拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199391

作品紹介・あらすじ

2002年の日朝平壌会談のあと、安倍晋三は、本当に拉致被害者たちの北朝鮮一時帰国に反対したのか? 
 その後、対北朝鮮強硬派として政治的な地位を高めた現首相、そして、その周辺に蠢いた数多くの人間たちの打算と裏切りを告発する、究極のインサイド・ストーリー!!

感想・レビュー・書評

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  • 拉致問題に関し著者がいくつかの間違いを犯したことは事実だが、それを率直に認めている。家族としてはやむを得ないことだとも思う。拉致問題を自らのエサとすべく立ち回る数々の人々の姿は見苦しい(政治家に限らず。もっともその筆頭は安倍晋三だが)。「家族会」と「救う会」の違いすら知らなかった自分がなさけない。米国は自国民を軍隊を出動させても守るという姿勢があるが、この国の政府にそうした気概(実際に自衛隊を出されたら困るが)はない。「棄民」があるのみである。

  • ずいぶん刺激的なタイトルだが、国会でネタになったような安倍首相だけではなく、救う会や家族会、ブルーリボンをつけているような政治家たちなど多くの無策と怠慢によって拉致問題が膠着状態になってしまっているのを当事者であるにも関わらず感情的にならないでかなり事実と論理によって分析している。
    拉致問題を利用している者にとっては問題が解決してもらっては困るのだ、という主張をまるまる認めるわけではないが、正直一定の説得力はある。

  • もったいないな…と思う。本書のタイトルとカバー写真だ。安倍晋三も
    確かに北朝鮮による一連の日本人拉致事件を糧にしているかもだが、
    それを前面に押し出して彼の名前をタイトルに入れ、カバー写真に
    してしまったことである種の人たちは内容を読まずに批判するのじゃ
    ないかな。

    私もこのタイトルとカバー写真で購入に二の足を踏んだ。普段は立ち
    読みはしないのだが、本書に限っては少々内容を確認してから購入
    した。

    内容はいたってまともであり、真面目である。だから余計にもったいな
    い。「売らんかな」という版元の姿勢が裏目に出てしまっている。

    小泉首相の電撃訪朝で拉致被害者のうち5人の帰国が実現した。
    本書の著者は帰国者のひとりである蓮池薫氏の兄であり、家族会
    の事務局長を務めていた透氏だ。

    突然の弟の行方不明から奪還まで。試行錯誤を繰り返しながら歩ん
    だ道を、時に自分の言動を反省し、政治家や外務省への苛立ちを
    見せながら正直に綴っている。

    知っていたつもりでも知らないことがあまりにも多かった。帰国した
    5人とその家族は、国が手厚く保護しているものだと思っていた。
    これが大間違い。

    国から帰国者に渡るのは月々わずか13万円しかないのか。そりゃ
    薫氏も翻訳などの仕事をしなければ生活が成り立たないよな。そし
    て、もうひつと驚いたのは家族会の金の流れだ。

    篤志家が「帰国者の生活の為に」とカンパしても当事者の手には
    渡らないんだ。時折、ネット上で家族会の資金の流れの不透明さ
    が指摘されている記事を読むが、家族会自体が既にアンタッチャ
    ブルな存在になってしまっている。

    ふと、思うんだ。安倍晋三は「拉致被害者の帰国は最優先課題」
    と言う。だが、政治家にとって解決しない方が都合がいいんじゃない
    のか。だって、選挙に使えるもの。

    胸元にブルーリボンをつけて「北朝鮮はけしからん」ってやっていれ
    ば一定の共感は生むだろうし、感情に訴えやすいんじゃないか。

    そもそも、問題の解決の着地点はどこなのか。例えば拉致問題の
    象徴となっている横田めぐみさん。本書では北朝鮮で同じ招待所
    にいた薫氏の語るめぐみさんの話は衝撃的なんだが、北朝鮮側
    が「死亡した」と報告した日本人に対して日本側が「そんな回答で
    は受け取れない」と突っぱねるだけでいいのか。

