近いはずの人

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 217
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062198806

作品紹介・あらすじ

同い年の妻が事故で死んだ。それから3ヵ月、心が動かない。

北野は亡き妻の鍵のかかった携帯電話に、4ケタの数字を順番に打ち込むだけの毎日を過ごしていた。
ついにロックの解けた携帯には、妻の秘密が残されていた。
4年間を一緒に過ごした女性のことを、僕は何も知らなかったのかもしれない――

北野俊英、33歳。喪ってから始まる、妻の姿を追いかける旅。

感想・レビュー・書評

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  • 「人は簡単に死ぬ。タクシーに乗る。山間を走るそのタクシーが崖から落ちる。それだけでいい。」(25ページ)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    北野俊英、33歳。
    妻の絵美と結婚して4年、だった。

    「友だちと旅行に行ってくる」
    そう言って出かけた妻は、交通事故で帰らぬ人となった。

    奇跡的に壊れずに残された、妻の携帯電話。
    暗証番号が分からず、4桁の数字を入れ続ける日々は、ある日唐突に終わりを告げる。

    あの日、一緒に行くはずだった友だちとは誰なのか?
    その謎を追っていくうち、俊英は思いがけない妻の一面を知ることとなる…。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    物語は、俊英の妻・絵美が突然の交通事故で亡くなって、しばらく経ったところから始まります。

    自分に見せていた姿は、果たして本当の妻の姿だったのか。
    妻を信じられなくなった夫の苦悩が、手に取るようにわかります。

    問いだそうにも、もう妻はいません。
    残された妻の姿を追えるものは、携帯だけ。
    ロックが解けたとき、携帯を通して見える妻は、どんな姿なのでしょうか。
    見たいけど、知りたいけど、でも知るのが怖い。

    夫婦として長い年月を過ごしていても、わからないことがある。
    見えないものがある。

    「あなたは本当に、相手のことを、わかっていますか?」

    そんな風に、この小説から問いかけられた気がしました。

    物語自体は全体的に淡々としています。
    妻の旅行相手を追うくだりはあるものの、その相手を知ることに、重きはおかれていません。
    俊英による「明確な答え」も、示されていません。
    「これで終わり?」と思う方もいるでしょう。
    でも、人生においてはむしろ、「明確な答え」なんて得られることの方が少ないのではないでしょうか。

    人間は、いつ死ぬかわからない。
    死んでからでは、相手と話しあうことも、わかりあうこともできない。

    「近いはず」の関係だった俊英と絵美という夫婦を通じて、自分のなかに見えたもの、そして読み終わったあとに自分がとる行動こそ、この小説から得られた本当の答えなのだと思います。

  • 自動車事故で亡くなった配偶者。
    妻が向かっていた場所は温泉旅館。
    待ち合わせの相手は不明
    手元にはパスワードロックされた妻の携帯・・・。
    小野寺君の作品としてはレアなサスペンス感のある展開の本です。
    ネタバレ駄目な本なので(大抵そうですが)印象だけ書きます。

    誰しも秘密を持っているものですが、自分が死ぬなんて思っていませんから、エロ本の隠し場所や、エロ画像の隠しフォルダー、エロ動画の閲覧履歴などを消さずに死ねない。などという事もあるでしょうが、そんなのは可愛いものであります。
    亡くなったあとに意味深なものが残されたらと思うと非常に苦しいですね。
    特別トラブルが無く良好だったら良好で気になるし。思い当たる節があればそれでぞわぞわします。きっと。

    主人公の男が小野寺君印の主張の少ないぼんやりした青年なので、いつもならば癒される言動も、この本ではイライラの元凶になる事も。結末に納得できるかは別として、非常に先が気になりぐいぐい読ませる本です。

  • 北野俊英、33歳。インスタント麺メーカーの営業職。
    妻の絵美が旅先で事故で死んだ。3ヶ月が経つが、俊英はその喪失から立ち直れずにいた。
    カップ麺と6本のビール、絵美が残した携帯電話のロック解除を目差して淡々と番号を打ち込む毎夜。
    ロックを解除した電話に残された死の直前のメールでそんな日々が動き出す。


