ウォーク・イン・クローゼット

著者 : 綿矢りさ
  • 講談社 (2015年10月29日発売)
3.31
  • (13)
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  • (19)
  • (5)
  • 本棚登録 :760
  • レビュー :112
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197571

作品紹介・あらすじ

28歳OL、彼氏なし。素敵な服で武装して、欲しいものを手に入れたい!
女同士、男と女の微妙な友情と人間関係を描く、コミカルでせつなくて少しブラックな魅力全開の2年ぶり最新小説集。

【収録作品】
「ウォーク・イン・クローゼット」
主人公・早希は、28歳、彼氏なしのOL。売り出し中のタレントだりあは幼なじみ。だりあのマンションには、撮影で着て買い取った服がぎっしりの、早希には夢のようなウォーク・イン・クローゼットの部屋があるのだ。そんなふたりの友情のゆくえは…?

「いなか、の、すとーかー」
陶芸家デビューからわずか3年、石居は、テレビで特集が組まれるほどの人気の売れっ子。東京の美大卒業後、郷里に戻り、工房をかまえ、絵になるロハスな陶芸家生活を送っている。しかし、以前から彼を追う女ストーカー・砂原が工房に現れるようになり、事態はどんどん不穏さを増していき…。

ウォーク・イン・クローゼットの感想・レビュー・書評

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  • これは私が感じたことだから、何の参考にもならないと思いますが…。
    綿矢さんの、広がりをとても感じました。

    今までは人の中身の奥の奥まで透かして見せられ
    それはそれでおおっと唸るほど
    目を見張る表現で私は大好きだったのですが。

    あー。上手く言えないですね。
    変化する他人の心情や環境に強張って身構えるのではなく
    自分が見られていない感じられていないものの
    奥行きの部分に
    ふと身を任せているような自然体な安心感。
    って何書いているか自分でもわからなくなりますが
    不思議な心地よさがある2編でした。

    「いなか、の、すとーかー」
    「ウォーク・イン・クローゼット」とも好きですね。

    恐れず身を委ねちゃえ。
    力を抜けば、抗わずにそれに乗ってしまえば
    今なにをしたらいいかが見えてくるよと
    綿矢さんに肩をたたかれた一冊です。

    年末にものすごく忙しい状況になり、
    殺伐としていたメンタルが、
    思った以上に癒されて感動です。

    鋭いもので、シュッときられると
    身構えながら読んでたものですから、
    予測していなかったほわほわに、脱力しています。

    綿矢さんの表現も変化している。
    その変化の過程に私も乗っかり、これからも
    新しい境地に連れて行ってもらおうと思います。

    気負わずに新年を迎えられます。
    綿矢さん、ありがとう。

    • 杜のうさこさん
      なにぬねのんさん、こんばんは~♪
      お久しぶりです。

      遅くなりましたが、
      あけましておめでとうございます。

      お仕事がとても忙しいご様子で、迷ったのですがご挨拶させてくださいね。

      フォローさせていただいてもうすぐ1年。
      昨年、私が悲しみと後悔で自分を責め、泣いてばかりいるとき、
      「後悔のない別れはない」「泣きたいときは泣いていい」
      そう言ってくれたことが忘れられません。
      その言葉に本当に救われました。

      なにぬねのんさんは、三浦綾子さんと猫ちゃん、
      私の根幹で繋がっていると一方的に思っています。

      今年もよろしくお願いします。
      素敵な本との出会いがたくさんありますように♪

      返信は気にしないでくださいね!
      2016/01/07
    • なにぬねのんさん
      杜のうさこさん、おはようございます。
      遅くなり申し訳ありませんが、今年もよろしくお願いします。

      あと数か月忙しい日々が続き、杜のうさこさんの本棚もそうですが、好きな方々の本棚めぐりがゆっくりできないのがすごく残念です…。

      私は1ワン、3ニャンとの別れを経験しています。
      毎回毎回それはそれは悲しく、思い出しては泣きを毎日繰り返し、げっそりと痩せる経験ではあるのですが…。
      気が付くとその悲しみが出会えた感謝に変わるときがくるんですよ。

      今は楽しかったことを思い出して、一人で笑ってたりします。(あぶない人ですかね???)遠く離れてからも、助けてもらってるなって強く感じてます。

      こればっかりは…時間のかかることですし、
      やっとここまで来ても、私も後戻りして泣くこともまだあるんですけどね。人間だから仕方ないと思ってます。

      今年こそ、三浦綾子作品を再読したいです。
      「泥流地帯」は震災直後再読しました。「氷点」がいいかなぁ。「塩狩峠」は大号泣だからなぁ…。
      「細川ガラシャ夫人」もいいなぁ。なんか迷いますよね。

