小説 新聞社販売局

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197090

作品紹介・あらすじ

◆リアルに明かされる、ふしぎな新聞の裏側◆

全国紙の元社会部記者が
新聞業界「最大の暗部」を描いた、衝撃ノベル!

新聞の原価は購読料の6割!?

新聞は「折り込み広告の包み紙」!?

ビジネスホテルやファミレスで
「ご自由にお持ちください」と
新聞が山積みになっている理由とは!?

あまりにも特殊で歪んだこの商法が、
新聞の存続を危うくしているのではないか!?

新聞を愛する人にこそ読んでいただきたい、
知られざる舞台裏とは――。

--------------------

某全国紙の大阪本社。

編集局から販売局に左遷された元社会部記者が、
複数の新聞販売店を束ねる「担当員」となり、
やがて知りたくなかった「闇」に足を踏み入れていく。

崩壊寸前のビジネスモデルに愕然とし、
「残紙」に抗議する大物販売店主の「入金拒否」に苦慮する
主人公・神田亮一39歳……。

「押し紙」を巡る激しい攻防、暗黙の裏ルール、
知る人ぞ知る「大幅値引き」、まさかの「公称部数水増し」!?

さらに、「天ぷらカード」、「抜き取り」、「ゴミ出し」、
「預け」、「ピンピン」、「ピンサン」と次々出てくる隠語の数々。

はたして「闇」はどこまで深いのか?

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、ノンフィクションではなく、「小説」である。
    大手新聞の元社会部記者が、敢えてノンフィクションではなく小説という形式、フィクションという形式を選択して書きたかった真実とは....

    マスコミ、特に新聞は「権力の番人」として機能することを目的として発展してきたはずだ。
    国民の知る権利を守り、時には権力者と反対する意見を展開することにより、社会変革すら引き起こすことがある。
    その高邁な理想をもっている新聞社が、販売戦略となると少し怪しくなる。

    バイクに景品を山積みし、新聞社主催のイベントチケット、野球の招待券をもち、いま契約している新聞の契約期間がきれたらでいいからうちで契約してくれと、時には懇願し、時には強引に取引を強要する。

    公称発行部数は実際の配達部数をカウントするわけではなく、新聞社から販売店に送付された新聞の部数。
    そして、実際に配達される新聞の中には、実際に顧客がお金を支払って配達されている部数と、配達されてもお金にならない部数、新聞契約の際に「いま契約してくれるなら3か月は無料で配るから」と契約時に持ちかけられたり、ホテルでご自由にお持ちくださいと山積みされる部数なども含まれる。

    もちろん、新聞業界には実際に家庭等に配達される部数と、強制的に販売店に配達される部数の差額、いわゆる「押し紙」または「残紙」は存在しない。
    しかし、なぜかオークションサイトには、配達された形跡のない、配送されたそのままの新聞紙が梱包用として売り出されている。

    その新聞業界の抱える真実。新聞社の表面にでてこない販売部門の真実を、元社会部の記者が明らかにする。
    実在する人物であるから、ノンフィクションという形では表に出すことができなかった、真実の闇であると私は思った。
    新聞販売店は、配送された部数の新聞代を新聞社に納入する。しかし、その費用には押し紙の費用も含まれる。当然、売り上げに入っていない新聞の原価も含まれる。そのため、すべての販売店が必ず全額を納入できるわけではなく、入金が滞る場合もありうる。しかし、新聞社には公式には押し紙は存在しない。
    そのため、中には販売店が支払うべき費用を、販売店を担当する営業員が.....

    全体を小説仕立てにするために、いくつかの他のエピソードも織り込まれ、また、強引かつ不公正な加入事例などにも言及され、また展開が早くとても読んでいて面白い。

    いま、まさに、いままで全く議論されなかった、「一部宅配新聞」への軽減税率の適用が、唐突に税調の報告に織り込まれたばかり。新聞は決して権力の番人などではなく、権力にすり寄る番犬であり、その飼い主は国民ではなく権力者であるということが白日に下に晒されている。
    そもそも、どれだけの新聞が実際に読者に届き、お金を支払って読まれているか。その事実を当の新聞社でも把握できていない現実。そこに税の優遇を与えるなどという話は、本来議論にすらなり得ない、荒唐無稽な話であるということが良くわかる。

  • 何回か挫折して漸く読み切った まあ想定の範囲内のストーリー
    サラリーマンの習性p320
    利害が関係ないテーマには何とでも言える
    しかし不利益が自分に及ぶとなると大抵はまともでなくなる
    サラリーマンはやり直しがきかない
    一人ひとりの保身が積み重なって、組織全体を蝕む「がん細胞」になる

  • 「押し紙」という新聞社の暗部を中心に物語が進み、最後まで引き込まれるように読み終えた。予想以上の内容で、満足度高し。新聞に興味があり、好きな方ならおすすめです♪

  • 仕事関係で、新聞業界の仕組みを知りたいと思い読んでみた本。
    前半は、新聞販売(宅配)システムの説明。
    後半は、記者職で入社した主人公が、不条理な扱いで販売職に左遷されるが、恨みを晴らし記者職に復帰するという、勧善懲悪型のきれいな型にはまった物語。十分小説としても読める。

    「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」
    あるいは、特定の新聞社に対しては「新聞は、アカが書き、やくざが売って、バカが読む」とまで言われる。
    利益を得る、という事業の一番大切な部分が、なんだか怪しい新聞事業。

    お仕事上の役にちょっとは立つかもしれない。

    以下、blogsでの筆者インタビュー記事の抜粋

    「小説の形態をとっているが、新聞社が販売店に必要以上の新聞購入を強制する、いわゆる「押し紙」をめぐる販売店主と新聞社社員の攻防や公称部数の水増しの実態などを生々しく描写している。」

