- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062197427
作品紹介・あらすじ
二世、三世議員が大手を振るう中央政界にあって、秋田出身で、地盤、看板、鞄の「三バン」なしの“最強の官房長官”菅義偉は、いかにして「影の総理」とまで噂される地位にたどりついたのか?
安倍の後釜を狙い、最高権力者になる日は来るのか?
政治取材のトップランナー・松田賢弥が放つ、衝撃の書。
書き下ろし文庫で登場!
感想・レビュー・書評
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菅義偉氏の生い立ちと、官房長官まで
影の横浜市長、影の総理である、菅義偉氏の人となり、その男の素顔とは
田中角栄との対比、そして、類似
師、小此木彦三郎、梶山静六
野中広務、小沢一郎、加藤紘一らとの確執
岸信介、そして、安倍晋三との出会い
気になったのは以下です。
・自民党が結成されたのは、1955年11月だ。そこに至る保守合同を主導したのは岸だった。
・総裁選は権力の正当性を占う試金石であり、総裁選がなければ自民党は切磋琢磨するところがないのである。
・土着の匂いがする。清濁併せ呑むタイプの政治家が今やいなくなったと言われて久しい。田中角栄がその典型であった。
・田中角栄母、「人間は休養が必要である。しかし休んでから働くか、働いてから休むか2つのうち、働いてから休むほうがよい。金を貸した人の名前は忘れても、借りた人の名前は絶対に忘れてはならない」
・集団就職の検討で、「ここにいたんじゃ、自分のやりたいことはできない。東京に出ればなんとかなる」
・義偉は踏ん張っただけではない。苦労と努力とは違う。義偉は苦労のうえに努力をした。
・最初の横浜市議選で、「自民党のしがらみや悪い面を最初の選挙ですべて見てしまった」
・群れようとしないで、一人屹立している
・李広将軍、「桃李もの言わざれども、下自ずから蹊(けい:小道のこと)を成す」、桃やすももは、何もいわないけれど、その花や実にひかれて、人が集まり、その下に自然と道ができる
・田中角栄「人間は欲の塊だ。だから、その人間を引き込もうとするなら人間の欲の好きなところを突けばいい。地位、名誉、カネ、などの欲があるのが政治家。感情と欲で動いているんだ。欲のない奴はつかみようがない」
・最後は自分で決める。党に守ってもらうことはもう考えなくなった
・「耳障りのいい話はあげなくていい。手厳しい話こそ上げてくれ」
・「細かいことにこそ気を配ることが大事なんだ」
・「菅義偉は味方なら心強いが、敵に回したらこれほど怖い男もいない」
・菅が好んで使う言葉に、「約束」がある
・田中角栄、「いい政治というのは国民生活の片隅にあるものだ。目立たずつつましく国民の後ろに控えている。吹きすぎていく風―政治はそれでいい」
目次
第1章 血涙の歴史の落とし子
第2章 集団就職の世代
第3章 小沢一郎と菅義偉
第4章 権力闘争の渦中で
第5章 安倍政権の中枢で
第6章 権力を体現する政治家
あとがき
参考文献
ISBN:9784062197427
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:336ページ
定価:820円(本体)
発売日:2016年01月20日詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
菅義偉だけでなく、いろんな人物像が織り交ぜられ、肝心な権力の源に関する記述は少ない。
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地盤・看板・鞄の「三バン」がない中で官房長官にまで成り上がった男・菅義偉の姿を紹介しています。
とはいえ、彼は現在の官房長官これからの安倍政権の道筋は・・・。
秋田の豪雪地帯の出の菅氏と越後の角栄氏がリンク」します。
政治はお坊ちゃまにはできません。 -
菅義偉の政治家になるまでの生い立ちから官房長官までの政争が描かれているが、もっと菅氏に肉薄した内容を期待していたので、残念。
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特に焦点も無い話を延々と聞くのはつまらないのね
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松田賢弥 著「影の権力者 内閣官房長官 菅義偉」、2016.1発行。政治は、生きていく上で避けて通れませんが、私は、政治の世界は好きではないです。TVや新聞に目を通して、大きな変化があるかどうかを日々確認しています。でも、時々、政治や政治家に関する本を読むのも、頭を整理するのにいいですね! 6つの章立てです。①血涙の歴史の落とし子 ②集団就職の世代 ③小沢一郎と菅義偉 ④権力闘争の渦中で ⑤安倍政権の中枢で ⑥権力を体現する政治家
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菅義偉総理の人生を追うノンフィクション。
菅義偉個人の人生を徹底的に追うというよりは地域の歴史や周囲の政治家と絡めて追っている。
菅義偉は世襲議員などと違い何もないところから地道に議員秘書、市議会議員とステップを刻んでいった。ゆえに根回しや調整といったいかにも政局な動きに長けているのかもしれない。
菅義偉は総理になった野中広務というのが近いのかもしれない。 -
菅官房長官の生い立ちがよくわかる一冊。
個人的には小沢一郎のエピソードが印象的だったが、
菅官房長官が他の二世議員とは違うことがよくわかった。菅官房長官は実務的で実力のある政治家だと思っていたがこれを読んで確信に変わった。
どの人につくか、どうすれば物事を進めることができるか、努力することの重要性がわかる一冊。 -
02.01.24
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菅義偉を語るために、政治家とは何か?
を突き詰めようとする。
多くを語らない 菅義偉を描くためには、
このような手法しかないのかもしれない。
まだ、終わっていないが故に、評価の基準も明確化しない。
しかし、貧しい田舎の中から、生まれそだったというのが、
菅義偉のアイデンティティとなる。
それを対比する、小沢一郎が、田舎出身で、田舎臭くないのが
よくわかって、情的でない男の姿が、見えて、
小沢の限界がよく見えた感じがした。
小沢一郎は、なぜ、小沢一郎なのか。
梶山静六という男に 師事し、野中広務に敵対する。
実に味のある 選択なのである。
自分の感情ではなく、日本のあるべき姿を明確化して
派閥、世襲に対して、批判をする。
そして、官僚を100%支配できる 手法とポジションを
田中角栄的に 見出していく。
菅義偉が、なぜ 安倍晋三を 総理にしたかったのか?
そのことが、縷縷と語られても、よくわからない。
著者は、小沢一郎を描けても、菅義偉を描くことができないのだね。
そんなことが、わかって、面白かった。