      コメント有難うございました。

      今年も本棚を注目させてもらいますので、レビュー宜しくお願いしますね。
      2016/01/10
  • 冒頭───
     時間は有限だ。でも素敵な服は無限にある。年齢に合わせて似合う服は変わると分かってはいても、ガーリーで清楚なモテファッションを卒業するのは彼氏ができてから。とはいえ二十八歳にして痛いとおもわれないように、微妙なさじ加減でシックな色合いや短すぎない丈を選び、フラワープリントやリボンはワンポイントにおさえる。正直言って、大人の洗練されたデザインの服を着たいなと思う日もある。
    ──────

    昨年の12月5日に図書館から借りていた今年の初読みがこの作品。
    読む時間がなかなか取れず、貸出期間を大幅に過ぎ、至急返却命令を受け、
    その度に言い訳を作り「ごめんなさい」と謝り、何度も延ばしてもらった。
    読み終わっての返却が1月6日にまでなってしまった。
    (予約待ちしていた方々には本当に申し訳なく思っています。<(_ _)>)

    正月中に本を読まなかったのはいつ以来だろう?

    子どもの頃から仙台初売り(今は1月2日だが昔は3日だった)に出かけ、
    その目的は新しい本をたくさん買ってもらうことだった。
    金港堂、丸善、高山書店(U子さん、去年はありがとうね)などを巡って
    正月休みに読む本を買ってもらうのが常だった。

    たしか金港堂の初売りでは、くじが引けて一等賞はでかい本棚だったと記憶している。別にそんな本棚が欲しいわけではないのだが、たくさん本を買えるのがとにかくうれしかった。

    10冊ほど買ってもらっても、朝から晩まで読んでいるので、
    三学期の始業式が始まる前に読み終えてしまい、
    読む本がなくなり、母親に
    「もっとゆっくり読みなさいよ」と言われたものだ。

    まあ、そんな私の個人的な前置きはさておき、
    綿矢さんの新しい作品に出逢うとき、
    今回、彼女はどんな新鮮な比喩や表現を繰り出して来るのだろう?
    内容はもちろんだが、いつもそんな期待に胸をわくわくさせながら、
    私は彼女の新作を読む。

    今回の書き出しも、いきなり
    “時間は有限だ。でも素敵な服は無限にある。”という文章。

    女性の服など、さっぱり興味も知識もなく、“ガーリー“などと書かれても、
    どんなイメージの服なのか全く想像できない私でさえ、
    この書き出しを読まされては、すぐに引き込まれていく。
    まさに“書き出しフェチ”である綿矢さんの本領発揮だ。

    斬新で、他の作家の誰にも書けないような比喩や表現も、たとえば

    “上掛けの白い布団は熱を失い、おでんの鍋から出して放置したはんぺんみたいに”(P132)

    “フランス人形がいくら愛くるしい顔立ちでも子供らしさに欠けているのと同じで”(P160)

    “いま私は、どんな時代にいるんだろう。全てが中途半端で、両方向から力を加えてむりやり伸ばしたセロハンみたいに間延びして”(P182)

    “子どものころは友達の家庭の事情なんて、まったく気にならなかった。人間の価値はその人間そのものだけで、周りの環境とか経済状況とかどうでもよかった。”(P210)

    “いったいこのベッドではいくつのブラのホックが外されて、どれだけの女のコの胸が締め付けから解放されて自由になったのだろう。まるでベルトコンベアーに載せられた私の部品を、彼が一つ一つネジをゆるめて解体してるみたい。”(P225)

    “本物の失恋は本物の恋愛のあとにしかやって来ない、と経験上よく分かっている。相手が私を好きで、私も相手を好きで、それなのにうまくいかなくて別れるしかない恋愛の方が、もっと心切り裂かれるものだ。肉体関係のあるなしにかかわらず、初めから心の通っていない恋愛なんて、すぐ近くを走り抜け肝を冷やしたが、結局かすりもしなかった車に轢かれそうになった体験みたいなものだ。”(P227)

