たそがれどきに見つけたもの

著者 :
  • 講談社
3.30
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本棚登録 : 147
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199414

作品紹介・あらすじ

もう若くない、まだ若い、そんな複雑な気持ちを抱えた、人生の折り返し地点にきた女と男が抱える様々な問題――家族、仕事、そして恋愛――を切り取る、短編集

「たそがれどきに見つけたもの」――SNSで高校時代の友だちに久しぶりに再会。彼女はまだ、そのときのことを引きずっているようで。

「その日、その夜」――きむ子は思った。(お尻、出したまま死ぬのはいやだなあ)と。


「末成り」――ちょっと話を盛りすぎちゃったかな……ゼンコ姐さん―内田善子は家に帰って、服を脱ぎ濃いめのメイクを落としながら考える

「ホール・ニュー・ワールド」――コンビニのパート先でちょっと話すようになった朴くんに、淡い恋心を抱く智子。朴くんも、やぶさかではないんじゃないかと思っている。

「王子と温泉」――結婚して、子どもが生まれてから初めてのひとり旅。夫と娘に送り出されて行った先は、贔屓にしている”王子”との温泉ツアーだった。

「さようなら、妻」――1985年、6月。妻と初めてふたりきりで会った日。彼女はあじさい柄のワンピースを着ていた。

感想・レビュー・書評

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  • 40~50代、人生の「秋」を迎えた女性達の悲喜こもごもを描いた短編集。いずれ自分の身に降りかかることがあるかもしれない…と、身につまされる思いで読みました。心も体もじわじわと老いていく、でも、まだまだ!と抗いたい思いがひっそりくすぶっている。その悪あがきを何とも滑稽に描いており、朝倉さんらしく、軽やかなんだけど苦々しくもあり。今回も「やられた~」っと思いました。
    一番印象的だったのは、ローカルの人気フリーアナ兼タレントのファンイベントを描いた「王子と温泉」。私自身、夢中になっている俳優さんがいるので、そのフリーアナを「王子」と呼ぶ妙齢のファン達の気持ちが多少はわかる。わかる…だけに、色々と複雑であった(汗)何というか、夢を見たいんだよなぁ。夢というか、妄想なんだけどな。
    主人公達の思考や行動全てに共感はできないながらも、時々、リアルに「自分のことか?」と言いたくなる描写があり、目眩がするというか火照りそうというか。なかなか、自分の思い描くように歳を重ねることはできないんだろう。じたばたしながらも、ゆるやかに人生の「秋」から「冬」へとつなげていければいいなと本書を読んで思ったのでした。

  • じんわりと面白かった。何だかんだ思いつつも一日で読み切ってしまいました。

    子供のPTA主催の講演会で婦人科の先生が(更年期について)「40~50代を季節に例えるならは秋で、いま皆さんは秋の入り口や秋の真ん中にいるんですよ。」ということを話していたのを思い出した。

    「たそがれどきに見つけたもの」「その日の、その夜」「末成り」「ホール・ニュー・ワールド」「王子と温泉」「さようなら、妻」の6篇。

    50歳、54歳、42歳、53歳、52歳、56歳の主人公たち。結婚、出産、子育て、子の巣立ち。…そのうち来るであろう親の介護。いまひとときの自由な時間のかげにちらつく親の介護問題をさりげなく盛っているところはうまいなぁ…と思った。

    私は自分の実年齢と精神年齢のギャップに年々悩みが深くなっているけど、登場人物たちも精神的に幼くて気分は20~30代で、自分とかぶる部分があり読んでいて少しホッとした。と同時に50代の世界も垣間見ることが出来た。

    「たそがれどきに見つけたもの」や「末成り」は、なんだか少しこわいような気もしてぞわっとした。本当に黄昏と秋とか木枯らし…いう雰囲気だった。人生も秋な自分が秋にこの本を読んだら なんとも言えないうらさみしくひと肌恋しい気分になった。

