チポロ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 200
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197458

作品紹介・あらすじ

「天山の巫女ソニン」シリーズでニュー・ファンタジーの旗手としての地位を確立した菅野雪虫が、満を持して書き下ろした最新作!
アイヌ神話をモチーフに描かれる長編ビルドゥングスロマン、ここに誕生!!

力も弱く、狩りも上手ではない少年・チポロ。そんなチポロに、姉のような優しさで世話を焼く少女・イレシュ。彼らの住むススハム・コタン(シシャモの村)に、神であるシカマ・カムイが滞在し、〈魔物〉たちが現れることを告げる。そして、シカマ・カムイの言葉どおり、大挙して現れた魔物たちは、イレシュをさらっていったのだった。

イレシュのいなくなった村で、チポロは、北のさいはての港町・ノカピラに、触れたものを瞬時に凍らせ、貧しき人々に食糧を届けてくれる「魔女」と呼ばれる少女が現れたことを商人から伝え聞いた。その少女にイレシュの痕跡を見つけたチポロは、弓の修業を積んだ末、「魔女」がイレシュではないか確かめるため、そして魔物からイレシュを奪還するため、ミソサザイの神とともに、ノカピラを目指すのだった――。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。子供のための物語という感じ。
    負け続けると卑屈になってしまいそうなものだけど、チポロはバカにされながらも力を蓄えてきた。
    信じる力の強い子供だった。
    反対に自分も人も信じずにだいぶ歪んでしまったヤイレスーホ…たった一度、無条件で助けられたことが彼をほんの少し変えたのだとしても、結局イレシュに届かなかったのが切ない。
    あの後どうなっちゃったんだろう。
    イレシュの気持ちも複雑なまま残りそう。
    続編が読みたい。

  • いいねぇ 少年がきちんと若者になっていく話
    物語はこうでなくっちゃ という王道モノだけれど
    それでも いいねぇ
    主人公たちもさることながら
    その取り巻く、カムイ(神)たちにも、頼りなく描かれる人間たちにも
    作者の愛情にあふれているのがいいですね
    読後感がさわやかです

  • 主人公がしっかり大地を踏みしめてる冒険譚、旅先に社会が見えるし空気の匂いがします。続編書けそうな雰囲気。
    チポロは猪突猛進型ですが何か言ってから自省したり自分を律する客観性も持ってる子だなと。自分のことじゃなくてもシャチのカムイにぱっと謝るシーンに微笑みました。
    たぶんこのお話の中で誰よりも思考しているのはイレシュですね、ヤイレスーホは危なっかしく見えます。
    プクサいいやつだな~。

    ミソサザイのカムイのおしゃべりずっと聞いてたい。
    シカマ・カムイの人生相談室があったら訪ねたい。
    弓のレプニかっっっこよすぎか!!!

  • 祖母と二人暮らしの貧しい家の子チポロは、ある日見事な鶴を射止めます。その事から自信をつけた彼は、諦めることなく努力や工夫をするようになります。

    ある日チポロは、村を訪ねてきた、人間に近い神シカマ・カムイから、魔物の襲来に気をつけるように言われます。だが、魔物が現れた時、チポロから教えられた呪文を唱えた友だちのイレシュはさらわれていきました。

    チポロはイレシュを連れ戻すために、力を蓄え、魔物がいると言われる北の港を目指すのでした。


    国造りの神兄弟の弟とアカダモの女神チキサニとの間の男児オキクルミ。そのオキクルミと妹と、人間たちとの関わりの中から生まれた冒険話。

    ストーリーはとても面白く、ぐいぐい読ませるものがある。人物や場面の設定にも無理がない。
    また、物語の随所に、諦めないことや思いやりの大切さが、くどくない形で盛り込まれており、好感が持てる。

    ただ、登場人物(特に主人公のチポロと友人のイレシュ)の語る言葉が今風過ぎて、アイヌ民話を基調にしたこの物語の中では浮いてしまう点が残念。

  • アイヌ神話を元にしているとのことで、読んでみた。
    確かにアイヌ文化が垣間見えていたけれど、物語としては別段、普通だったな。
    雰囲気は『月神統べる森で』シリーズに似てる。
    そして、あちらの方が読み応えがあった。

