喉の奥なら傷ついてもばれない

著者 :
  • 講談社
3.25
  • (5)
  • (32)
  • (47)
  • (8)
  • (5)
本棚登録 : 356
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197854

作品紹介・あらすじ

出たいよ、出して。
お願いだからここから出して。

どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。
罪悪感がまったくないのは、母の愛が欲しかった私の、必然だから。

恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説。

二十歳で八十歳の巌夫と打算ずくの結婚をした麻貴は、巌夫の息子、さらに孫とも不倫をしている。ある日、ふらりと赴いた旅先で出会った女学生に抱いた気持ちは、未だかつて経験のないものだった。(「金色」)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 愛情という名の監房。

    その檻の監守は誰で
    囚われてるのは誰か。

    監守は母でその娘が
    囚われてるケースが
    真っ先に浮かびます。

    母に支配され自分の
    人生を生きられない
    娘。

    ところが、表面的に
    そう見えて実は真逆
    だったりして・・・

    娘に執着することで
    母もまた自分の人生
    を生きられてないと
    したら、

    真の監守は娘の方で
    その手の内に檻の鍵
    が握られてるのかも
    しれません。

    ヒグチユウコさんの
    挿絵が狂気を帯びた
    世界を彩ります。

    • かなさん
      コルベットさん、こんばんは!
      この表紙、ヒグチユウコさんなのですねぇ(^^♪
      スゴイいい雰囲気!!
      ストーリーもちょっと怪しげな感じで...
      コルベットさん、こんばんは!
      この表紙、ヒグチユウコさんなのですねぇ(^^♪
      スゴイいい雰囲気!!
      ストーリーもちょっと怪しげな感じで
      宮木あや子さんの作品はまだ読んだことないけれど
      いつか手にしてみたいです。
      2023/12/17
    • コルベットさん
      かなさん、おはようございます。正直なところストーリーは苦手なジャンルでしたが、ヒグチユウコさんの挿絵が素敵でした。
      かなさん、おはようございます。正直なところストーリーは苦手なジャンルでしたが、ヒグチユウコさんの挿絵が素敵でした。
      2023/12/18
  • ヒグチユウコさんの表紙絵があまりにも美しくて装丁買い。本から外すと横に長い一枚の絵になっている。オフェーリアかな。これだけ額に入れて飾っておきたいくらいきれい。

    中身のほうは短編集だけれど、どれも不倫だの虐待だの痛々しい恋愛ものばかりで正直読み終えて良い気分になるものではない。なかでも「泥梨の天使」の気持ち悪さときたら。いわゆる毒母ものなのだけど、娘に依存するあまり過干渉な母親の行動に吐き気がしそうになった。ただ宮木あや子は基本的に上手いので、どの話も「つまらない」のとは違う。共感できないな、したくないなと思うだけ。

    いちばんマシだったのは「天国の鬼」虐待の連鎖自体に救いはないけれど、回想の中で、虐待されている自覚さえなかったヒロインを連れて逃げてくれた男の子の存在に少しだけ救われる。「喉の奥なら傷ついてもばれない」というタイトルの作品は収録されていないけれど、このセリフを言う人物が、少女ではなく少年のほうだった意外性は良かった。

    ※収録作品
    天国の鬼/肌蕾/金色/指と首、隠れたところ/ろくでなし/泥梨の天使

  • 「校閲~」からの連続で宮木さん。

    同一人物の書いた作品とは思えない。
    驚いた。
    どちらかというと病んでる人たちのお話。

    振り幅が大きいなぁ。題材は女。
    屈折していて、ねとねとしていて、
    凶暴で狂喜に満ちた心を持つ。
    女以外にこんな生き物はいない。

    本のタイトルの付け方が
    秀逸。

    作品の一文をタイトルに持ってくるなんて
    しかも、この一文はとても心に残る。

  • まずタイトルがいいよねぇ…。
    飴玉みたいに、何度も口に中で転がして味わいたい。
    泥沼の恋愛が主と見せかけて、ほとんど母娘が主軸になる短編集。
    母親から与えられる愛情から呪縛を切り離すことは難しい。
    プロローグとエピローグに当たる部分の言葉がとても上手くて、ぞくっとした。

  • 愛に囚われ欲望の渦に呑み込まれもがき続ける女の物語

    人は皆どこか欠落している、それを埋めようと必死になっている。
    心なんて簡単に壊れてしまうのに
    それでもあなたはまだ檻の中にいるの?
    ー愛情という檻に繋がれている人へー