    ちょっと引用しただけでもこれだけ出てくるのだ。

    こんな比喩や文章を読んでいると、それだけで楽しくなってくる。
    3年半ほど前、音羽の講談社でお見かけした綿矢さんの
    整った顔立ちや綺麗な瞳を思い出しながら、
    つい、含み笑いが浮かんで来てしまう。

    この作品は、綿矢さんが一昨年の暮れに結婚を発表したあと
    初めて書き上げた、結婚後第一作という記念すべき作品である。

    相変わらずの言葉選びの巧みさ。
    後半部分は、売れっ子モデルが極秘にしていた妊娠が暴露され、出産を間近に控え、マスコミに追いかけられるというスペクタクルな展開。
    美しい日本語に浸るだけじゃなく、ストーリーにも興味をそそられる。

    クローゼットとそこに収納された洋服を狂言回しに使いながら、
    恋愛や友達、人間関係について、さらにはシングルマザーの決意などに、
    さらりとした切り口で踏み込んでいる。
    彼女独特の言い回しには、ベタベタとした女性らしさの欠片もない。
    実に面白い作品だった。

    “ひさしぶりに見たユーヤの笑顔に、忘れていた胸の高鳴りがまた戻って来た。彼のクローゼットの中身って一体どんな感じなんだろう。なんだかすごく気になって来た。”(最終節)

    この最後の文章で秀逸だと思えるのは”なんだか”という4文字だろう。
    この”なんだか”を加えないと、実に味気ない終わり方になる。
    たかが4文字のこの”なんだか”を付け加えることによって、
    読者もこの先に興味を持つような余韻のある終わり方になって来る。
    試しにこの”なんだか”を削って音読すると、面白みに欠ける文章になってしまう。
    こういったさりげない言葉の構築力というか、表現力というか、
    それが彼女の持ち味だ。

    これを読んだ私も、綿矢さんのクローゼットはどんな感じなんだろうと
    なんだかすごく気になって来た(笑)。

    新しく迎えた旦那様を、彼女は巧みに創作活動の養分にしたようだ。
    引き続き、爽快な綿矢節を発揮した作品を発表してほしいものである。

    ※この作品は初出が「群像」2015年8月号であり、綿矢さんがこれまで発表した作品(文芸誌などに掲載された掌編や短編を含め)すべてのレビューを書いている「綿矢りさ研究家」(笑)の私としては、そのときに読みたかったのだが、仕事が忙しく、図書館で読む時間が取れなかった。しかし、その後わずか3か月で単行本化されたことは、まさに僥倖としか言いようがない。
    発刊してくれた講談社様に感謝。<(_ _)>

    この本に収められたもう一作「いなか、の、すとーかー」のレビューは、
    「群像」2013年11月号で読んで書いたものがあるので
    そのまま掲載します。巻末に「加筆・修正」という文字がなかったので。

    と思ったけれど、そのときのレビューは“冒頭”を書いてなかった。
    この冒頭部分もなかなか味わい深いので、追記して掲載します。

    「いなか、の、すとーかー」
    冒頭───
     Good luck.
     願ってもない幸運は突然ふってくる。望んだ形ではなくても、あまりに意外過ぎる luck でも、うろたえてはいけない。拒絶してはいけない。目の前を通り過ぎる前に乗る。それは昔から決めてる。選んだり、自分から求めたり、天命を自らの手で動かしたい気持ちが、うまくいく人生の邪魔をする。
     チャンスの神は前髪しかない、なんて言うけど、原理は簡単、人はやりたいことしかやらないし、何かを相手に依頼すれば、その場で快諾してもらいたい。辛抱強く待ち続けるのが好きな人なんていない。
    ──────

    いつも思うのだが、綿矢りさの魅力はその弾けっぷりにある。

    それまで寡黙に鎮座していた着物の女性が、突然立ち上がって暴れだす。
    一度、糸の切れてしまった凧が、強風に煽られどこへ飛んでいってしまうか全く想像がつかなくなる。
    静かにさらさらと流れていた清流のはずだったのに、突然大きな滝となり、怒涛の水飛沫をあげながら下り落ちていく。
    穏やかな文体と独特の比喩を駆使しながら、合間に唐突に弾けた文章を交えさせ、その様を描いていく。
    その爽快感、爆発力が彼女の作品の素晴らしさだ。

