喉の奥なら傷ついてもばれない

著者 :
  • 講談社
3.19
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本棚登録 : 274
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197854

作品紹介・あらすじ

出たいよ、出して。
お願いだからここから出して。

どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。
罪悪感がまったくないのは、母の愛が欲しかった私の、必然だから。

恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説。

二十歳で八十歳の巌夫と打算ずくの結婚をした麻貴は、巌夫の息子、さらに孫とも不倫をしている。ある日、ふらりと赴いた旅先で出会った女学生に抱いた気持ちは、未だかつて経験のないものだった。(「金色」)

感想・レビュー・書評

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  • ぞくりとするほど文章がきれいで刺さる。あまりにも内容が重くて途中で読むのやめようかと迷うくらいでした。けど文章や描写が悲哀に満ちて(官能)耽美すぎて、つい引きずられるように読んでしまった。

    「天国の鬼」「肌蕾(きらい)」「金色」「指と首、隠れたところ」「ろくでなし」「泥梨(ないり)の天使」

    泥梨は仏教用語で地獄、奈落、この世の地獄、生き地獄…などという意味があるという。「泥梨の天使」読むの苦しかった。「天国の鬼」と対になっているかのようなタイトル。「天国の鬼」の方がまだ幸せのような気がした。

    一日の始まりに読み切ってしまって朝から気持ちが沈み込む。頭の芯がしびれてじんじんする。

    タイトルの由来がきれいすぎて魅了されたし、プロローグとエピローグの言葉に少し救われるけど、正直かなりきつかった…。

    “性根や生い立ちのロンダリングはできない。”(101ページ)だけど虐待という名のしつけでも箸の持ち方や挨拶などの細々とした作法が身について、それなりのいいところに嫁げればこういう生活をも手に入れることができるのよ…という「金色」のストーリーにぐらぐらした。

    扉があって中に入ると地獄があって「物語」があって生き地獄で、だけど出口の扉には「エピローグ」の逃げ出すためのヒントがきちんと書かれていて、このエピローグの言葉がなかったら読んだ後、ずっと気分はどん底だったかもしれない。

  • 「校閲~」からの連続で宮木さん。

    同一人物の書いた作品とは思えない。
    驚いた。
    どちらかというと病んでる人たちのお話。

    振り幅が大きいなぁ。題材は女。
    屈折していて、ねとねとしていて、
    凶暴で狂喜に満ちた心を持つ。
    女以外にこんな生き物はいない。

    本のタイトルの付け方が
    秀逸。

    作品の一文をタイトルに持ってくるなんて
    しかも、この一文はとても心に残る。

  • まずタイトルがいいよねぇ…。
    飴玉みたいに、何度も口に中で転がして味わいたい。
    泥沼の恋愛が主と見せかけて、ほとんど母娘が主軸になる短編集。
    母親から与えられる愛情から呪縛を切り離すことは難しい。
    プロローグとエピローグに当たる部分の言葉がとても上手くて、ぞくっとした。

  • 2020.2.23 読了


    短編集。
    なんとも言えない世界観。
    この作家さんのこの世界観 嫌いじゃないので、
    どんどん読み進められて、
    一気に読んでしまいました。

    最後の「泥梨の天使」は 怖かった~。



  • 短編集。
    禁忌を冒した主婦たちの話。
    あまり共感は出来なかった。
    官能小説なのですが、表現が今ひとつ好きになれなかったです。タイトルのシーンも、思わずウッとなり、目を伏せてしまいました。
    最後の過干渉の母の話が不気味で気持ち悪いけれど、一番面白かった。

    母の虐待から助け、一緒に家出をしてくれた同級生と再会した主婦。

    バイト先の訳あり学生が気になるナチュラル嗜好の主婦。

    旅先で出会った純粋無垢な少女が気になる金持ちの老人と結婚した主婦。

    夫の愛に満たされているはずなのに、生徒である単身赴任の男に胸をときめかせるピアノ教師。

    ヤクザの情婦となった小料理屋で働く主婦。

    子離れ出来ず、娘を縛り監視する母。

  • 嫌いじゃないんだけどね、この設定とか話とか。
    でも1話目から喉を傷つけるシーンは吐き気がしてだめだった。
    どうも今はきぶんじゃないみたい。

  • 愛という檻にとらわれた女たち。

    虐待されていた頃、一緒に家出をしてくれた医者の息子との偶然の再会。

    自然派食品を愛する主婦のパート先の在日のバイトとの乱暴な関係。

    金のために資産家と結婚した女が少女に抱いた気持ち。

    ピアノを習いに来ている単身赴任の男に欲情する暇を持て余した専業主婦。

    ヤクザの男が残した部屋で彼の帰りだけを待つと決めたとき。
    大人へと成長してく娘の姿を認められず、いつまでの自分の操り人形として接する過干渉の母親。

    読みやすい。
    読みやすいけどバッドエンド(?)で読んでてつらい。
    そして表紙の絵が不気味で怖いんですけど。。。

  • 表題、装幀ともに内容にぴったり。成熟し「正善」が強迫的な社会で、日本人は正しくて美しいことが大好きだ。 『その檻、意外と脆いかもしれないよ』巻末の宮木さんの一言、が重い。登場人物たちが皆、道徳的にも社会的にも、悪、過剰、余計、不足を選んでも、何故か頁から逃れられなかった。

  • 大人な女性の危ないところを突いたお話。
    母親としてだったり、妻としてだったり、いろんな立場で葛藤するが、何に対しても周りのせいにしているようであまり好きにはなれませんでした。
    でも、逃げたいよね?…という感じ。

  • 全体にじっとりと湿っている感じの本だった。
    最後の話が一番嫌だった。

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著者プロフィール

1976年神奈川県生れ。2006年『花宵道中』で第5回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞をW受賞しデビュー。著書に『憧憬☆カトマンズ』『帝国の女』『砂子のなかより青き草 清少納言と中宮定子』『手のひらの楽園』など。繊細で叙情性あふれる作風と、女性の本音をあけすけに吐露する明るく突き抜けた作風の両方を巧みに駆使する注目作家。13年『セレモニー黒真珠』で第9回酒飲み書店員大賞を受賞。14年『花宵道中』が安達祐実主演で映画化。16年『校閲ガール』が石原さとみ主演で連ドラ化。

「2020年 『CAボーイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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