終わった人

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197359

作品紹介・あらすじ

定年って生前葬だな。
衝撃的なこの一文から本書は始まる。
大手銀行の出世コースから子会社に出向させられ、そのまま定年を迎えた主人公・田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れる。年下でまだ仕事をしている妻は旅行などにも乗り気ではない。図書館通いやジムで体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵抗がある。どんな仕事でもいいから働きたいと職探しをしてみると、高学歴や立派な職歴がかえって邪魔をしてうまくいかない。妻や娘は「恋でもしたら」などとけしかけるが、気になる女性がいたところで、そう思い通りになるものでもない。
これからどうする?
惑い、あがき続ける田代に安息の時は訪れるのか?
ある人物との出会いが、彼の運命の歯車を回す──。
シニア世代の今日的問題であり、現役世代にとっても将来避けられない普遍的テーマを描いた話題沸騰必至の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 定年後時間を持て余し弱気になっていく自分の父の気持ちを理解する手助けになるのではと読んでみた。

    女性の作家さんだけど、この年代の男性の心理がリアルに描かれている。

    日々の先に目指すものや張り合いのない世界はやはりしんどいものだ。
    それを見つけるのはもがき続ける本人自身でしかなく、周りの言葉だけで軽くどうにかできる葛藤ではない。

    その前提に立ったうえで、父に私ができることは「終わった人」として遠目から見ることではなく、日々を葛藤して生きている「明日のある人」として見方を変えて応援し見守ることなのかもしれないと感じた。

  • 新書「定年後」で紹介されていた小説3冊のひとつ。
    「孤舟」に似ているが、それよりも波乱万丈な定年後だった。

    「思い出と戦っても勝てない。勝負とは今と戦うこと。」これが本作のキーだろう。

    なお、奥さん(千草)が凄い。娘(道子)も凄いが。

    以下は千草のセリフと場面。本文を読んでいないとピンとこないだろうが、ここは震えた。

    千草「田代の家内でございます。鈴木社長に出会えたこと、主人も私も誇りに思っております」181p
    千草はやがて立ち上がり、キッチンへ駆け込んだ。泣く気だろうか。「壮さんにはピッタリの話だ。やった方がいい」トシはつぶやき、俺はキッチンの方を気にした。泣くどころか、千草はシャンパンを抱え、笑って出て来た。191p

  • 2016/06/17-18
    一気読み。
    いやぁ、怖い。自分の将来を見るよう。人事は他人が決めること。能力だけでは上にはなれない。派閥の影響などもある。
    仕事だけで生きている人にとって、定年は確かに生前葬だと感じる。特に自分の周りの人間が毎月のように定年になりパーティをやるとそう感じる。自分が定年になるまでには20年はあるが、恐らくあっという間。自分と家族の間で楽しめる趣味や、仕事以外でのキャッシュポイントはやはり必要だと強く思った。

  • 年齢を重ねると共に、世間の評価と自分の評価が乖離していくんだろうな。「終わった人」である事を認められない。いろんな所でそういう人を何人も見てきた。
    定年前後は人間性がオカシクなってしまう人が多い。そして右往左往する。人の評価は気にするくせに、自分勝手でどうしようもない。だから関わるとケンカになる事も多い。そういう典型的な男が描かれていた。東北地方の新聞連載なのでオチが311関連のNPOってのもリアル。そこでも失敗を繰り返すのだろう。でも、資産失っても年金500万ってところが超恵まれてるし、頭いいなら個人資産を家族に名義変えぐらいしとけよ。とツッコミたくなる。女はプライドがない分強いというだけでなく、そのズルサも描かれているのもよかった。

  • 私は壮さんより少し年上の67歳。会社勤めの友人は悠々自適な生活を送っているようだ。私は定年の無い仕事だが、どこかで自分で定年を作らないといけないと考えている。
    人は定年の無い仕事でいいねと言うがそうだろうか?
    事業承継や自分のそう長くは無い人生を考えるとやはりどこかで一線を引かないといけないと思う。
    壮さんのように会社の社長はもういいし、かと言って趣味や孫達の世界で生きて行こうも思わない。帰る故郷も無いし…。悩める前期高齢者の一人です。

  • 読みやすく、且つおもしろかった。
    主人公のその時その時の気持ちがリアルな感じに描かれている。
    ジジババって言い方がなんかツボにはまった。

    映画も見てみたいなぁ〜。なんとなぁーく、館さんがチラチラしながら読んでいた。

  • 頼まれて社長になったのに借金は一人で背負うのか。大変。

  • 「終わった人」
    公開日:2018年6月9日
    大ヒットのロングセラー、豪華キャストで映画化。エリートコースを外れて子会社で定年を迎え、「終わった人」と周囲に見られるようになった壮介。後ろ向きだった彼は、妻からも距離を置かれるようになる。しかし、とある出会いが彼を変えた。壮介は、「終わった」というレッテルに抗するように、勉強、再就職、恋へと励んでいく。そして熟年夫婦の新しい愛の形とその結末は─?
    キャスト:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、田口トモロヲ、臼田あさ美、内館牧子、今井翼
    監督:中田秀夫

  • 仕事人間が定年を迎えたら?
    エリート銀行員・田代壮介(63)の場合。

    東大法科を出てメガバンクに就職、エリートコース一直線で辣腕をふるって来た田代は、役員を視野に入れたところで突然出世コースから外される。
    出向、転籍で、定年を迎えた。
    彼はどこで「終わった」のだろうか?
    妻は美容師として生き生きと働き、別のレールを進む…この辺りの関係も「終わった」?
    男としても「終わった」?

    その辺のいわゆる「ジジババ」と一線を画そうとするものの、蟻地獄に落ちてゆくがごとく、一つづつ、自分も「ジジ」なのだと納得せざるを得ない様子がつぶさに描かれているあたり、リアルで恐ろしい。

    しかし、ここまでは誰にでもある話だったかもしれないが、「サラリーマンとして成仏していない」田代は、もうひと旗挙げようとする。

    徹底的に裸にならなければ見えてこなかった、人生の行きつく先、そして夫婦関係。
    これも一つの結論なのだろう。

  • 仕事一筋だった田代壮介は定年を迎えて途方に暮れた。「まだ俺は成仏していない」と職探しをするが…。生き甲斐を求め、居場所を探して、惑い、あがき続ける男に再生の時は訪れるのか?

    内館牧子といえば横綱審議委員会の人というイメージが強く、作品を読むのは初めてだった。ジェットコースターのようなストーリー展開で飽きずに読めるしドラマ化向きなのだろうけど、もう少しリアリティがあればよかったのに。
    (B)

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著者プロフィール

脚本家、作家。「毛利元就」「ひらり」をはじめ多くの脚本を手掛ける。「終わった人」「義務と演技」「大相撲の不思議」など著書多数。

「2019年 『きれいの手口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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