  • びっくりするくらい、全く面白くない。
    どんぴしゃの年齢の登場人物達の話なのに、あるある感が無く、共感するところが全く無い。
    そして、素人が言うのは申し訳ないとは思うが、文章が下手だなあとまで思った。

    表題作、何度読み返しても10年のズレがある。
    今テレビで校閲のドラマを放映しているからではなく、元々こういう部分は細かいところまで気にして読む方なので、「現在何歳の人の何十年前から何年経ってこれこれのことがあって、それから何年後が現在」というのが合ってないじゃないか〜〜!となれば、酷いとしか思えない。

    脱字もあり。

  • 80歳まで生きると考え、人生を四季の4等分とする。
    0~20歳は春、21歳~40歳は夏、41歳~60歳は秋、61歳~80歳は冬。
    そんな人生の秋を迎えた人たちの短編集なのだが、
    人生を四季に分けるというのがまず素敵だった。ふむふむと思ったり、確かにあのころは春真っ盛りだったな、と思ったり。今は夏なのかな、や、30になったから夏の終わりあたりのあのさみしい感じかとも。
    そんな表題「たそがれどきに見つけたもの」。SNSで懐かしの友人と再会、甘酸っぱい初恋のあの人は今頃何してるのだろうと思いにふけってみたり、元彼であるいまの旦那とのもやっとしたことなど。
    すべての短編にいえることは甘いだけでない、ほろ苦い様々なこと。人生の秋、その頃わたしは自分の新しい家族を作れているのか、それとも独りを貫いているのかわからない。そんな様々な秋を想像してしまう短編集でした。

  • 40-50代男女の、悲哀に満ちた短編6編。

    各ストーリー、年代は一緒でも、立場の違う人たちばかりで、興味深く読みました。

    過去に振った多田くんと結婚した朱実、
    トイレで死ぬのは嫌だなと思っていた作家のきむ子、
    華やかに男を渡り歩いていると噂のゼンコ姐さん、
    夜のコンビニでのバイトで、遥かに年下のイケメンくんとのおしゃべりを楽しむ智子、
    地方の局アナ「王子」と過ごす温泉旅行に参加した真苗、
    4年前に受け取ったチラシの居酒屋に、ようやく立ち寄った利一郎、

    どの話も悲しく切ない。そして、痛々しい。
    50代ってそういう年なのでしょうか…

    同世代、私は彼女達のように痛々しくはない、と信じていますが、周りの評価が少し気になり始めました(汗)

  • (講談社 小説現代のweb siteより)
    はっと気付いたら、”いいとし”になっちゃってた大人たち。
    でも心のどこかで、「まだ大丈夫、もうちょっといけるーー」と思っている彼らの6編の物語。


    「その日、その夜」
    きむ子 作家。身につまされて怖くなる。

    「末成り」
    あたしの中には小さい小さいゼンコ姐さんがいる。

    「ホール・ニュー・ワールド」
    53歳 コンビニのパート。耐えらんない。幸せな人。同属嫌悪だったらどうしよう。

    「王子と温泉」
    鳥肌が立った。怖かった〜。

    「さようなら、妻」
    うっすい男。


    そして表題作の、
    「たそがれどきに見つけたもの」
    50歳 朱実 と夫の多田くん。

    勘繰りが止まらないタイトル。
    “講談社と集英社が手を組んだのかも!”と、おばちゃんはやっぱり妄想が大好き。

    でも、その件がなくても良いタイトルだ。

    多田くんの様子も大変良い。
    ラストは何度も読み返した。

    「おとめちっくラブコメ」の要素が染みついている昭和生まれは、ツイートやメールでその雰囲気を醸し出さぬよう更に気をつける所存である。


    それにしても、
    伊智子のFBの真相と、
    やっぱり『special thanks 陸奥A子先生 & 集英社さん』なのか気になる。

  • ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲四季を聞きながら、人間の一生みたいだな、と思った。タイトル作の冒頭に、そのような記述がありどきっとした。さらに主人公は、24時間に例えて50歳は16時半だと発見する。
    6つの短編からなる本書は、そんな黄昏世代を主人公にした作品で50代って疲れた世代のイメージが合ったが、とても素敵に思えた。みんながみんな生活に追われ自分を見失わないそんな50歳になって欲しいと切に願う。

