サブマリン

  • 講談社 (2016年3月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784062199537

作品紹介・あらすじ

「武藤、別におまえが頑張ったところで、事件が起きる時は起きるし、起きないなら起きない。そうだろ? いつもの仕事と一緒だ。俺たちの頑張りとは無関係に、少年は更生するし、駄目な時は駄目だ」/「でも」/うるせえなあ、と言いたげに陣内さんが顔をしかめた。/「だいたい陣内さん、頑張ってる時ってあるんですか?」/と僕は言ったが電車の走行音が激しくなったせいか、聞こえていないようだった。(本文より)



陣内さん、出番ですよ。

『チルドレン』から、12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちの物語。

伊坂幸太郎、書き下ろし長編。

みんなの感想まとめ

テーマは、少年たちの犯罪とその更生を巡る深い問いかけです。家裁調査官の陣内と武藤が新たな少年たちと出会い、彼らの事件を通じて正義や贖罪の意味を探ります。陣内の破天荒な性格と武藤の真面目さが対照的で、二...

感想・レビュー・書評

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  • 《更生》を目的とした少年犯罪の罰則。

    著者の作品の傾向により、今回も性根の腐り切った極悪非道でサイコパスな人物は出てこない。

    どこにでもいるような少年が犯罪加害者になった時、どう償うか、みんなと同じような普通の生活をしていいのか思い悩む。

    一見、自分勝手に生きているような裁判所調査官の無骨な優しさと、その部下の理性よりちょっぴり勝る親切心と他者を慮る心がじんわりとくる。


    悪質な犯罪については少年か成人かなんて論外でどちらも厳罰に異論はないが

    その事件(自動車の運転中に起こした死亡事故)を起こしたことで、別の事件を防いだなんて考え方も悪くないと思った。

    みんな迷いながら
    つまづきながら
    もがきながら、それでも正解がわからないまま毎日を生きているんだな。

    心優しい思慮深い人が生きにくい世の中になりませんように。

  • 殺られたから殺り返す。
    殺ろうとして殺り損なう。
    殺るつもりはないが殺ってしまう。

    人を殺すにも、色々な背景や経緯がある。

    その負の連鎖を断ち切る力を持つのは、この作品では漫画だったように思う。
    物語が持つ力は、儚くて、ときにとてつもなく強い。


    いやまた陣内さんがよくてよくて。

  • 「チルドレン」の続編。
    家裁調査官の陣内と武藤が出会う少年たちの真実は…

    破天荒な陣内が移動先でまた上司になって、真面目な武藤が再び、振り回されることに。
    3人一組で調査に当たるので、今回は木更津安奈というとらえどころのない女性も加わって、一味添えます。

    無免許運転で歩行者をはねた少年・佑真が、かって交通事故の被害者側だったことがわかる。しかも‥
    一方、ネット上で脅迫状を送り付けた少年・俊が自首してきた…
    次第にわかってくる陣内の過去との関連とは。

    口は達者だが、子供のようなところがある傍迷惑な陣内。ただし大事なところではブレないというカッコよさ。
    少年たちの起こした事件を捜査するにあたり、表面に出ていることだけでなく、何が起きたのかを丁寧に探り、隠れていることも見落とさない。
    事件が起きる時には、物事が絡み合っていて、すぱっと白黒つけられない事情もある‥
    それは、ありえますね。
    まして、関係者がまだ少年では。
    判別しにくいことも、価値観によって受け止め方が違うことも、あるだろう…
    自分が直面したらどう判断するのか?
    それは何とも難しいことですね。

    地道に暮らしていても襲われる、思いがけない出来事。
    そういう時にもふとした善意、勇気、機転が事態を救うこともある。
    伊坂さんの作品にはいつも、そういったものへの信頼と希望が芯に感じられます。

  • 『チルドレン』の続編にあたる。

    前作を読んでから相当時間が経っているのに、数ページ読んだだけで、ああそうそう、こういう困った人だった陣内さん、と旧友に再会したような懐かしさを登場人物に覚えた。本当に面倒くさい人だよなぁ、なんて。

