サブマリン

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3059
レビュー : 440
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199537

作品紹介・あらすじ

陣内さん、出番ですよ。

『チルドレン』から、12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちの物語。

伊坂幸太郎、書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • 『チルドレン』の続編にあたる。

    前作を読んでから相当時間が経っているのに、数ページ読んだだけで、ああそうそう、こういう困った人だった陣内さん、と旧友に再会したような懐かしさを登場人物に覚えた。本当に面倒くさい人だよなぁ、なんて。

    家庭裁判所の調査官として、事件を起こした未成年の少年少女たちと関わる陣内と武藤。
    上司である陣内は突拍子もないことばかり仕出かす幼稚園児のような男で、陣内に振り回される武藤は真面目で誠実に仕事と向き合っている。

    正義とは、贖罪とは何か。罪を犯した人間は罪と同じ罰を受けるべきなのか。一度罪を犯した人間は決してやり直せないのか。悪人ならば、罪人ならば殺してもいいのか。悪意のない事故で起きた殺人と、悪意があったのに起きなかった殺人ならばどちらにより非があるのか・・・。

    物語の根底に流れる問いかけは重く真摯なのに、伊坂幸太郎の手にかかると語り口はとても軽妙で洒落ている。
    陣内と武藤の他愛なくくだらないやり取りに笑いながらも、芯の部分が胸に響く。

    ラストがすごくいいなと思った。
    作中で問いかけられる問題に、答えは出ない。たぶん正解はない問いだから。
    けれども陣内の言葉に、救いが、光が、くっきりと、ある。

  • 20191005
    家裁調査官の武藤と陣内シリーズ。チルドレンの続編。連作短編集ではなく長編。前作から時間がたち、家庭を持った武藤と主任になった陣内くんが大活躍?
    相変わらず陣内君が素晴らしい。滅茶苦茶だが、ハートがある。本当に格好いいところでは格好つけない。9割間違っていても、大事な1割りは決して間違わない。家裁調査官としてはいかがかというところもあるが、誰にでも自然体というのは何よりも難しいことだし、だからこそ信頼できる。
    亡くなった友人の話など、チルドレンとサブマリン以外にも関連する話があるのかも。

  • 世の中に溢れている、正解のないあやふやな問題。

    えいやーと突進した先にあるのは、ふかふかのマットなのか、それとも泥水なのか…

    いやいやマットだよかった~と思っていても
    湿っていてカビだらけで
    異臭を発しているかもしれない。

    泥水かと思っていたら、コーヒー牛乳で
    口に入ってしまい飲んだら
    美味しかったりするのかもしれない。

    白黒はっきり分かれないグレーゾーンの中で
    陣内にばったり遭遇したら絶対について行ってしまう。
    だって、乱暴だけれども言い切ってくれるから。。。

    不安なときに、風邪です!と断定する
    お医者さんに出会ったような安堵感。
    この一切の責任を持つという言い切りに
    どうしようもなく惹かれてしまうものなのです。

    『放っておけば争うに決まってるんだから』の歌が
    無性に聞きたくなる一冊です。

    盲導犬のパーカー。いい味出してます。
    『チルドレン』のベスもかわいいですけど、
    陣内にそう言わしめるパーカー、グッジョブ。
    長生きする気がします☆

  • ものすごく悪い奴がいたとする。
    でも悪い奴になってしまったのには、過酷な生い立ちなどそれなりの理由があったとしたら?
    ひき逃げ交通事故の被害者がいたとする。
    でもその被害者が実は加害者以上の極悪人だったとしたら?
    私たちの思う一方的な善悪の基準なんて、一瞬でグラグラと揺らいでしまう。
    では、私たちは何を信じて人を裁いたらいいのか、
    そもそも法律で人を裁くことなどできるのだろうか。
    その答えは、超変人の家裁調査官・陣内君がきっと教えてくれるだろう。
    孤独や悲しみの中にいる人にしてあげられることがあるとしたら、
    ただ友として隣にいて、そっと寄り添うことだけなのかもしれないね。