  • 子どもに読ませることを考えると、評価として星はもう一つ増えると思います。

    ただそれも難しいところで…。
    アイヌ神話を元にしたストーリーと優しい描写、ファンタジーな世界観は小学校中学年から理解できて楽しめるし、薦める方としても安心して読ませられる作品。
    なのですが、このレベルのボリュームを読める子は、この穏やかな語り口とシンプルな展開に物足りなさを覚える気もします。
    いい意味でも微妙な意味でも、平たい。

    ソニンのシリーズに及ばないイメージです。

    ストーリーテリングなどで、読む意欲を掻き立てて、まだこのレベルに手を出したことのない子の入り口とするにはもってこいかなあ、とも思います。

    ヤイレスーホはどうだろうか。

  • アイヌをテーマにした神話をベースにした、どこかで読んだことがありそうな物語を現代的にアレンジした感じ。弱々しかった少年が、自分で考え、自分で決めて、自分で旅立つまでの成長の物語。
    長いシリーズの序盤で、伏線を張っているのだろうとは思うが、登場人物が多過ぎて、ちょっと手こずる。
    また、元が神話であるせいか、オキグルミの妹神が、どうして人間を愛したのか、その理由が明確ではない気がする。飢饉が人の心を荒ませるのは確かだが、ススハム(シシャモ)が流れてきたことで村の貧富の差が広がったとの記述のように、豊かになることで人の心が温かくなるわけでも、優しくなるわけでもない。イレシュは妹神と行動が重なるが、もともと人であるイレシュと妹神では心持ちも違うだろう。
    ヤイレスーホは、どうして人の姿で生きたいと願ったのか。次巻が楽しみ。ミソサザイの神が可愛い。

  • 力も弱く、狩りも上手ではなかった少年チポロが連れ去られた幼馴染の女の子を探すために強くなり、旅に出る物語。
    アイヌ神話をモチーフに、人間が大好きな神様や失望した神様も出てくる。

    旅の道連れになった小さな神様の「いつも大きくて強くてなにかをほどこし助けてくれる、そんな神様ばっかり望んでる」というセリフにドキッとした。
    神様が与え恵んでくれるのをいいことに努力を怠り恵みばかりを期待するようになる。
    人間を嫌いになる神様はそこに絶望するのだろうし、そういった人間を含めて愛しいと思い寄り添ってくれる神様もいる。

    少年が勇気を出し成長し、いろいろな人の助けを借りながら大切な女の子を取り戻そうと旅をする。王道で単純明快な物語の中に大切なことがいろいろとちりばめられていると思う。

    ヤイレスーホが不憫。彼がイレシュを帰せなかったのは、かつて自分に優しくしてくれた女の子と一緒にいたいと思ってしまったからなのでは。
    彼は彼で、大切な女の子と自身の信じる素晴らしい世界に行きたかったのだろう。
    結局幼馴染の男の子に負けてしまい彼自身も罰を受けるのだが、その後どうなったのかが気になってしまった。
    続編もあるようなので読んでみよう。

  • 神々がつくり、神々が見捨てた人間界には魔物がはびこりはじめていた──

    ススハム・コタン(シシャモの村)に祖母と二人で暮らす少年チポロ

    チポロのことをなにくれとなく世話してくれる村の少女イレシュが、海からやってきた魔物たちに連れ去られてしまう

    「……だからって、なにもしないでいるなんてできるかよ!」

    チポロはイレシュを救いに北の果ての港町ノカピラに向かう
    父の残した二本の〈魂送りの矢〉を手に...

    『天山の巫女ソニン』の菅野雪虫によるアイヌ神話を下敷きにした冒険と成長のファンタジー、2015年刊

    本書の重要な登場人物の一人である「ヤレイスーホ」を主人公にした続編が2018年6月に刊行

  • めっちゃ面白かった・・・読みやすさ山のごとし・・・。
    アイヌ民話ぽくて、ミソサザイ神様かわいい・・・。
    チポロとイレシュがピュアで互いを思い合ってる分だけヤイレスーホお前・・・切ないやんか・・・。
    イレシュとヤイレスーホのやりとりが・・・最の高でした・・・。

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、本書の前作にあたる『チポロ』『ヤイレスーホ』(ともに講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』「女神のデパート」シリーズ(ともにポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。

「2021年 『ランペシカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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