    長い年月が経った。死亡している被害者がいるかもしれない。そう
    であれば「いつ・どこで・どこのように」との答えを求めるのが日本
    側の仕事ではないのだろうか。

    それにしても呆れるのは政治家たち。帰国した拉致被害者と写真に
    おさまって、それを選挙活動に使うんだものな。一体、どれだけの
    政治家が本気で解決を望んでいるんだろうか。

    巻末のジャーナリスト青木理氏との対談も秀逸。しかし、弟が帰国
    したからって「説得力がない」と透氏に退会を迫る家族会ってなん
    だろう。温度差は確かにあるとは思うけどね。帰国したからって
    拉致被害者の家族に変わりはないと思うのだけれど。結局、除名
    されちゃったものな。

    拉致問題と北朝鮮との関係を考える上で、参考になる作品だった。

  •  拉致被害者の兄の蓮池薫さんが語る拉致を巡る人々。
     
     安倍総理だけでない。政治家や外交官などの行政の人。さらに家族会をサポートするはずが中心に取って代わった救う会について。
     彼らは確かに拉致問題を利用したととられても仕方ないような感じに見える。被害者への配慮より国交を優先する姿勢を見せる政治家。自分たちの主張の為に動く右派。
     拉致問題の長期化は確かに北朝鮮の対応に問題はあるが、日本側の外交に問題がなかったかもちゃんと考えないといけない。

  • 拉致問題について家族会のタブーやあまり公にされていない薫さんの発言など、あけすけに書かれている。そして拉致問題の解決とは何なのかについて、膨らませも過剰に絶望的にもならない冷静な考察がなされている。ショッキングなタイトルとは裏腹に、後半、どんな相手であっても外交問題は対話と理解が解決する、と記す。著者は一時期、メディアで過激とも思える発言を重ねていたが、今は大部分反省しているそう。未だに自分を未熟と感じているのが伺えるが、果敢に自分の考えをぶつけているこの本は、1年の始まりに勇気を与えてくれた。(ニュースに出演してギャラってもらえるの?報道なんだからコメンテーターとしての出演でなければ無報酬はありえるだろう、とか疑問は多いが)わたしも自分の考えを明らかに、共感を得る努力、相手を理解する努力を続けたい。

  • 2015年刊。著者は北朝鮮拉致被害者の兄として著名。

     著者目線の内幕暴露本だが、中でも安倍晋三という政治家の本音や政治姿勢、更には彼の「勇ましい言葉だけが上滑りした内実の無さ」の暴露・解読が生々しい。
     読破前の想像どおりで叙述の奇異感はないが、この政治家としての有り様はもう少し広く認識されてもいい内容かと。

     また70年代後半の拉致問題(当然自民党政権下)に関する警察(特に外事、公安関連)の予防と拡大阻止の不手際は、余り聞こえてこず、本書でも軽く触れられるだけ。

     一方、家族会が「救う会(国粋的でファナティックな物言いをする人々が多い)」に取り込まれる様はなんとも。
     ちなみに家族会の発起人が①(大阪)朝日放送のプロデューサ、②産経新聞の記者?、③日本共産党の議員秘書とは吃驚させられる。
     ところが、その後、著者流に言うならば「救う会」のファナティックなアジで家族会が変質していった様子は(選挙での集票組織を作り上げる模様を感得出来て)、実に生々しい。
     NHKへの舌鋒も振るっている。


     備忘録。
     佐藤勝巳の著作は08年以降のみでいい。
     カンパ金は行き先、目的を明確に。内紛の火種。
     被害者のネガティブ情報等、情報受領者は流れない情報ほか多面的に状況を推測する要あり。

