虚人の星

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 226
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197434

作品紹介・あらすじ

小学生のとき父に置き去りにされた星新一は、自分の中の七つの別人格に苦しめられてきた。一方、自由民主党の議員、松平は四十四歳の若さで首相に就任。血筋と顔立ちだけが取り柄の傀儡首相と思われていたが、ある日米大統領もうならせる名演説を披露して周囲の度肝を抜く――。
七つの人格をもつ二重スパイと、血筋だけが取り柄の三代目首相。交互に明かされる諜報と政権の秘密。二人が交差する時、日本の命運が決まる。国家の自殺を食いとめることはできるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 何故この小説を手に取ったのだったか。確か、佐藤優の推薦がキッカケだったと思う。ネタバレせずに説明し難いので、気になる人は読んでみて、という投げやりな書評になるが、乖離性同一性障害をテーマに外交や政治を巡るストーリーだ。しかし、乖離性同一性障害つまり多重人格的な話というのは極めてご都合主義的な小説の技法に陥り易く、時々興醒めしてしまうのだが、本著はギリギリの所でリアリティのラインを保っていたように見える。

    ミステリー仕立てでもあり、構成が分かりやすいので、複数人格による読み難さはない。個人的には、この障害をもっとリアルに追求し、小説における意義を高めるか、外交関連のスリリングさを高めるか、どちらかに絞っても良かったかなと思う。好みの問題だが。

  • 面白かった。
    何だか朝まで生テレビを見てるような感じで読み進また。
    結構文体が読み易いので飽きることなく読み終えた。

  • 戦国大名の名前が勢ぞろい、今、売り出し中の井伊直虎まで出てくる。宗猛、ドラえもん、みなしごハッチ、レインボーマン。壮大なおふざけパロディー。現代の政治家に対する強烈な風諫は、誰のことかはっきり分かる。そんなこんなを徹底的に笑い飛ばす。そもそもタイトル自体がおちょくっている。虚人には今の日本が陥っている累卵の危うきへの警鐘が込められている。本書を通して覚醒させられたものはあまりに大きい。フィクションとは思えない空恐ろしさに身は竦む。怖すぎる。

  • うーん乗れなかった。物語の外にいました。

  • 政治

  • Audibleにて。
    難しい話かなって思ってたけど、なかなか面白かった。

  • 何という本だ。
    我が日本がどんな国か、中国やアメリカの思惑は?
    へたな政治本のはるか上をいく現状分析にうなる。これって小説だよな。
    ラストの松平首相の記者会見談話7ページに感動するよ。

  • ストーリーを楽しみつつ、作者の思いを感じました。ホント、日本はどうなっちゃうのかな。

  • 近未来の政治小説。スパイの息子・星新一は7つの人格を持つ多重人格者,外務省に入り中国との間の二重スパイになる。一方,祖父と父がかつて総理大臣を務めた松平定男は,その血筋と顔のよさだけで若き首相に選ばれるが,何ものかに操られたかのように強硬外交路線に走り出す。物語は各章ごとにこの二人のモノローグで織り成される。日本は戦争に向かってしまうのか。

  • それなりに面白くは読めたが、政治的問題が多出する内容にしては、結論としての演説のラストにインパクトがなかった。大風呂敷を広げたはいいけれど、うまく回収ができなかった、という印象が残った。対米、対中についての考察は面白かったが、違う視点での反論が登場することがなく、結果、ミステリー仕立ての著者の外交論を読んだだけだった。
    レインボーマンとかドラえもんとかの比喩はとっつきやすかったのだけれどもね。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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