虚人の星

  • 講談社 (2015年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (322ページ) / ISBN・EAN: 9784062197434

作品紹介・あらすじ

小学生のとき父に置き去りにされた星新一は、自分の中の七つの別人格に苦しめられてきた。一方、自由民主党の議員、松平は四十四歳の若さで首相に就任。血筋と顔立ちだけが取り柄の傀儡首相と思われていたが、ある日米大統領もうならせる名演説を披露して周囲の度肝を抜く――。
七つの人格をもつ二重スパイと、血筋だけが取り柄の三代目首相。交互に明かされる諜報と政権の秘密。二人が交差する時、日本の命運が決まる。国家の自殺を食いとめることはできるのか?

みんなの感想まとめ

複雑な人格を抱える主人公が、外交や政治の舞台で繰り広げる緊迫したストーリーが魅力です。乖離性同一性障害をテーマにしつつ、ミステリー仕立てで進行するため、構成は分かりやすく、読みやすさも兼ね備えています...

感想・レビュー・書評

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  • 何故この小説を手に取ったのだったか。確か、佐藤優の推薦がキッカケだったと思う。ネタバレせずに説明し難いので、気になる人は読んでみて、という投げやりな書評になるが、乖離性同一性障害をテーマに外交や政治を巡るストーリーだ。しかし、乖離性同一性障害つまり多重人格的な話というのは極めてご都合主義的な小説の技法に陥り易く、時々興醒めしてしまうのだが、本著はギリギリの所でリアリティのラインを保っていたように見える。

    ミステリー仕立てでもあり、構成が分かりやすいので、複数人格による読み難さはない。個人的には、この障害をもっとリアルに追求し、小説における意義を高めるか、外交関連のスリリングさを高めるか、どちらかに絞っても良かったかなと思う。好みの問題だが。

  • 面白かった。
    何だか朝まで生テレビを見てるような感じで読み進また。
    結構文体が読み易いので飽きることなく読み終えた。

  • Audibleにて。
    難しい話かなって思ってたけど、なかなか面白かった。

  • 何という本だ。
    我が日本がどんな国か、中国やアメリカの思惑は?
    へたな政治本のはるか上をいく現状分析にうなる。これって小説だよな。
    ラストの松平首相の記者会見談話7ページに感動するよ。

  • 戦国大名の名前が勢ぞろい、今、売り出し中の井伊直虎まで出てくる。宗猛、ドラえもん、みなしごハッチ、レインボーマン。壮大なおふざけパロディー。現代の政治家に対する強烈な風諫は、誰のことかはっきり分かる。そんなこんなを徹底的に笑い飛ばす。そもそもタイトル自体がおちょくっている。虚人には今の日本が陥っている累卵の危うきへの警鐘が込められている。本書を通して覚醒させられたものはあまりに大きい。フィクションとは思えない空恐ろしさに身は竦む。怖すぎる。

  • 主人公の名前は「星新一」何故、この名前を選択したのか最後まで不明だった。星新一は故人だが実在した小説家。日本SF界の草分け。ショートショートと呼ばれた分野での第一人者。
    この作品をスパイ小説と読むか、政治小説と読むか、特にカテゴライズするのに意味はないだろう。キーポイントとしては解離性人格が重用な要素のストーリー。今までは二重人格とか多重人格とか呼ばれていた。人は様々な性格をあわせ持つ。裏表があったり、会社で見せる顔と家庭で見せる顔がまるで別人のような人もいる。そんな人だとは思いもしなかったとか、ふだんの彼からは想像できませんとか。見る角度から見せる表情も変わったりする。それが別人格として1人の人間に内在するとしたら……。主人公は7つの人格が共存する男性。幼い頃父親に置き去りにされた過去を持つ。父親はそれっきり行方不明。人は耐え難い経験をすると、それを否定するために人格の遊離が起きると聞いたことがある。また生まれながらに別人格を共有してる場合もある。この作品では外交官から総理秘書になった主人公星新一と世襲3代目の若き総理大臣が日本の行方を方向づける政策を練り上げていくストーリー。ところが星新一は父の友人の精神科医から中国のスパイとして育て上げられた青年だった。現在も組織の一員だ。もともとふたつの人格を持ち、訓練により7人の人格を有することになった。これを利用し外務省の専門職員になった。中国に利する情報を得るためだ。しかし総理の側近になって分かったのは彼も解離性人格をもった人間だった。彼は最近自分の中に自分でないもう1人の人格に気づいていた。もうややこやしいことこの上ない。若さと血統の良さだけが売りの総理は凡庸さと超タカ派の側面を持っていた。別人格が代わる代わる表出していたのだ。著者はこれをのび太とドラえもんの人格と呼ぶ。やがてドラえもんの人格は暴走しだす。中国との危うい軍事衝突を仕掛けようとする。この辺は日本と中国語、アメリカのパワーバランスに翻弄される日本の立場が揺れ動く。そこから脱却しようとする与党勢力に利用される総理。のび太の人格は歯止めをかけようとするがそこに協力を申し出たのが星新一だった。彼は正体を明かす。さらに衝撃の事実も発覚する。ラストは終戦の玉音を放送しようとした当時の緊迫感を彷彿とさせスリリングだった。さらにオチが夢オチかと思わせながら夢から覚めると現実が回復したのにホッとした。
    解離性人格は障害なのか、特質なのかよくわからない。国際政治は謀略が渦巻く世界で綺麗事など通用しない。この作品を高評価していた佐藤優もまた謀略世界の中の住人だったのだろう。また星新一を選んだ時点で著者は希望的未来を描きたかったのだろう。

