異類婚姻譚

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  • 講談社 (2016年1月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (170ページ) / ISBN・EAN: 9784062199001

作品紹介・あらすじ

「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」――結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作ほか、「藁の夫」など短編3篇を収録。大江健三郎賞、三島由紀夫賞受賞作家の2年半ぶり、待望の最新作!

みんなの感想まとめ

夫婦の関係や同居人としての存在をテーマにした短編集は、シュールで不気味な雰囲気が漂い、読者を引き込む魅力があります。表題作では、結婚生活が進むにつれて夫婦が似てくる現象を、気持ち悪さと共依存の視点から...

感想・レビュー・書評

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  • 全体的にシュールで不気味で、なんとも気持ち悪い雰囲気が魅力的。
    以下、特に印象的な2篇のレビュー。

    ・異類婚姻譚
    夫婦が似てくるという現象を、すごく気味悪く書いた作品。
    お互いに気を使わなくていい状況で、なし崩しに2人とも堕落し、共依存に陥っていく様、客観的に見るとこんなに気持ち悪いんだな。性行為を「蛇ボール」に例える描写とか、エロくもグロくもないのに、虫唾が走る。
    今、夫も私もお互い部屋が汚いことを気にしないことによって、史上最大に散らかっている我が家を見つつ、月並みだけど、夫とは他人同士であることを忘れないようにしなければ、と思う。

    ・〈犬たち〉
    「犬」は何の象徴なんだろう、殺意…?他の人の解釈も知りたい。
    冷たい上品な雰囲気で、犬たちもかわいいのに、とても不気味な短編で、すごく好き。

  • R3.2.23 読了。

     4つの短編集。文章は読みやすくて良いのですが、筆者の独特の世界観についていけなかった。

  • 夫婦の関係性がある種の同居人でしかない場合も多いのだろうし(表題作、『藁の夫』)、より広げて自分の子どもにもふと得体のしれなさのようなものを感じてしまう瞬間があったりと(『トモ子のバームクーヘン』)、日常の中の不穏な空気を切り取る短編集。顔が崩れたり、藁で出来た夫から楽器がこぼれ出したり、イメージが独特で、これぞ純文学?
    表題作の夫はおぎやはぎ小木氏がモデルときき、なるほどと納得。

  • 今村夏子の分からなさがクセになってしまう、と言うと
    友達から本谷有希子の異類婚姻譚も似たような分からなさがあるよ、と勧められて手に取った。

    確かに、不気味な話である。
    夫婦がだんだん似ていき、顔だけでなく言動も似てくる話。
    一緒に住んでると似てくるというのはよく聞く話で、私も実際に似てるねと言われる。

    今村夏子ワールドの不気味さはある意味おとぎ話のようで、現実味がなくてそれがクセになる楽しさがあったけれど
    異類婚姻譚は妙に現実味があって、また違う不気味さだった。
    最終的に夫の「形態」は全く異なったものになる。
    そして妻も、その寸前のところまで行っていた。
    キタヱさんはあのとき何と言っていたんだろう…

    ほかの短編3作は本当に短くて
    読みやすかったけどやっぱりわからない世界観だった。

  • 「根腐れ」という言葉に衝撃を受けました。
    男は土の中の養分のように、私の根を通して私の中に沁み込んでくる…それが幸となるか不幸となるかは結局は程度の差、というリアルを見せつけられる。
    夫婦が似てくるということは、必ずしも幸福なことではないのですね…

    表題作のラスト、一気に空中に引っ張り上げられるような浮遊感を味わいました。
    それまで主人公と彼女の夫の関係に、眉間にしわをよせながら読んでいた分、その突然の浮遊感にびっくり。
    ドロドロとした澱みに、一陣の風が吹き込んで昇華されたような。

    「一緒にいると楽なんだよな」と言われることが、状況によってはこんなに気持ち悪く、鳥肌の立つ響きを孕むものなのか。
    読後に結構消耗している自分に気付いて苦笑い。
    結婚するなら同じ「楽」でも一緒にいて「楽しい」人としたい。