    早稲田大学在学時に「蹴りたい背中」で芥川賞を取った後、ストーカー被害に悩まされたと依然文芸誌上で綿矢さん自ら語っていたが、その経験がこの作品に活かされているのだろうか。
    もちろん、被害にあう人間にとっては切実な問題なのだろうが、ストーカーの予想もつかない自分勝手な行動には恐怖を感じるよりも笑ってしまう。
    読者にそう感じさせる文章や会話が相変わらず巧みだ。
    独特の比喩が今回は少なかったような気がしたのが、ちょっと残念だったけれど。

    ストーカーのあまりのしつこさに、自分のほうが切れてしまう主人公の陶芸家の透。
    幼馴染のすうすけの惚けた感も可笑しい。

    綿矢りさちん、やはりこういう作品が合っているのでしょう。
    これからも、どんどん書き続けて読者を楽しませてください。

  • 中篇2篇が収められている。
    『いなか、の、すとーかー』は、ストーカー被害にあう若手陶芸家の男性が主人公。のっけから情熱大陸のパロディーにもっていかれた。灼熱列島てw
    『ウォーク・イン・クローゼット』は20代後半の女の子の気持ちがとってもリアルに描かれていて、だけど、綿矢さん、あんなに才能あるのに、こんなに卑近なネタをねちっこく描いて、いったいどこへ行こうとしているの、と不安になったのも事実。
    なのに、(これはどちらの作品にも言えることだけど)最後まで読むと、自分まで肯定されたような、不思議な爽快感につつまれてしまう。なんでだ? これが彼女のただならぬすごさなのか?
    2編合わせて、文体的にも内容的にも『夢を与える』の進化形なのかなという印象も受けた。これからも期待しています。

  • 表題作が良かったです。明るく希望に満ちた結末です。
    綿矢りささんは以前から好きでしたが、どの作品を読んでも一筋縄ではいかない感じと、テーマ性というか「今これを書く意味」みたいなものがちゃんと伝わってくるのがいいです。
    問題の多い家庭に育っただりあと親友になっていく過程をもう少し読みたかったです。

  • 綿矢さん、同世代だなーと深々と感じた笑。同世代すぎて痛いくらい。そうなのです、アラサー女子の考えてることがたっぷり詰まった表題作は読んでいて心臓痛くなったよ。いま、まさにいまのわたしみたいで。
    若い頃の恋愛というか男女の失態はかわいそう、と被害者ぶれるけど、この歳になると自業自得なのだすべて。ヤリモクだとかそういうの全部全部全部。大事にしてくれないのわかってるのに期待しちゃう、夢見ちゃうわたし。救いようもないけど、それでも夢見続けちゃうんだよね、傷つきながらも。タイムリミットを勝手に設けて早く早く早くと焦っては空回り。

    ストーカーの話はちょっといまいちピンとこなかったかな。面白いんだけど普通。パンチがない。それは男の子が主人公だからかな。影ながら見守るストーカーの砂かけさんよりも、幼い頃からずっと一緒にいる果穂のが気持ち全然わかる。あんな風に感情をさらけ出して、さらけ出したくないのに抑え込んでいて辛かっただろうな、と。

  • 表題作を読むと、女性ふたり組の描き方がいつもよりやわらかいというか、「友情」がまっすぐ描かれていて、新鮮だった。
    文庫化したりしてるからか、2年ぶりという感じはしなかっけど。がっつり長編も読みたいなぁ。

  • 表題作よりもいなか、の、すとーかーのほうが面白かった。幼馴染が二人ともある意味で病んでいて、村の閉鎖的な雰囲気と相まって逃げ場がないかんじ、すごくよかった。
    やっぱり文章力が高いから、引き込まれる。
    表題作の方も主人公の人となりがすごくわかる・・・きもちがすごく・・・わかります・・・洗濯が趣味、その趣味をちょっと小ばかにして体だけの関係を望む男達、タレントになった幼馴染を育てた背景、なんとなく宙ぶらりんな主人公、ああ~綿矢りさってすごい。だいすき。

  • ああああああ綿矢りさやっぱ好きぃぃぃぃぃぃぃってなった一冊。

    「いなか、の、すとーかー」
    これはなんていうかもう、圧倒。読んでいて怖かった。途中出てきたチェーンソーの存在がデカすぎて最後までビビっていた。

    ストーカー行為に悩み精神がやられていく主人公・石居くんの
    “ああ、だから犯罪なんだな。はたからみれば、少し滑稽な痴情のもつれみたいに見えるかもしれないけど、もとの生活が取り戻せなくなるほど、ストーカーは破壊力のある行為なんだ。これは、された人にしか分からないだろう”
    という言葉がとても印象的だった。
    私も前の職場で毎日下駄箱に手紙を入れられていたことがあった。チラシの裏にでも書けよ、っていう意味のない文章。やめてくださいと言ってもやめてくれず、お菓子の差し入れまでしてくる。周りの人はピリピリする私に「そんなに気にしなくても」と笑って言っていたけど、私は気持ち悪くて下駄箱を開けるのも嫌になっていったんだ。いやだったなぁ。

