やがて海へと届く

著者 :
  • 講談社
3.47
  • (48)
  • (106)
  • (115)
  • (34)
  • (10)
本棚登録 : 1071
感想 : 141
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199254

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 言葉が綺麗です。
    「葡萄色の空」という表現がとても素敵だなぁと思いました。
    空を見て葡萄色だなんて思ったことなかった…
    表紙もお洒落。
    静かだけど、少しあたたかい…そんなお話です。

  • 現実と交互に語られる抽象的な世界がなんだかとにかく苦手だった。喪失と再生の物語なら現実のシーンだけで良かった。俺にはあの抽象的な世界が届かなかった。

  • 2016 11/13

  • 震災で、大好きな大切な友が消えた。死んだなんて思いたくない。
    夢と現実が交錯するような思考の中で、辛い月日が流れた。
    喪失から立ち直ることの辛さや、受け入れてしまうことの罪悪感がひしひしと感じられた。
    彩瀬まるさんのちょっと悲しげなトーン、いい作品だと思った。

  • 震災によって失われた親友すみれへの思いを捨てきれず、夢と現実が交錯する生活をしていた湖谷真奈は、彼女に代わる存在を見つけることで、すみれの死を受け止め未来へと足を運び始める。
    それは大切な人を失った全ての人に対する作者のメッセージであるように感じた。

    彩瀬まるさんが描く、喪失感を持ったまま生きる人間の物語は癖になるし、幻想的な世界の描写力は作品を重ねることにパワーアップしている気がする。

  • 震災から5年半たった今でも、2500余人が行方不明だ。
    その中には、死亡届けを出せない人も多くいる。
    行方不明の友人を、忘れることなど出来ない。それを伝える文章に胸が詰まる。

  • あの震災、旅の途中で消息を断った人が居るかも、とか考えたこともなかった。

  • 彩瀬まるはここ最近ぐっとよい。震災で行方不明になった親友の遺品を整理しながら消えない影に気づく主人公が前を向けるようになるまで。

  • 図書館で借りた本。
    震災で行方不明になったすみれを取り巻く人たちの、待ちたい気持ちとあきらめの葛藤。現実の話は引き込まれたけど、時々空想(夢?)の話も入ってくる。空想の話は理解が難しかった。現実と空想を織り交ぜてこそ、この話は完成するのかもしれないけど、空想の話についていけなかったのは、自分の想像力の欠乏か?

  • 私たちは「忘れない」ことで何を償ったつもりでいるのだろう。誰に許しを乞うているのだろう。
    苦しいことや悲しいことを風化させないために過去を楔として覚えていることより、楽しいことや嬉しいことを励みや生きがいにして未来に踏み出す勇気に変えることこそが私たちに託された生きるということではないだろうか。

    生きるということは時を刻むということ。
    止まってはいられないということ。
    立ち止まってはいけないということ。

    植物が芽吹き、花が咲き、そして枯れ、種が散る。そして芽吹く。人が歩くことに繋がるものがある。

全141件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

彩瀬まるの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×