  • 他のユーザーさんの感想が面白かったので読んだ。
    普通の日常にナチュラルに怪異が侵入してきて、やがて生活のバランスも崩される。

    近年世間が獲得した常識として「夫婦は他人」がある。
    夫婦とはいっても他人同士の集まりだから、最低限の気遣いは必要だ、という事だ。

    ではその気遣いを取っ払ったらどうなるのか?というお話。
    書かれていることは不思議なことだけど、他者を自分と同一視し自分と他者の境目がなくなることによる弊害が真に迫る描写で、わたしも気をつけよ…と思いました。

    他のお話も面白かった。登場人物が怪奇を当たり前に受け入れているのが新鮮。

  • 異類が婚姻すると…。
    昔話だと、結末は悲しい別れだったり、裏切りだったり。
    そういう物語を想像していた。

    でも、ここに出てくる夫婦は、外から見るぶんにはいたってどこにでもいる夫婦。(少しむかつくけど)

    夫婦が似てくるというのは、なんとなく微笑ましい話だと思っていた。
    しかし、蛇ボールの描写を見ると、恐ろしく、グロテスクで、印象深かった。

    お互いを認め合っている夫婦。
    自分を押し殺している夫婦。
    似てくる、というのはどういうことなのか。


    一方的に食べられてると思っているけど、そんなことはない、あなただって相手を食べてきたのだ。
    お互いに食べあってきたのだ。
    そう言われると、そんな気がしてくる。

    そして、夫婦とはそういうものだ、と言われるとそんな気もしてくる。
    旦那は何者だったのか。
    でも、そんなことに関係なく、似てくるとか同化してくるという事が気持ち悪く、恐怖を感じた。

  • 夫婦間のあるあるをシュールに描く、異次元ファンタジー。

  • いつの間に、私は人間以外のものと結婚してしまったのだろう。
    専業主婦のサンちゃんは、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く……。


    主婦として家事を担っている今の私に近い日常の物語。そこに異質な要素が入ってきて、心がざわざわ、少し怖い、そして不思議さを感じるお話になっている。
    他人同士が夫婦になっていく時に感じる、自分が変わっていく気持ち悪さや心地よさが描かれていて、不思議だけどなんか分かるわぁ……と思いながら読みました。

  • 《図書館本》不気味で不思議なお話。表題になっている「異類婚姻譚」は夫が揚げ物を食べさせてくるところからじわじわと不気味さが増してきて、読後ゾワーっとなった。〈犬の話〉は綺麗な話で好きだな。全体的にうっ不気味な雰囲気が漂う本でした。面白かった。

  • 『異類婚姻譚』『犬たち』『トモ子のバウムクーヘン』『藁の夫』の4編収録。
    『異類婚姻譚』は旦那と奥さんの顔が似てくるが…という話。主題にあまり関係のない、猫を棄てるサイドストーリーのほうが気に入ってしまった。家庭の描写に温かみがって、本谷さんはきっと気立ての良い方なのだろうと思ったがその反面あまり毒々しさは無かったのかな。異類婚姻譚のテーマが全編に共通しているところはよかった。

  • 夫婦はお互いに食べ合うヘビという描写が強烈でした。自分も相手を飲み込もうとしているのかなというなんとも言えない罪悪感が。
    不思議系ストーリーなのに、なぜか心にずんっと響くリアルさを感じます。

  • 芥川賞を受賞した表題作ほか3編を収録した短編集。

    長年連れ添った夫婦は顔つきが似てくるというけれど、ここでは結婚3、4年でその不気味さに気づいた妻が主人公。作者お得意の毒を交えてグロテスクに描いている。

    結婚生活数十年という立場から見れば、パートナーと同化することを心地よいと感じるか、気味が悪いととらえるかは、連れ添った二人の時間の長さやその過ごし方にもよると思う。長年一緒にいれば、同居間もない頃の違和感にもなじんでくるというもの。まあ、感性がマヒしてきたとも言えるけれど、適度な距離のとり方を学んだ結果かな。