  • まさに人生の「たそがれどき」、熟年から老年の年頃を迎えた男女の日常のひとこまを描いた短編集だ。
    諦めることを知り、悲喜こもごもを受け入れて生きてきた年齢の人たちが持つ、どこか物悲しく、穏やかな姿が未来の自分の姿のように感じて、老いること、生きていくことについて考えてしまった。
    生きるってやるせないなぁ。

  • 目次
    ・たそがれどきに見つけたもの
    ・その日、その夜
    ・末成り
    ・ホール・ニュー・ワールド
    ・王子と温泉
    ・さようなら、妻

    最後の「さようなら、妻」だけが、男性主人公。
    他は中年女性が主人公。概ね北海道が舞台。
    だからというわけではないけれど、どの作品にも「わかるわあ」な部分が多い。

    全然ドラマチックなことなんて起きなくて、なんなら「ダサい」「寂しい」「ザンネン」な人生だったかもしれないけど、まあそれも含めて、それほど悪くはないかもねーな人生。

    人生80年として4で割り、四季を当てはめてみたら今は秋。
    人生80年を24で割り、一日を当てはめてみたら今は午後四時半。

    “いつかかならずやってくる、親の「その日」のために鞍替えした職場だったが、ふと、「その日」がまだやってこず、娘も手がかからなくなった、今このときが、実は、とても貴重なものだと思えるようになった。今みたいに、自由でいられる時間は、きっと、すごく短いだろう。”

    だから、人生の春だったあの時、もっと違った選択をしていたら…。
    だから、心の中でくらい、ちょっと楽しい妄想をしたって…。

    でも、一番沁みたのは「その日、その夜」。
    東京でひとり暮らしをして、つましいながらも生活ができて友達がいて、けれども老いた両親のことも心配で北海道に帰ろうとしていた矢先の出来事。
    いやあ、これ、他人事じゃない。
    男女問わず、ひとり暮らしの人ならば気をつけなければ。

    ストーリーとは直接関係ないけれど、「おとめちっくラブコメ」世代の私。
    「なになにしたのデシタ」とか「なになになのデス」とか「がむばる」とかつかったよね。
    だからこそ、だからこそ、未だに「なになになのれす」とか「なになにだネ」とかを使われると、体中がかゆくなり、ものすごく気持ち悪いです。夫よ。

  • 人生80年をこのように計算してみるとは、、、
    4で割って、20歳が春、40歳が夏、60歳が秋、80歳が冬!
    でも、今は、人生100歳の時代である。

    6話からなる、主人公たちは、50~56歳。
    この本では、秋に季節になるのだろう。
    自分の事で一杯だった生活から、家族、恋愛、、仕事、、ふと、気が付いて、立ち止まって見たら、こんな年になっていると、、、

    しかし、もっと人生振り返ってみて、良いこともあったと、気づかせれる話の方が、良かったと、思う。
    この時点で、迷っていたり、妄想してみても、後の残りの人生が、楽しくなさそうな気分になった。

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著者プロフィール

1960年、北海道小樽市生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞を、04年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞を受賞しデビュー。09年『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞を受賞。著書に『ほかに誰がいる』『そんなはずない』『好かれようとしない』『タイム屋文庫』『エンジョイしなけりゃ意味ないね』『静かにしなさい、でないと』『少しだけ、おともだち』『てらさふ』『乙女の家』『植物たち』『たそがれどきに見つけたもの』などがある。

「2016年 『少女奇譚 あたしたちは無敵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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