異類婚姻譚

著者 :
  • 講談社
2.92
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本棚登録 : 2005
レビュー : 324
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199001

作品紹介・あらすじ

「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作ほか、「藁の夫」など短編3篇を収録。大江健三郎賞、三島由紀夫賞受賞作家の2年半ぶり、待望の最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 「根腐れ」という言葉に衝撃を受けました。
    男は土の中の養分のように、私の根を通して私の中に沁み込んでくる…それが幸となるか不幸となるかは結局は程度の差、というリアルを見せつけられる。
    夫婦が似てくるということは、必ずしも幸福なことではないのですね…

    表題作のラスト、一気に空中に引っ張り上げられるような浮遊感を味わいました。
    それまで主人公と彼女の夫の関係に、眉間にしわをよせながら読んでいた分、その突然の浮遊感にびっくり。
    ドロドロとした澱みに、一陣の風が吹き込んで昇華されたような。

    「一緒にいると楽なんだよな」と言われることが、状況によってはこんなに気持ち悪く、鳥肌の立つ響きを孕むものなのか。
    読後に結構消耗している自分に気付いて苦笑い。
    結婚するなら同じ「楽」でも一緒にいて「楽しい」人としたい。

  • 異類が婚姻すると…。
    昔話だと、結末は悲しい別れだったり、裏切りだったり。
    そういう物語を想像していた。

    でも、ここに出てくる夫婦は、外から見るぶんにはいたってどこにでもいる夫婦。(少しむかつくけど)

    夫婦が似てくるというのは、なんとなく微笑ましい話だと思っていた。
    しかし、蛇ボールの描写を見ると、恐ろしく、グロテスクで、印象深かった。

    お互いを認め合っている夫婦。
    自分を押し殺している夫婦。
    似てくる、というのはどういうことなのか。


    一方的に食べられてると思っているけど、そんなことはない、あなただって相手を食べてきたのだ。
    お互いに食べあってきたのだ。
    そう言われると、そんな気がしてくる。

    そして、夫婦とはそういうものだ、と言われるとそんな気もしてくる。
    旦那は何者だったのか。
    でも、そんなことに関係なく、似てくるとか同化してくるという事が気持ち悪く、恐怖を感じた。

  • 読んだ当初は、まだ独身だった私。「期待して読んだのに全くわからん…」と思っていたけど、結婚して1年経った今、なーんとなく本谷さんが書いていたことの意味がわかってきたような気がする。
    夫婦って、毎日毎日顔を合わせて、話して、同じ家で同じものを食べる。他人なのに、大抵、親や子どもよりも一緒にいる。それが良いとか悪いとかではなく。

    夫婦のなんとも言えない距離感とか、関係とか、書かれていたのはそういうことなのかな。と。

  • 芥川賞を受賞した表題作ほか3編を収録した短編集。

    長年連れ添った夫婦は顔つきが似てくるというけれど、ここでは結婚3、4年でその不気味さに気づいた妻が主人公。作者お得意の毒を交えてグロテスクに描いている。

    結婚生活数十年という立場から見れば、パートナーと同化することを心地よいと感じるか、気味が悪いととらえるかは、連れ添った二人の時間の長さやその過ごし方にもよると思う。長年一緒にいれば、同居間もない頃の違和感にもなじんでくるというもの。まあ、感性がマヒしてきたとも言えるけれど、適度な距離のとり方を学んだ結果かな。

    新聞のコラムも読んでいるけれど、作者の尖った感性はおもしろく、小説としては興味深かった。
    (レビューさぼって、読後2か月の感想)

  •  4編からなる短編集。
     うち「異類婚姻譚」が第154回芥川賞受賞作。
     その「異類婚姻譚」は後半くらいまではなんとなくダラダラした感じだったのだけれど、終盤(猫のサンショを山に捨てた後)からグイグイと物語が加速していった印象。
     揚げ物を次々と口に突っ込んでくる夫、それにそれを苦しみながら受け入れる主人公の姿、そしてそれまでグウタラだった夫の妙に真相を突いてくるようなセリフにはちょっとゾっとする、ホラー的な絵図が浮かんできた。
    「(犬たち)」の「少しだけ、他の色を見てみたくなったの。」というセリフもどことなくホラー。
    「トモ子のバウムクーヘン」「藁の夫」は底辺に流れているテーマが「異類婚姻譚」とつながっているようで、どれも既婚の主婦の視線による、日常に潜んでいる歪みみたいなものが、具現化されていく様を描いているようにも思える。
     あるいは日常に潜む不安が、奇妙な形となって具現化された、といった感じだろうか。
     面白かったか、と問われれば、「異類婚姻譚」は結構面白く読めたのだが、残りの短篇が僕としては今一つだった。