    新聞のコラムも読んでいるけれど、作者の尖った感性はおもしろく、小説としては興味深かった。
    (レビューさぼって、読後2か月の感想)

  • すごくメルヘンで女性的

  • 芥川賞受賞作。短編集。
    いつの間にか似てきてしまった夫婦の話「異類婚姻譚」。旦那の顔が崩れる瞬間を見てしまうのも怖いけど、自分の顔が自分を忘れる、というのも恐ろしい状況。旦那が山芍薬になってしまうという結末も、かなり面白い。一緒に暮らしていて、相手のこと(この場合は夫婦)を知っているようで、知らなかった。でも、なんか、そのことに、ちょっとホッとした。
    他、山小屋で切り絵の複製を作る仕事をしていた主人公が犬になっちゃうお話「犬たち」。
    子育てに不安を抱えるトモ子のお話「トモ子のバームクーヘン」と、そのトモ子の夫は藁だった「藁の夫」。
    夫婦生活の不安定、みたいなものを描いているのかな?とか思いながら読んでみる。解釈するまで何回か読み返さないと、な作品。それがまた面白いのだけど。
    不思議な一冊で、たまにはこういうのも良いかも。

  • ゾッとした。
    ホラーっぽいんだけど決してファンタジーなホラーではなくて、それがまた余計にゾッとした。

    「結婚生活」をはじめとした「日常」の中に潜む異質さやいびつさを、一見怪異とも取れる比喩的表現でめちゃくちゃ深い所まで切り込んでいくなぁという感じ。
    怪異の様な異質な怖さなのに確かに覚えのある感覚だからこそ、そこがまた怖い。

    個人的に一番覚えがあったのは『トモ子のバウムクーヘン』のお話だけど、これはゾッとすると同時にちょっと安心もした。
    「あ、私の他にもこんな突拍子の無い事考えちゃう人居るんだな。」「別に異質な不安症とかではないんだな」てちょっとホッとした

  • 結婚生活が…結婚?とも言えない関係もありましたが、だんだん違うものになっていくのはゾッとしました。異質なものになる、結婚生活が、幻、異質なものとの結婚。
    表題作の旦那さんは鬱病かとも思いましたが、人間やめたかったのか。。
    〈犬たち〉が好き。〈犬〉が何故、あの町では駄目なのか明らかにされなかったけれど、主人公や友人が知らなかっただけで、恐れられ排除しなきゃいけないものだつわたんだろな。でも白い犬、綺麗。
    他2篇も異様で良かったです。破壊衝動みたいな…?

  • 人でないものと人の交わり。
    その奇妙な生活がごく普通に描かれていると思えば、私たちが普通だと思っていることが奇妙なものにすら思えてくる不思議さ。
    人間としての自分の輪郭はきっと揺れ続けていて、変化し続けているのだろうけど、その輪郭は失ってはいけないと思った。

  • すごく不思議で奇妙な作品でした。人間がモノに見えてくる。本質的な所に疑いが生まれ、日常に潜む恐怖にゾッとさせられる作品でした。
    理解できない部分もあり、そういう点でも不思議で読み返したくなります。

  • 第154回 芥川賞受賞作であるらしい。夫婦についてその人外関係について描かれている。著者はどうも相手に自分の本性を飲み込まれていく感覚があるらしい。「でももう少し別々の人間でいたいっていうか。別の人間、ね。、、、
    だって結婚て、相手の良いところも悪いところも飲み込んでいくでしょう」そして、「これまで私は誰かと親しい関係になれたり、自分が少しずつ帰られていくような気分も味わってきた」そして、その違和感を破るようにそのかんけいを「無理矢理引き抜いてきた」のである。
     人間関係はその距離感が大事なんだろう。そんなに親しくない人とはそはなりの距離を保つし、こっちが一方的に親友と思って心の中に入っていこうとすると、冷たくされる場合があるけど、あれなんかはその距離感を相手が距離を、おろうとしているのだ。夫婦もそれしかり。夫婦にも距離感が大事なんだって、つくづく思う。夫婦でも、親子関係でも土足で相手の懐に入ってはいけないということかな。

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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