  • 表題がやや刺激的すぎるかな、という点と、著者が感情的になっていると感じる部分もありましたが、これまで知らなかった拉致の裏側を知り、驚いています。
    家族会、救う会の内実や、拉致を利用した政治家たち。不透明なお金の流れ。マスコミの姿勢等々。
    拉致の安倍、ともてはやされていた安倍総理ですが、ジャーナリストの青木直人さんは「安倍総理は拉致を切り捨てようとしている」と指摘します。その指摘と、本書で書かれている内容は少し違ってはいますが、「拉致問題を、被害者家族や国民が納得できる形で解決するつもりはない」という点に置いては同じだと感じました。
    前々からなんとなく感じていた、「拉致問題関係者(救う会や政治家たち)は、本当は拉致問題が解決しない方がいいと考えているんじゃないか」という疑いにyesを突きつける内容でした。

  • 題名で損している。私が目撃した拉致問題の内幕とでもすれば。売るためなので仕方がないのだろうが。

    内容が散漫、話があちこちにとびまた戻ってくるのが気になった。
    何よりも、国からの支援も家族会への寄付もほとんど本人に渡っていないのというのが驚き。その理由も驚き。それなのに本人は誰の金で食ってるんだといわれる不条理。

    拉致問題を利用した数々の人々。
    家族会を右傾化、救う会会長佐藤、不透明な専従報酬を得ていた増元、、
    しかし報道されることはない。家族会への批判はタブー視され、聖域化する家族会。

    拉致問題解決のための対話路線と強硬路線。
    制裁をするのは簡単だ。指示するだけでいい。だが外交を動かすのは大変だ。もはや北朝鮮との貿易は途絶えてしまい経済制裁は効果がなく、対話・交渉路線でしかことは動かない。政府はこの交渉路線の困難から逃げただけではなかったかと著者。確かに経済制裁が効くのは、制裁で苦しむ市民の声が政府への圧力になるからで、独裁国家では効果がないんだろう。
    では家族会を強硬路線へと走らせ、過激化させたのは誰か。
    実は自分もその張本人だったと懺悔する一節があるのが面白い。
    中韓と関係が悪い状況では拉致問題は動かないとも指摘する。

    NHKスペシャルで2度の訪朝の真の目的はどちらも核問題だったと報道されている。そう言われると2度目の訪朝の経緯が納得できる(支持率が落ちたら訪朝とかいわれてたよね)
    小泉訪朝さえ拉致問題を出しにしていた。

  • 拉致被害者で2002年10月に、小泉首相の日朝首脳会談の成果で日本に帰国することが出来た5人のうちの一人蓮池薫さんの兄・透さんが書いた本。
    安倍晋三は当時から拉致被害者の問題で何もして来なかったというのはよく分かるが、表題は少しオーバー。
    それよりも家族会が決して一つになっていない、というのがよく分かった。
    帰国出来た被害者の家族とそうでない家族、多額のカンパ金の管理と処理、夫婦の性格の違い、家族会の政治利用、加害国と被害国の立場etc.
    巻末の青木理さんとの対談が、少し偏ってはいるけど、より裏側が分かって、一番良かった。

  • 執筆から5年も経っているのにまだ安倍さんが総理って!5年前の蓮池さんもびっくりだろうね。こんなの書いて蓮池さん大丈夫だろうか?心配になった。

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著者プロフィール

蓮池 透(はすいけ・とおる)
 1955年、新潟県に生まれる。東京理科大学工学部電気工学科卒業後、1977年、東京電力に入社。2002年、日本原燃に出向。同社燃料製造部副部長。核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当。2006年、東京電力原子燃料サイクル部部長(サイクル技術担当)。2009年に東京電力を退社。1978年に北朝鮮に拉致された蓮池薫の実兄。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の事務局長などを歴任する。
 著書には、『奪還 引き裂かれた二十四年』『奪還第二章 終わらざる闘い』(以上、新潮社)、『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』 『私が愛した東京電力 福島第一原発の保守管理者として』(以上、かもがわ出版)などがある。

「2015年 『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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