  • ごめんなさい><
    私の感性では全く理解できない内容でした・・・。

    最初の異類婚姻譚はもしかしたら夫婦のあり方を別の視点で見ているのかなーと思いつつ、最初の方はうん、そーだよねーなんて思いつつも、読み進めるにつれて段々と頭の上にハテナが浮かんでました・・・
    結局、夫婦は似ていくものなんだと言いたいのか、依存したらダメだと言いたいのか・・・・

    それから特に藁の夫の話は意味不明でしたねー
    バームクーヘンも出だしからよく分からなかったし・・・

    芥川賞の本は内容が理解が難しい本が多いというイメージでしたが、書いてある文章は簡単なのに、言いたいことが理解できないこのもどかしさ。
    いつか理解できる日が来るのかな・・・

    このよく理解でなきない内容を自分なりに解釈しながら面白く読めたらいいのに・・・

  • 芥川賞を受賞した「異類婚姻譚」他三編の短編を合わせた本。

    面白いけど、不気味。
    全部、???と意味が分からない。でも滅茶苦茶面白い。出てくる人間は本当に人間?
    読む人が好きなように解釈できる小説だ。だって、答えなんてないと思うから。

    初めて読んだ作家さん。好きになった。
    図書館で借りるんじゃなくって、買えばよかった。

  •  子どもなし、定職なしの専業主婦主人公「サンちゃん」は、ある日夫と顔が似てきていることに気がつく。支え合い、甘え合い、影響し合い、溶け合ってゆく「夫婦」の本質とその多様な在り方が、怪異な世界観から滲み出してくる。第154回芥川賞受賞作。表題作の他、「〈犬たち〉」「トモ子のバウムクーヘン」「藁の夫」の短編3作を含む。

     面白いと感じたのは、間に「石」を挟むことで同化を防いだ夫婦の話。男は相手を自分の色に染めたい傾向が強く、夫婦二人だけの場合にはそれを奥さんが全て受け止めることになる。しかしその夫と妻の間に何かを挟むことで、その何かが夫の同化欲を肩代わりしてくれる。もしかたらそれは多くの家庭では、子供なのではないだろうか。夫婦の間に子供ができれば、互いの同化欲は子供へと向いていく。親子で顔が似てくるのは、遺伝子だけのせいではないのかもしれない。本作中では子供のいる家庭が登場していないことも重要な点だろう。
     読後に自分たち夫婦のことを考えてみて、意識はしていなかったが、やはりお互いに「同化欲」は持っているのだと思った。同化していくことに心地よさを感じているのも事実だと思う。本谷さんに言わせれば、「他者を自己へと変容させていく営み」が夫婦生活なのかもしれない。うーん、奥深い。
     ただ小説としては個人的には突拍子もなくて理解が出来ず、あまり入り込めなかった。表題作以外の短編3作も、私には理解不能……。『コンビニ人間』でやっと芥川賞受賞作にとっつきやすさを感じたのに、本作でまた芥川賞受賞作への距離感を感じてしまった……。

  • アメトーークの読書芸人でお勧めされてたので借りて読んだ。
    さらっと読めたけど、なんだこれ意味がわからん。
    登場人物のいちいちがとろくさくてイライラさせられたり、あまりにも怠惰だったり屁理屈ばっかりで不愉快な思いをさせられた。
    飼い猫の粗相があまりにもひどくて山へ捨てに行くとか、夫婦の顔がパーツが動いてだんだんそっくりになったのが石をはさんで元に戻るとか、エピソードは印象的なのに、登場人物に違和感と嫌悪感があふれてまったく浸れなかった。
    犬の話の落ちは結局なんだったのか?
    トモ子のバームクーヘンの違和感も嫌な後味で鬱になる。

  • 芥川賞受賞作。結婚して夫婦の顔が似てくるってこういうこと?維持できなくなるの?怖い。

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著者プロフィール

本谷有希子(もとや・ゆきこ)
1979年生まれ。2000年に「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。2006年上演の戯曲『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を史上最年少で受賞。2008年上演の戯曲『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞受賞。2011年に小説『ぬるい毒』で第33回野間文芸新人賞、2013年に『嵐のピクニック』で第7回大江健三郎賞、2014年に『自分を好きになる方法』で第27回三島由紀夫賞、2016年に「異類婚姻譚」で第154回芥川龍之介賞を受賞。著書に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『ぜつぼう』『あの子の考えることは変』『生きてるだけで、愛』『グ、ア、ム』などがある。

「2018年 『静かに、ねぇ、静かに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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