    ていうかこれすうすけもグルだったのがさ。グルというか、悪意、あったよね。
    すうすけの黒い感情は、自分で手を下すのではなく人にやらせる、という着地に落ち着いた。ヘラヘラ生きやがって二枚舌の悪魔が。こういう人間が結局一番嫌いだわ。いつかバチ当たれ。
    果穂ちゃんは普通に怖い。よっぽど好きだったんだろうね。好きだと良い部分も悪い部分もよく見えるからね。
    男の人は好きな人やものを「所有」する生き物だけど、女の人は「崇拝」する生き物だ。
    だから許せなくなる。好きな人の嫌いな部分を。だからって脅すのはよくない。付き合っても付き合ってなくても果穂ちゃんのああいう部分は出ていただろうから、早めに分かってよかったね、と思う。
    砂原さんは悪意とか善意とかじゃないから。ああいう人だから。砂原さんはすうすけが居なければ普通に諦めて帰ってたんじゃねーかな。石居くんもキッパリ断ってたし。
    しかしこの怒濤の展開からあの美しいラストに持っていったのがすごい!!清々しかった。爽やか。
    「一方的じゃない。おれが器に込めた声なき声を聞き届けてくれた。この広い世界でつながっている仲間の一人だ。おれも彼らから、十分すぎるものをもらっている」
    たぶんこの頃の石居くんには白髪も数本出来ているだろう。
    それくらい濃かった。
    あーーー、自分も気を付けよう。一方的じゃないんだ、すべて。気を付けよう。


    「ウォーク・イン・クローゼット」
    これはかわいい。とてもかわいい。
    序盤の隆史くんがツボすぎて読みながら「かっこいいいいかっこよすぎるううう」と悶えたけれど再読してみたらなんかムカつくなこいつ!!余裕ぶってて偉そうだな!!
    でもほんとそれくらいね、舞い上がってるときは良い方にしか取らないからね。早希ちゃんは偉いよ。

    “初めは紳士的な人だと思って好印象なのに、まるで男を見抜けてない。私への愛情を胸の中で一つも育ててなさそうな、カッコつけばっかりに、のこのことついていって”

    早希ちゃんのこの言葉が痛いほど沁みる。
    悲しい。ほんとそうだよなぁ。やだなぁ。趣味の洗濯のことを一ミリも分かってくれない人なんていらないんだよ。つらい。

    だりあも好きだしユーヤも好きだ。
    だけどこの二人は小説で出会うから好きになっただけで、現実で会うとそうでもないんだろうなとも思ってしまう。だりあは特に、幼少期の体験が強いと思う。
    そしてラストがまた清々しい。希望に溢れたラスト。

    この一冊はラストがとにかくよかった!!
    読後感の充実っぷりったら。はー、幸せ。

  • 「いなかの、すとーかー」は、ストーカーについて共通する部分があったり、現代の社会を照らしているようであった。ストーカーの怖さを感じ、地方特有の閉塞感も相まって、ストーカーになる心理とそれに至る様々な背景をまざまざと感じ、一見、温和に見える人であっても、なりゆると感じ、自分はこうなりたくないと強く思う。表題作は、服装の好みや価値観が違う二人の友情を描いている。ユーヤがアパレルで働くことになった時も服の手入れについて、親切に教えているのが友情を感じ、また、服の好み、価値観が良い方へ変化しているのが良かった。

  •  中編2本からなる本作。「いなか、の、すとーかー」はストーカーによって追い詰められていく描写と被害によって最後に気づきを得る様子が丁寧に書かれていますが、ちょっと取って付けたような主人公の考えが今一つな気がしました。
     表題作「ウォーク・イン・クローゼット」の方が好みですね、特に洋服や洗濯の細かいディティールがとても良く、都会で一人暮らしのOLらしい雰囲気がそこかしこに散りばめられていて、田舎暮らしの自分にはない生活を垣間見させてもらいました。
     芸能人の親友が話に絡んで来るあたり、なんだかドラマみたいな作りでもあります(笑)

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