    私は元々ある新聞社の記者だったのですが、退社する直前の2年間は販売局にいました。いわゆる「押し紙」 の問題に代表されるように販売現場が苦境に陥っていることは、元々ある程度わかっていたのですが、実際の現場は想像以上だったのです。

    これまでもジャーナリストや販売店の関係者が、「押し紙」問題についての本を出版したことがあったのですが、それらは言わば「新聞社が下請けをイジメているという構図の中で描かれたノンフィクションでした。

    しかし、一方で「押し紙」をしている分、新聞社は販売補助金を出して販売店を支えているのです。そのため「押し紙」が増えれば、補助金もドンドン膨らみ、新聞社の経営に跳ね返ってくる。新聞社が自分で自分の首を絞めることになっているにも関わらず、なぜこの「押し紙」政策をやめられないのか。こうした構造から抜け出せないから、業界が右肩下がりになっているのではないか。

    しかも、新聞社は「押し紙」の存在を絶対に認めません。社内では会話の中でも「押し紙」という言葉すら使わず、残紙や予備紙という言葉に置き換えています。こんな暗部を抱えて、新聞の将来が本当にどうなっていくのか、という販売の現場で感じた疑問を世の中に問うてみたかったのです。

    http://blogos.com/article/152549/

  • 補助金と押し紙と折り込み広告
    三位一体の販売店の収益構造が崩れた

    入金率維持するための自腹とか。
    結構ダークな世界。

  •  
    ── 幸田 泉《小説 新聞社販売局 20150909 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/406219709X
     
    ── 永田 正行《新聞はいつまでも「インテリが作ってヤクザが売る
    もの」でいいのか? 20160101 BLOGOS編集部》
    http://blogos.com/article/152549/
     
    ── 幸田 泉《ルポ 20180210 文藝春秋3月号》
     幸田 泉 元全国紙社会部記者 19‥‥‥ ‥‥ /作家
    https://www.facebook.com/search/top/?q=%E3%81%84%E3%81%9A%E3%81%BF+%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%A0&init=public
     水野 辰亮 日経新聞販売所長 1961‥‥ 東京 201712‥ 56 /焼身自殺
     □□ □□ 読売新聞販売店主 19‥‥‥ 山形 201407‥ ? /自殺
     
    …… 2017年末、東京中心部のオフィス街・大手町のビルで火事が発生
    した。火元は日経新聞社東京本社ビルのトイレ。この火事で男性が1人
    亡くなった。1週間後、警視庁は男性の身元を発表。亡くなる1カ月ほど
    前まで東京都練馬区で日経新聞の販売所長をしていた水野辰亮さん(56)
    だった。水野さんは、焼身自殺をした可能性が高いという。新聞販売店
    関係者はこう推し測る。
    「今、新聞販売店は本当に苦しい状況に追い込まれている。水野さんは
    本社に対して『抗議の自殺』を遂げたのだ」
     新聞の読者離れが言われ始めてもう20年近く経つが、特に直近10年は
    業界全体の凋落が激しく、販売店への重圧は増すばかり。実は近年、表
    面化はしていないものの、新聞販売店主の自殺は多発している。前出の
    水野さんだけに限った話ではないのだ。
     
    『小説 新聞社販売局』で、新聞業界の闇を描いた元全国紙社会部記者
    の作家・幸田 泉氏が、多発する自殺の実態に迫った。
     水野さんが経営していた販売店
    https://news.nifty.com/cms_image/news/item/12113-6168/thumb-12113-6168-item_l.jpg
     
     201407‥ に山形県内で自殺した読売新聞の販売店主を知る別の販売
    店主は、「経営難で従業員に給料を払えなくなっていると聞いていたが、
    まさか自殺してしまうとは……。同じ苦労をしている仲間として、彼が
    そこまで困っているのに気付いてあげられなくて申し訳ない」と悔やむ。
     
     取材を進めていくと、朝日新聞や毎日新聞でも販売店主が自殺した事
    例があった。彼らが死を選んだ背景には何があったのか。幸田氏の詳細
    なルポの全文は、2月10日発売の『文藝春秋』3月号に掲載されている。
    http://bunshun.jp/articles/-/6168
     
    (20180211)
     

  • 全国紙に1989年から25年間、勤めたという元記者による小説。新聞社が販売店に押し付けている「押し紙」「残紙」を巡って販売局の担当員と店主との間に人間ドラマが展開される。実部数が6割という報告書を見る場面や、署長の官舎に夜回りに行く場面など、迫真性に富んだ描写も特長。ついついフィクションであることを忘れさせられる。それにしても、販売店が入金拒否したら、担当社員が立て替えなければならないなんて、ブラック企業も真っ青の話。本当に行われているのなら自殺者が出るのではと心配になってしまう。

  • 小説としての中身はともかく、当然のように語られる押し紙や残紙の実態がすごい、というかひどい。

    まさに「インテリが作ってヤクザが売っ」ているとしか言いようがない。

  • HUMICでの請求記号「913.6/Ko 16」

  • もっと大胆に内幕を暴くものかと思ったが、だんだんと小説っぽくなった。
    最後の方はドタバタ過ぎて落ち着いて読めなかった。
    テレビドラマならお笑いからのタレントが主人公を務めそうな内容。
    池井戸さんの作風のような最後は勧善懲悪の世界でした。

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著者プロフィール

大学卒業後、1989年某全国紙に入社。支局勤務後、大阪本社社会部では大阪府警、大阪地検、大阪地高裁、東京本社社会部では警察庁などを担当。その後、大阪本社社会部デスク、同販売局などを経て、2014年退社。

「2015年 『小説 新聞社販売局』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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