  • おそろしい本
    深夜にベッドの中で読み進めたい
    じっとりした内容だけど不思議と重い気分にはならない

  • アナーキーな女性たちの短編集。程よく毒素があり、楽しく読めました。

  • こういうドロドロしたやつ苦手だけど、この本はとても好き
    読み進める事に面白くなる

    個人的にはヤクザと駆け落ちするお話が好きでした

  • 女性が主人公の短編集。女性たちにびっくり。

    私の生活じゃ絶対あり得ないような女性たちの行動や立場にドキドキ。不倫とかヤクザとの恋とか、次の展開が気になってどんどん読めた。ほっこりとは真逆のおもしろさ。でもちょっと刺激的過ぎたかなぁ(笑)。

    表紙はヒグチユウコさんの、たしかオフィーリアという作品。オフィーリアは恋人ハムレットと結ばれることなく川で溺れ死ぬ役。短編集の中にもオフィーリアと重なる境遇の主人公がいて、そのときは、おぉ!と思った。オフィーリアが主人公なのもありだなぁ。

  • 狂ってるなーという世界観。
    嫌いじゃないし、本の中だけの世界で起きてることで、彼女たちは突き進んで行っちゃったな〜と野次馬のように見てる感覚。

  • 2020.2.23 読了


    短編集。
    なんとも言えない世界観。
    この作家さんのこの世界観 嫌いじゃないので、
    どんどん読み進められて、
    一気に読んでしまいました。

    最後の「泥梨の天使」は 怖かった~。



  • 短編集。
    禁忌を冒した主婦たちの話。
    あまり共感は出来なかった。
    官能小説なのですが、表現が今ひとつ好きになれなかったです。タイトルのシーンも、思わずウッとなり、目を伏せてしまいました。
    最後の過干渉の母の話が不気味で気持ち悪いけれど、一番面白かった。

    母の虐待から助け、一緒に家出をしてくれた同級生と再会した主婦。

    バイト先の訳あり学生が気になるナチュラル嗜好の主婦。

    旅先で出会った純粋無垢な少女が気になる金持ちの老人と結婚した主婦。

    夫の愛に満たされているはずなのに、生徒である単身赴任の男に胸をときめかせるピアノ教師。

    ヤクザの情婦となった小料理屋で働く主婦。

    子離れ出来ず、娘を縛り監視する母。

  • 嫌いじゃないんだけどね、この設定とか話とか。
    でも1話目から喉を傷つけるシーンは吐き気がしてだめだった。
    どうも今はきぶんじゃないみたい。

  • 愛という檻にとらわれた女たち。

    虐待されていた頃、一緒に家出をしてくれた医者の息子との偶然の再会。

    自然派食品を愛する主婦のパート先の在日のバイトとの乱暴な関係。

    金のために資産家と結婚した女が少女に抱いた気持ち。

    ピアノを習いに来ている単身赴任の男に欲情する暇を持て余した専業主婦。

    ヤクザの男が残した部屋で彼の帰りだけを待つと決めたとき。
    大人へと成長してく娘の姿を認められず、いつまでの自分の操り人形として接する過干渉の母親。

    読みやすい。
    読みやすいけどバッドエンド(?)で読んでてつらい。
    そして表紙の絵が不気味で怖いんですけど。。。

  • 表題、装幀ともに内容にぴったり。成熟し「正善」が強迫的な社会で、日本人は正しくて美しいことが大好きだ。 『その檻、意外と脆いかもしれないよ』巻末の宮木さんの一言、が重い。登場人物たちが皆、道徳的にも社会的にも、悪、過剰、余計、不足を選んでも、何故か頁から逃れられなかった。

  • 大人な女性の危ないところを突いたお話。
    母親としてだったり、妻としてだったり、いろんな立場で葛藤するが、何に対しても周りのせいにしているようであまり好きにはなれませんでした。
    でも、逃げたいよね?…という感じ。

  • 全体にじっとりと湿っている感じの本だった。
    最後の話が一番嫌だった。

  • ただただ暗くて悲しい女性たちの短編集。

  • 病んでるなぁ。かなり。
    でもこういうの結構好きなんだけど
    刺さってくるものはあんまりなかったなぁ
    なんか無理して作ってる感が否めない。

  • まあまず表紙の美しさに惹かれる
    美しいものって残酷にも見えるからこの本にとても合っていると感じた

    思うことはいくつもあるけれど、【泥梨(ないり)の天使】については最後の最後に息苦しくて本当に最後まで読めないかと思った、けど息苦しい中じわじわ来るものがあるのに最後まで読んだ

    この自虐(自傷行為に似てる)伴う読書、宮木さん流石だなーって思った

全44件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1976年神奈川県生まれ。2006年『花宵道中』で女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞をW受賞しデビュー。『白蝶花』『雨の塔』『セレモニー黒真珠』『野良女』『校閲ガール』シリーズ等著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮木あや子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×