藪医 ふらここ堂

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 330
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196895

作品紹介・あらすじ

天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖の江戸の小児医。朝寝坊する、患者を選り好みする、面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう出鱈目っぷりで、近所でも有名な藪医者だ。ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくるようになり、三哲の娘・おゆん、押しかけ弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さんなど、周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂の先行きは、いったいいかなることに──。
当時の医者事情、教育現場、夫婦と家族の有り様から、恋愛指南まで盛り込んで、人情と笑いたっぷりに描く、お江戸“子育て”小説誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 吉宗公か、それより後くらいのお江戸が舞台のようです。その頃にはもう小児医がいたのですね。破天荒な三哲は周りから藪医者と評されていますが、医術に対する信念があります。それは現代にも通じる、自身の自己治癒力を促すもの。子育てしている時に知りたかったです。三哲の娘・おゆんは同世代の子らとうまくやって行けず、年嵩のご近所さんや幼馴染の次郎助に囲まれて居心地良く暮らしていて、まるで自分を見ているようでした…

  • 身なりに構わず、寝坊、酒飲み、気に食わない患者は怒らせるあるいは逃げる。
    そんな型破りな小児医・天野三哲。
    本当は『藪医』ではないのだが、その辺りをもっと楽しく魅力的に書いて欲しかった物足りなさがある。

    お亀婆とお安おばさんの熟女による鞘当ては楽しかったが、次郎助・おゆん・おみちの三角関係はいま一つ。
    ドタバタとシリアスとのバランスがもう一つだったのでテンポが悪かった。
    ただ続編があるのかも知れない。

  • 図書館で借りたもの。
    天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖の江戸の小児医。態度は悪く、本人が子どもよりも手がかかる。
    神田三河町界隈で「藪のふらここ堂」と渾名されている。
    ふらここ=ブランコ。

    小児医の三哲と娘のおゆん、お湯の幼馴染・次郎助に取上婆のお亀婆さんなど、親しみがわく登場人物ばかり。
    三哲は態度は悪いけど、藪ではなさそう。
    当時の医者やお産について、とても興味深く読めました。

    スピンオフで取上婆のお亀婆さんの話が読みたい!

  • 「ひゃあ、あたし、胴震いしてる。」
    こんなに臨場感のある出産シーンは読んだことない。凄い、スゴイの一言です。
    最初はNHKBSの時代劇みたいな、ゆるいなぁ〜と思っていたら後半の盛り上がりが凄い、スゴすぎます。
    出産シーンは泣きました。
    是非とも映像化を希望します。三哲は長谷川博巳、おゆんは川口春奈、次郎助は誰がいいかな。濱田岳かな。待ってるよっ、NHK!

  • 良く出来た娯楽時代小説です。
    ある意味で登場人物はステレオタイプな設定です。
    面倒くさいが口癖でいい加減なようだが実は名医っぽい父親の天野三哲。軽薄そうだが実は一本気のところがある主人公とは幼馴染の押しかけ弟子・次郎助。人づきあいを怖がるが。ここという時は頑なになる主人公・おゆん。こう書いてみると「何々だが実は・・・」という人物設定ばかり。ただ不思議なのは、普通は「実は」の方が主題になるのですが、この小説では「実は」は最後まで脇役で、主役は「何々」の方です。そこらがまかてさんの工夫かもしれませんが、ちょっと違和感として残ります。
    とは言え、読んでいて楽しく、一気に読了しました。

  • 面白かったよ。是非とも続編を出して頂きたいです。

  • これはシリーズにならなかったけど、
    読みやすかった。
    おゆんと勇太の未来が、知りたかったのだけど。

  • 籔医者として名高い小児医・天野三哲とその娘・おゆんを取り巻く人々との人情噺。当時、子どもを専門に診る医者がいたのか~というのがまず驚きで、江戸の若者の恋愛事情とか、”御乳持”なんて御役があったというのも興味深かったです。まぁ、三哲が実は医家の出身で…っていうのは初めから見えてたけども、ホントは良い腕を持ってるのに最後まで面倒くさがりの”籔医者”を貫くあたりはかえって好感が持てましたね(生活の事を考えるとヤキモキするけど)。ていうか、次郎助はちゃんと一人前の小児医になれるのか…おゆんちゃんとの行く末以上に気になります。

  • 現代でこの筋書きの話だとそれほどほっこりはしないはず、
    江戸の力恐るべし。

  • 庭に"ふらここ"(ブランコ)がある小児医、「ふらここ堂」を中心に、人々の悲喜こもごもを描いた話。
    自由すぎる父・三哲や、近所のおばさま達に振り回されつつ成長してゆく、おゆんの心情が瑞々しく描かれているのが良いですね。
    登場人物の個性も豊かで、なかなか味わい深く仕上がっています。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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