    大きな喪失とビール。まるで春樹の小説だなと思いつつ読み始める。
    春樹なら2行で描くところを8行かけて描いているようなまどろっこしさ。
    申し訳ないけど、私には合わない本だった。
    主人公に終始イライラして、共感することができない。自分を可哀想がってる人が好きじゃないし。
    彼の歪んだ視界で見ているからかすべてが歪んで見える。
    爽やかな、人好きするような、さっそうとしている彼、彼女が欠点だらけに思える。
    妙に俊英が上から目線。
    登場する人物たちに違和感も多い。
    高校時代とはいえ好意があった異性が既婚者なのに連絡とろうとするとか。
    子どもを引き取って別れる可能性が高いのに社内恋愛を同僚に洩らしちゃうとか。
    いくら兄嫁でも二人きりで遊園地はないだろうとか。
    妹の死の原因なのに、浮気な婚約者の痛みに同情する姉とか。
    不満があるにしても、義理の弟へそこまでする?
    変だと思うのは私だけ?
    絵美も、その家族も、気持ちが悪い。あまりの価値観の違いにうっすらと寒くなる。
    絵美を過去にできて心機一転なんだろうけど、どうにも後味が悪い。
    ラストもどうなんだろう。
    妻の本当とその家族のいやらしさを目の当たりにしてすっきりしちゃったってことなんだろうか。
    「愛」というより「打算」と「外聞」の匂いがぷんぷんしちゃうのはなぜなんだろう?
    いろいろと悶々とする。皆さんの感想を読みたい。

  • 友達と行くと言っていた旅先の不慮の交通事故で妻が死んだ。
    しかし事故にあったタクシーには妻しか乗っていなかった。
    夫俊英の手元には、ロックのかかった妻のスマホが残されている。スマホには妻の秘密が隠されているのか。

    妻の死、ロックのかかったスマホ、ロック解除、妻の秘密。
    読みたいと思わされる気になるストーリーです。

    ロックを0000から解除していく少しずつの作業が突然の妻の死と向き合う気持ちを表しているようで痛々しい。
    絵美の本心はなんだったのだろう。
    夫との間に出来たと思っていた溝、その寂しさを埋めるために身近な人に頼ったのだとしたら、事故に合わなかったらどうなっていたのか。

    俊英が絵美の死を乗り越える1年が、静かに描かれていた。
    穏やかな性格の男性目線の話。
    著者の作風が好みです。

  • 大切な人に突然先立たれたら、それはとても辛い。
    気になることがあれば、数字をひとつひとつ入れていかなければならないとしても携帯のロックを解除したくなるかも。
    知っていいことはないんだろうけどね。
    近いはずだと思っていたのに、よく理解できていなかったのかとガックリしそうだ。ガックリしないためにも、期待しすぎないことだな。

  • 友達と旅行と出掛けた妻が、タクシーの転落事故で死ぬ。遺された携帯のメールから浮気を疑う夫。結局、この夫婦は上手くいかない関係だったのかも。えみの性格を1番わかっていたのは姉で、夫は1番分かってなかったのだろう。死んだら負け…そんなことを思ってしまう。

  • 奥さんを事故で亡くした主人公のお話。

    1冊を通して、淡々と語られていた。主人公の、無気力さがリアルだったと思う。そして、実は奥さんの事を理解していなかったという、事実。
    でも、それに気がついた時にはもうこの世にはいないという、どうしようもならない虚しさ…。

    ラストでハッピーエンドになるわけでもなく、そこも、リアルだなと思った。

    少しだけ、前に進めたのかな。

  • 夫婦関係にもやっとしたものを抱えていた時に、図書館で手に取った一冊です。

    【妻が旅先で亡くなった。
    友達と一緒のはずが、事故に遭ったタクシーには妻1人。
    妻は何故嘘をついたのか、本当は誰と一緒だったのか。】

    妻のケータイのロックが解けるまで、淡々と話が流れていくので、最初は読みにくい印象でした。
    ロックが解けてからは、内容が内容だけにするする引き込まれるように読みました。
    ただ、「え、もしかしてこの人?」と思ってからがスムーズ過ぎてひねりもなくてやや物足りない感。。。

    しかしどんどん明らかになる妻のびっくりな部分。
    やはりどうしても死んだ人の印象って良くなりがち、だけど、そうでもないよなって思いました。
    そうでもないというか、悪人ということじゃなくて、人だもん。ということ。
    自分にも身に覚えがあるように。

    それから、兄弟なら話さなくてもなんとなく確信がもてることってあるけど、夫婦は違うよなということを思いました。
    兄弟には年に数回会う程度で、夫婦は毎日一緒にいてもそれは変わらなくて。
    夫婦は1番近くにいる他人なんだなと改めて思いました。(実感も含め。)(良くも悪くも。)

    「人にはいろんな事情がある。知っておいた方がいいものもあるし、知らなくていいものもある。知るべきかどうかは、人同士の関係性によって変わる。そして人は、知っている情報だけで、充分、振りまわされることができる。」
    この部分には妙に納得。
    そしてこの話では相手が死んでしまってるから、よけさら自分の中で納得して完結させるしかないのだよね。
    ただ相手が生きていたとしても、結局納得するのは自分なのだよね。