  • 大好きな小説のひとつである、チルドレンの続編。

    十数年ぶりの続編ということで、前作の記憶はおぼろげで、覚えていたことは
    盲導犬、銀行強盗、家裁調査官、陣内さん、、、
    ストーリーはうろ覚えだけど、陣内さんのキャラクターが強烈で、ときに笑いながら読んだ記憶がある。

    本作ももちろん、破天荒な陣内さんは健在。
    前作のような短編集ではなく、ひとつの物語として仕上げられている。
    記憶よりも陣内さんの破天荒さが落ち着いていて(齢をとったから?)物語も笑えるようなものではなく、
    物事や結果の正しさや因果関係、憎悪の連鎖など、少年犯罪をテーマに考えさせられるような作品だった。
    一方で、相変わらずテンポよく軽快な物語の流れは、テーマの重さを和らげ、
    チルドレンの続編だなーと再認識させられた。

    読了後の前作とはまったく違う感覚に、チルドレンを再読してみることを決意。

  • やっぱり名作

  • チルドレンの続編。
    多分チルドレンは読んだなぁと思ってこっちを読んでみたけど、どうもチルドレン、読んでなかった。

    家裁調査官と事件や事故を起こした少年達の物語。
    こんな調査官、絶対いないだろっていう、滅茶苦茶な男、陣内。言ってることも滅茶苦茶だけど、周りには良い人が居たりする。
    どうしていいかわからない少年達にもその滅茶苦茶でありながらも一本気なところに胸を打つものがあるんだろうなぁ。
    なかなか面白かった。

  • チルドレンと連続で読んだので、とても10年以上の時が経ったと思えなかった。
    時に身震いしながら、時に涙しながら、時に恐怖におののきながら、時に笑えたお話。

    テーマが重すぎるのに、流れは軽快。
    こどもを持つ親には、きつい。
    でも「犯人の大半が今なにが起こってるのかついていけてない」「大半の若者がごく普通の見た目」ってところで、あぁそうなんだろうなと。。

    答えはでないものばかり。
    でもきっと考えていかなきゃいけない。

  • 私は読んだ本の内容をすぐに忘れてしまう方なのだけれど。
    チルドレンの陣内と永瀬君のエピソードは強烈に記憶に残っていて。その、チルドレンの続編。
    陣内の破天荒振りは変わっていなくて、永瀬君の登場も嬉しい。
    少年が起こした交通死亡事故という重いテーマだけど、読後感は悪くない。
    やはり伊坂さんの独特の言い回しや気の利いた台詞、好きだなぁ。

  • 「サブマリン」 伊坂幸太郎
    伊坂作品の中で一番好きな「チルドレン」の続編。図々しくて面倒くさいけど伊坂作品史上最高のキャラ「陣内」が12年ぶりに帰って来た。
    少年事件を取り扱う家裁調査官の武藤は、異動先でかつての同僚陣内と再び組むことに。しかも陣内は主任となり武藤の上司となっていた。武藤が今回扱うのは、未成年の少年が無免許運転で歩道に突っ込み、ジョギング中の男性を死亡させてしまった事件。何も語ろうとしない少年に対し、陣内・武藤のコンビが意外な方法で真実に迫っていく…。
    連作短編集だった前作に対し、長編である本作は、終始武藤の視点で語られていく。少年犯罪が大きなテーマになっており、ややもすると重くなりがちな展開を陣内の言動が軽やかに切り取っていく。本作でも一番の読みどころは、いいかげんなようで核心を突いた鮮やかな陣内のセリフ回しと、ただいいかげんなだけの陣内のセリフとそれに対する周囲の鮮やかな突っ込み。名言、迷言、珍言が続出で読み手を飽きさせません。チルドレンで活躍した永瀬と優子は夫婦になっており、本作でも活躍、未だに迷惑がりながらも陣内との友人関係は続いている。残念なのは陣内の友人・鴨居君が登場しないこと、嫌な想像を匂わすシーンもあったが、無事に次作に登場することを期待したい。
    本作の陣内も愛情にあふれ、本当にかっこいい、ちょっといい人過ぎるかも。ただし、厄介に巻き込まれるのは必至で関わりをもったら大変なことになるけど。初期作品に見られるような伏線の回収も見事に決まり、安定して楽しめるエンタメ伊坂作品、オススメです(^o^)

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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