面白く読めるはずだけど、作品理解が深まるような内容ではありません。
     TV版が発進したのはどのような経緯と情熱があったのか。その情熱を発信した西崎義展とはどのような人物だったか。俗物性を隠しもせず、愛人を何人も囲い、あまつさえ、同じマンションに住まわせるなどの奇行に事欠かない山師。そんな西崎氏の言動や詐欺まがいのエピソードの数々、そして事態の突破力や魅力。そんな舞台裏の情景が関係者の証言に基づいて組み立てられている。松本零士氏との原作者裁判の裏側事情もあるし、収監後の「復活編」完成までの道のりも面白い。また、その最期はヨットからの転落事故と当時は報道されており、間違ってはいないのだけれど、本書ではかなり詳細に、その時の様子が再現されている。やっぱり、宇宙戦艦に燃えた人は、西崎氏の最期の様子まで読み遂げてほしいと思う。

     西崎義展という人は本物のプロデューサーでありクリエイターだった。ジョブズに通じるものも感じる。ガンダムの富野監督が西崎のことを「敵」と呼び、ロマンと熱情だけであそこまでヒットした作品に負けるわけにはいかないという心情を持っていたというのが印象深い。
     70年代のヤマト、80年代のガンダム、90年台のエヴァ。最初に切り拓いた西崎氏が一番すごかったとは言わないが、最初の壁を突破するには並大抵の人間では務まらなかったのだろう。

     凋落していったウルトラマン陣営(エックスでちょっと持ち直したかなという印象だけど)、うまいこと軌道に乗せた仮面ライダー陣営。前者は円谷プロの初期メンバーという、チームによって生み出されたのに対して後者は石ノ森章太郎という個人によって生み出された。ヤマトは西崎義展という個人によって生み出されたが、あまりにも西崎氏個人に属し過ぎたため、本人の退場と共に没落していくのだろうか。出渕裕によるリメイクであるヤマト2199は出色の出来だったが、継続性や今後の発展性という点ではちょっとなあ...(STAR TREKのように歴史改変のリブートという線も採れなくはないだろうけど、それよりは深掘りの方がありそう)。

  • リアルタイムにブームを知るヤマト世代として興味深く読了。このぐらいアウトローじゃないとできない仕事ではあったのかも。松本零士との原作者争いの中身もよくわかった。やっぱり原作は西崎氏として認めてあげたい。

  •  牧村康正・山田哲久著『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』(講談社/1620円)読了。

     私世代にはなじみ深い名前――『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサーにして「生みの親」・西崎義展(よしのぶ)の生涯をたどったノンフィクション。

     共著だが、執筆・構成は牧村によるもの。西崎のアシスタント・プロデューサーであった山田は、いわば“筆頭証言者”としての役割だ。
     山田以外にも多くの関係者に取材して書かれた力作ノンフィクションであり、「ヤマト世代」には面白い本。

     何より、西崎の人物像が強烈で、それが読者を引っ張る駆動力となる。
     傲岸不遜で見栄っ張り。大ぼら吹きの山師。金にルーズ。自分の会社の社員たちに対しては朝令暮改の独裁者。儲けた端から湯水のように散財し、取っ替え引っ替えの愛人を平然と自分の秘書にする。

     それでいて、プロデューサーとしての力量は天性のもの。金持ちを口説いてカネを調達する能力とか、大企業の偉いさんを口説いて企画を通す能力などが抜きん出ているのだ。

     こんな人間が身近にいたらたまらんだろうな、と思う反面、映画界の独立プロデューサーはこういう人でなければ成功できないのだろうな、とも思う。
     カリスマの複雑な人間像を鮮やかに描き出す一冊であり、「狂気」と冠されたタイトルとは裏腹に、著者たちの西崎へのリスペクトも感じ取れる。

    「なにもか嘘だらけの西崎さんですが、『ヤマト』への愛情だけは本物だったのでしょう」
     
     ――これは、西崎の秘書を務めた女性(愛人ではない、ホントの秘書)のコメント。通読して、私も同じ感慨を抱いた。

     西崎と、あの山崎正友との深い関係についても言及されている。山崎の「シーホース事件」に巻き込まれたことが、西崎の破滅の契機になるのだ。
     本書に描かれた西崎の行動には山崎とよく似たところがあり、2人のウマが合ったというのも納得がいく。

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著者プロフィール

1953年、東京都に生まれる。立教大学法学部卒業。竹書房入社後、漫画誌、実話誌、書籍編集などを担当。立川談志の初の落語映像作品を制作。実話誌編集者として山口組などの裏社会を20年にわたり取材した。同社代表取締役社長を経て、現在フリージャーナリストとして活動する。著書には『ごじゃの一分 竹中武 最後の任侠ヤクザ』(講談社)、共著に『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』(講談社+α文庫)がある。

「2020年 『ヤクザと過激派が棲む街』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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