ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌

  • 講談社
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本棚登録 : 35
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196871

作品紹介・あらすじ

ハロルド・フライがイギリスの端から端まで歩いて会いにくると知ったクウィーニー・ヘネシーはショックを受ける。手紙には、もう何日も生きられないと書いたはず。動揺するクウィーニーに、ホスピスのシスターがもう一度彼に手紙を書くことを勧める。ただし今回はハロルドにすべてを打ち明けねばならない。キングズブリッジを逃げ出して20年、その間ずっと隠しつづけてきた秘密を打ち明けることが過去を償うことになる・・・・・

感想・レビュー・書評

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  • 前作「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」が今ひとつだったので、正直わざわざ続編(正確には姉妹編)を読む気はなかったのだけれど、こちらの方が良かったという感想を聞いたりもして、つい手に取ってしまい、結果として大失敗でした。

    まず、私は死を感動のタネとする作品が好きではない。
    この作品(前作も)は、末期がんの患者を1000キロも離れたところから歩いて見舞いに行くという時点で現実的ではなく、設定のあざとさが鼻につく。
    枯葉はいつかは散ってしまうからこそ、O・ヘンリーの作品が成り立つのだ。
    1000キロ先からなら、何としてでも会いたいのなら、交通機関を使え!とハロルド・フライには言いたい。

    そしてクウィーニー・ヘネシー。
    残された時間が少ないのは彼女自身のことなのに、どうしても言っておかなければならないことを書くと言いながら無駄が多すぎる。
    散々仄めかせているから、彼女が言わなければならない秘密は容易に想像がつく。
    なのに自身の生い立ち、ハロルドとの出会い、二人の距離の変化、並びに別れた後の暮らしや現在の様子…一向に核心に近づかない。

    もちろん現実に向き合うのが怖い、という気持ちは分かる。
    けれども自分の残り時間を考えて、言わねばならないことを先延ばしにする余裕がないことは分かるだろう。
    普通ならまず、言わねばならないことから書くのでは?

    そうすると小説としての盛り上がりに欠けますか?
    だとしたらその設定で盛り上がりを演出できない、作者の力量不足でしょう。

    シスター・メアリ・アンコヌーについても、正体はうすうす感づいていただけに、最後の修道院長手紙は蛇足。
    もっと上手に正体を明かすか、それができないなら読者の想像に任せるべき。

    クウィーニー・ヘネシーがなぜ生涯の最後に手紙を書くことにしたのかは、キリスト教徒として救われたかったということなのでしょうか。
    キリスト教徒的には、これでハッピーエンドなんでしょうね。

  • 先日読んだ「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」のクィーニーサイドの話。
    そう、私もクィーニーの話を聞きたかった。そもそも最初のハロルドへの手紙に、なぜ会ったこともないはずのデイヴィッドのことがああいう風に書いてあるのか、ずっと引っかかっていたので。「愛の歌」なのはまあ、わかっていたけど。
    ちっぽけで、短い人生の果てに死すべき存在である人間にとって、人生はなんて重いのだろうと思った。遠くはなれたところで一人の人を愛し続けて20年、庭を作って20年、あっという間に時間が経ち、それで病気になって人生は終わってしまう……重荷を積み残したまま。
    だから折り合いをつける。その時間がクィーニーは充分にあってよかった。ある意味ハロルドとモーリーンにも。
    最後のひねりは素晴らしい。ああ、そうだったのかと胸を衝かれて、そして救いが完全になった。
    大柄で男の人のようなシスター・アンコヌーは、お母さん――を重ねてるのかな?
    前巻もだけど、訳も良かった。ハロルドもクィーニーも自己抑制の効いた品格のある人なので、その雰囲気が出ている良訳だったと思う。

  • 前作を読んだのが随分前で
    また借りて読んでしまった
    そっちからのお話
    そうだったのね・・・
    終わりよければ

  • 最後100ページくらい半泣きで読んだ。実はこれを書いている今も半泣き。人生の取り返しのつかない悲しみが容赦なく描かれているのに、それでも人生というのはギリギリ生きる価値があるのではないか、と希望めいたものすら感じさせてくれた。文章が詩のように、ただただうつくしく、読んでいるだけで魂が洗われるようだった。

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著者プロフィール

イギリス生まれ。前作『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』が2012年に刊行されるやいなやブッカー賞候補にノミネート。同年National Book Awardsにより「今年もっとも期待される新人」のい選ばれ、以降世界36ヵ国で刊行される。

「2016年 『ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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