異類婚姻譚

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 397
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199001

作品紹介・あらすじ

「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作ほか、「藁の夫」など短編3篇を収録。大江健三郎賞、三島由紀夫賞受賞作家の2年半ぶり、待望の最新作!

感想・レビュー・書評

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  • R3.2.23 読了。

     4つの短編集。文章は読みやすくて良いのですが、筆者の独特の世界観についていけなかった。

  • 今村夏子の分からなさがクセになってしまう、と言うと
    友達から本谷有希子の異類婚姻譚も似たような分からなさがあるよ、と勧められて手に取った。

    確かに、不気味な話である。
    夫婦がだんだん似ていき、顔だけでなく言動も似てくる話。
    一緒に住んでると似てくるというのはよく聞く話で、私も実際に似てるねと言われる。

    今村夏子ワールドの不気味さはある意味おとぎ話のようで、現実味がなくてそれがクセになる楽しさがあったけれど
    異類婚姻譚は妙に現実味があって、また違う不気味さだった。
    最終的に夫の「形態」は全く異なったものになる。
    そして妻も、その寸前のところまで行っていた。
    キタヱさんはあのとき何と言っていたんだろう…

    ほかの短編3作は本当に短くて
    読みやすかったけどやっぱりわからない世界観だった。

  • 「根腐れ」という言葉に衝撃を受けました。
    男は土の中の養分のように、私の根を通して私の中に沁み込んでくる…それが幸となるか不幸となるかは結局は程度の差、というリアルを見せつけられる。
    夫婦が似てくるということは、必ずしも幸福なことではないのですね…

    表題作のラスト、一気に空中に引っ張り上げられるような浮遊感を味わいました。
    それまで主人公と彼女の夫の関係に、眉間にしわをよせながら読んでいた分、その突然の浮遊感にびっくり。
    ドロドロとした澱みに、一陣の風が吹き込んで昇華されたような。

    「一緒にいると楽なんだよな」と言われることが、状況によってはこんなに気持ち悪く、鳥肌の立つ響きを孕むものなのか。
    読後に結構消耗している自分に気付いて苦笑い。
    結婚するなら同じ「楽」でも一緒にいて「楽しい」人としたい。

  • 読んだ当初は、まだ独身だった私。「期待して読んだのに全くわからん…」と思っていたけど、結婚して1年経った今、なーんとなく本谷さんが書いていたことの意味がわかってきたような気がする。
    夫婦って、毎日毎日顔を合わせて、話して、同じ家で同じものを食べる。他人なのに、大抵、親や子どもよりも一緒にいる。それが良いとか悪いとかではなく。

    夫婦のなんとも言えない距離感とか、関係とか、書かれていたのはそういうことなのかな。と。

  • 異類が婚姻すると…。
    昔話だと、結末は悲しい別れだったり、裏切りだったり。
    そういう物語を想像していた。

    でも、ここに出てくる夫婦は、外から見るぶんにはいたってどこにでもいる夫婦。(少しむかつくけど)

    夫婦が似てくるというのは、なんとなく微笑ましい話だと思っていた。
    しかし、蛇ボールの描写を見ると、恐ろしく、グロテスクで、印象深かった。

    お互いを認め合っている夫婦。
    自分を押し殺している夫婦。
    似てくる、というのはどういうことなのか。


    一方的に食べられてると思っているけど、そんなことはない、あなただって相手を食べてきたのだ。
    お互いに食べあってきたのだ。
    そう言われると、そんな気がしてくる。

    そして、夫婦とはそういうものだ、と言われるとそんな気もしてくる。
    旦那は何者だったのか。
    でも、そんなことに関係なく、似てくるとか同化してくるという事が気持ち悪く、恐怖を感じた。

  • 《図書館本》不気味で不思議なお話。表題になっている「異類婚姻譚」は夫が揚げ物を食べさせてくるところからじわじわと不気味さが増してきて、読後ゾワーっとなった。〈犬の話〉は綺麗な話で好きだな。全体的にうっ不気味な雰囲気が漂う本でした。面白かった。

  • 他のユーザーさんの感想が面白かったので読んだ。
    普通の日常にナチュラルに怪異が侵入してきて、やがて生活のバランスも崩される。

    近年世間が獲得した常識として「夫婦は他人」がある。
    夫婦とはいっても他人同士の集まりだから、最低限の気遣いは必要だ、という事だ。

    ではその気遣いを取っ払ったらどうなるのか?というお話。
    書かれていることは不思議なことだけど、他者を自分と同一視し自分と他者の境目がなくなることによる弊害が真に迫る描写で、わたしも気をつけよ…と思いました。

    他のお話も面白かった。登場人物が怪奇を当たり前に受け入れているのが新鮮。

  • 『異類婚姻譚』『犬たち』『トモ子のバウムクーヘン』『藁の夫』の4編収録。
    『異類婚姻譚』は旦那と奥さんの顔が似てくるが…という話。主題にあまり関係のない、猫を棄てるサイドストーリーのほうが気に入ってしまった。家庭の描写に温かみがって、本谷さんはきっと気立ての良い方なのだろうと思ったがその反面あまり毒々しさは無かったのかな。異類婚姻譚のテーマが全編に共通しているところはよかった。

  • 夫婦はお互いに食べ合うヘビという描写が強烈でした。自分も相手を飲み込もうとしているのかなというなんとも言えない罪悪感が。
    不思議系ストーリーなのに、なぜか心にずんっと響くリアルさを感じます。

  • 芥川賞を受賞した表題作ほか3編を収録した短編集。

    長年連れ添った夫婦は顔つきが似てくるというけれど、ここでは結婚3、4年でその不気味さに気づいた妻が主人公。作者お得意の毒を交えてグロテスクに描いている。

    結婚生活数十年という立場から見れば、パートナーと同化することを心地よいと感じるか、気味が悪いととらえるかは、連れ添った二人の時間の長さやその過ごし方にもよると思う。長年一緒にいれば、同居間もない頃の違和感にもなじんでくるというもの。まあ、感性がマヒしてきたとも言えるけれど、適度な距離のとり方を学んだ結果かな。

    新聞のコラムも読んでいるけれど、作者の尖った感性はおもしろく、小説としては興味深かった。
    (レビューさぼって、読後2か月の感想)

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著者プロフィール

1979年石川県生まれ。戯曲「遭難、」で鶴屋南北戯曲賞、戯曲「幸せ最高ありがとうマジで!」で岸田國士戯曲賞を受賞。「ぬるい毒」で野間文芸新人賞、「嵐のピクニック」で大江健三郎賞、「自分を好きになる方法」で三島由紀夫賞、「異類婚姻譚」で芥川賞を受賞。

「2019年 『文学2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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