    最後の終わり方は、え、それいる?笑 という感じでした。


    自分に落とし込んで考えれば、もっといろんなこと夫婦で話さねばな…と思いました。

    小説としてはあまり引き込まれなかったけど、この本から考えられたこととしては、星4つくらいかな。

  • 夫婦三部作「その愛の程度」「近いはずの人」「それ自体が奇跡」の第2弾作品。

    ・後退の九月
    ・懐胎の十月
    ・携帯の十一月
    ・重体の十二月
    ・倦怠の一月
    ・招待の二月
    ・敵対の三月
    ・停滞の四月
    ・忍耐の五月
    ・進退の六月

    食品会社で働く北野俊秀は、数か月前に事故で妻・絵美を亡くした。

    どん底の生活で酒浸りの日々の日課が、絵美の携帯のロックを解くこと。

    しかしロックが解けたことで、旅行先での事故に8という謎の人物がいたことを知ってしまう。

    自分は絵美に真摯に向き合ってきたのか、自問自答する。


    小さなボタンの賭け間違いから、大きく人生の歯車が狂うこともある。

    甘くもなく、切なすぎもせず、リアルにありそうな話。

  • ★ざっくりとしたあらすじ
    不慮の事故で妻がなくなり、突然のことで呆然とする男一人残された旦那が妻の携帯電話のロック解除に日々チャレンジしながら、明かされてゆく妻の本心と男の思い込み。
    後悔先に立たずの事例を表したような、どうにも救いようのないだんまり男のふらふら劇です。

    ★本の感想
    ご、ごめんなさい。面白くなかったです。
    淡々とした小説で、妻が死んだあとの男の人はこんなものなのかなと多く疑問が残りました。

    一般的に男性は最愛の人が亡くなると、精神的にぼろぼろになるときいていたので、主人公はお酒を飲んでも思考はしっかりしているので、ずいぶんと落ち着いた男性だなと思いました。

    男性が最愛の妻を不慮の事故で、しかも若くして無くしたとあれば、こんなに冷静に受け止められるはずがありません。主人公が現実的な思考の女性ならまだわかりますが、男性はもっとぐちゃぐちゃに人生まで崩してしまう人が大多数だと感じます。

    それぞれのキャラクターが個性的なので、もっと活躍する場面を読みたいと感じました。
    特に、妻の悩み相談役だった栄人のキャラクターは強烈な印象でした。
    栄人は物事をはっきりといい、一見冷たい印象ですが、亡くなった絵美に正面から対応した態度には好感が持てます。事故後に栄人の会話でしか絵美の様子が伝えられませんでしたが、絵美が栄人に悩み相談していた過去の情景は回想の形で読みたかったです。
    もっと物語の前編から絡んで、主人公の北野を翻弄して欲しかったです。
    男性の嫉妬や思い込みがもっと表現されていたら、素晴らしかったのではないかと感じました。

    主人公の北野がどこにでもいそうな思い込みで判断して、黙ったまま時が過ぎるのにまったく気がついていない人物で、一般的にダメ夫と言われる典型。
    多くの男性が小説を読んで、自分もそうかもと向き合うきっかけになることを祈ります。
    本書を読んでいてとてもいらいらしました。
    黙っていてもいいことはないと、身に染みてわかってもらうために世の男性にぜひとも読んで欲しいです。

    女性の私からしたら非常に頭にくる主人公で、事故で亡くなった絵美が身近な男性に寄りかかりたくなるのはごもっともと思います。
    北野が高校の時に思いを寄せていた幹恵と上手くいくのは腹立たしく感じましたが、きっともう同じ過ちはしないのだろうなとも感じました。
    どうしてもなくなった妻の絵美視点で読んでしまうので、最後までイライラしっぱなしでした。

    視点を変えて読めるようになれば違った面白さがあると思いますが、人生修行が足らなくてまだ私には無理です。

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著者プロフィール

小野寺史宜(おのでら・ふみのり)
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2008年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。2019年、『ひと』が本屋大賞第二位に選ばれ、ベストセラーに。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ナオタの星』『ホケツ!』『ひりつく夜の音』『家族のシナリオ』『太郎とさくら』『本日も教官なり』『リカバリー』『人生は並盛で』『夜の側に立つ』『その愛の程度』『近いはずの人』『それ自体が奇跡』『ライフ』『縁』など。

「2021年 『とにもかくにもごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野寺史宜の作品

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