  • うーん乗れなかった。物語の外にいました。

  • 政治

  • ストーリーを楽しみつつ、作者の思いを感じました。ホント、日本はどうなっちゃうのかな。

  • 近未来の政治小説。スパイの息子・星新一は7つの人格を持つ多重人格者,外務省に入り中国との間の二重スパイになる。一方,祖父と父がかつて総理大臣を務めた松平定男は,その血筋と顔のよさだけで若き首相に選ばれるが,何ものかに操られたかのように強硬外交路線に走り出す。物語は各章ごとにこの二人のモノローグで織り成される。日本は戦争に向かってしまうのか。

  • それなりに面白くは読めたが、政治的問題が多出する内容にしては、結論としての演説のラストにインパクトがなかった。大風呂敷を広げたはいいけれど、うまく回収ができなかった、という印象が残った。対米、対中についての考察は面白かったが、違う視点での反論が登場することがなく、結果、ミステリー仕立ての著者の外交論を読んだだけだった。
    レインボーマンとかドラえもんとかの比喩はとっつきやすかったのだけれどもね。

  • レインボーマン、のび太とドラえもん。

  • 近未来の予言ともとれるし、現代社会への憂いともとれる。
    とてもシュールな感じがするのだが、これを思想ととるのか、ギャグと考えるべきなのか。
    夢オチ的なラストはちょっと・・・

  • 私の父が失踪する話が始まると次に世襲の首相の話だ.何のことか分からない出だしだが,次第に状況が分かってきた.精神科医宗猛から私・星新一は7人のドルーク(友達)がいる交代人格を持つ存在であることが分かる.松平定男にはドラえもんとのび太の2人が巣くっている.星は中国のスパイとして活動し,外交官になる.松平は側近から中国との公戦をそそのかされ,ドラえもんが同調する.星の父もスパイであることが分かり話が発展する.尖閣問題を始め現代の中国との懸案が悪い方向に展開するストーリーだが,星が松平に直談判して解決策を展開する.小説とはいえ現代の情勢を反映した話で楽しめた.

  • 不思議な小説だった。最後の数ページ前までは面白かったが、最後の落ちがいまいちよく理解できない。つまりわからなかった。本当に最後まで面白かったのだが、最期が意味不明だった。

  • さすが「やさしいサヨク」の著者だなあと思いました。言いたいこともわかりましたけれど、お戯れがすぎましょう、という感もありました。

  • 島田雅彦「虚人の星」http://book-sp.kodansha.co.jp/topics/kyojinnohoshi/ … 読んだ、おもしろかった!多重人格やスパイというと荒唐無稽なエンタメだけど、登場人物に言わせている対中国防や安保への思想は真面目。現実への皮肉も利いている。こういう形でしか政治を語れない国なのか、日本って(つづく

    主人公が星新一だったり実在した人物名や固有名詞がどしどし出てきたりで、その意図を深読みしたくなり物語の中に入り込むまでに時間がかかった。あと中盤で視点が変わったのも最初気づかず(だってメインキャラ二人ともが多重人格だなんて思わないから)ラストが捻っている割にやや物足りない(おわり

  • 30
    設定が面白かった。生々しかった。
    中国の脅威、戦争観、防衛、日米安保、大国の思惑、バランス感覚、防衛費、考えさせられた。

  • 多重人格と中国スパイ。
    現実とリンクしているのが分かりやすい。
    登場人物の名前が戦国時代の大名。
    主人公が星新一。何か当てつけがあるのか?
    多重人格者の葛藤を掘り下げても読みたかった。
    幽遊白書の仙水のような。
    日本のトップも解離性同一性障害だった。
    現在の首相を揶揄するようで愉快ではなかった。
    物語に作者の政治的主張が見え隠れすると興醒めする。
    ラストも「俺たちの闘いはこれからだ」。
    9条信者や護憲派、左翼の臭いがする。
    中国スパイの危険性や彼の国の強かさを語るか、一国首相の特殊性を語るか、多重人格の悲哀を語るか。。。
    主題を絞った方が深まった気がする。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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