    家庭裁判所の調査官として、事件を起こした未成年の少年少女たちと関わる陣内と武藤。
    上司である陣内は突拍子もないことばかり仕出かす幼稚園児のような男で、陣内に振り回される武藤は真面目で誠実に仕事と向き合っている。

    正義とは、贖罪とは何か。罪を犯した人間は罪と同じ罰を受けるべきなのか。一度罪を犯した人間は決してやり直せないのか。悪人ならば、罪人ならば殺してもいいのか。悪意のない事故で起きた殺人と、悪意があったのに起きなかった殺人ならばどちらにより非があるのか・・・。

    物語の根底に流れる問いかけは重く真摯なのに、伊坂幸太郎の手にかかると語り口はとても軽妙で洒落ている。
    陣内と武藤の他愛なくくだらないやり取りに笑いながらも、芯の部分が胸に響く。

    ラストがすごくいいなと思った。
    作中で問いかけられる問題に、答えは出ない。たぶん正解はない問いだから。
    けれども陣内の言葉に、救いが、光が、くっきりと、ある。

  • こちらは、チルドレンよりも少年たちに焦点があたっていて、陣内のおかしな魅力も増していて、ほんと好き。

  • 世の中に溢れている、正解のないあやふやな問題。

    えいやーと突進した先にあるのは、ふかふかのマットなのか、それとも泥水なのか…

    いやいやマットだよかった~と思っていても
    湿っていてカビだらけで
    異臭を発しているかもしれない。

    泥水かと思っていたら、コーヒー牛乳で
    口に入ってしまい飲んだら
    美味しかったりするのかもしれない。

    白黒はっきり分かれないグレーゾーンの中で
    陣内にばったり遭遇したら絶対について行ってしまう。
    だって、乱暴だけれども言い切ってくれるから。。。

    不安なときに、風邪です!と断定する
    お医者さんに出会ったような安堵感。
    この一切の責任を持つという言い切りに
    どうしようもなく惹かれてしまうものなのです。

    『放っておけば争うに決まってるんだから』の歌が
    無性に聞きたくなる一冊です。

    盲導犬のパーカー。いい味出してます。
    『チルドレン』のベスもかわいいですけど、
    陣内にそう言わしめるパーカー、グッジョブ。
    長生きする気がします☆

  • たまたま家裁調査官関連の書籍が続いた。うわべだけの情報だけでは善悪の判断つかないことがなんと多いことか。今回の伊坂作品も私の好きなラサーン・ローランド・カーク推しの情報が盛りだくさんだった。

  • 面白かったー!
    やっぱり陣内、いい感じ〜

    面白く、テンポ良く読めるが、少年犯罪の加害者がテーマの話。

    新たに登場した小山田俊のキャラも良し!!
    第三弾があればいいのに〜

  • 20191005
    家裁調査官の武藤と陣内シリーズ。チルドレンの続編。連作短編集ではなく長編。前作から時間がたち、家庭を持った武藤と主任になった陣内くんが大活躍?
    相変わらず陣内君が素晴らしい。滅茶苦茶だが、ハートがある。本当に格好いいところでは格好つけない。9割間違っていても、大事な1割りは決して間違わない。家裁調査官としてはいかがかというところもあるが、誰にでも自然体というのは何よりも難しいことだし、だからこそ信頼できる。
    亡くなった友人の話など、チルドレンとサブマリン以外にも関連する話があるのかも。

  • ものすごく悪い奴がいたとする。
    でも悪い奴になってしまったのには、過酷な生い立ちなどそれなりの理由があったとしたら?
    ひき逃げ交通事故の被害者がいたとする。
    でもその被害者が実は加害者以上の極悪人だったとしたら?
    私たちの思う一方的な善悪の基準なんて、一瞬でグラグラと揺らいでしまう。
    では、私たちは何を信じて人を裁いたらいいのか、
    そもそも法律で人を裁くことなどできるのだろうか。
    その答えは、超変人の家裁調査官・陣内君がきっと教えてくれるだろう。
    孤独や悲しみの中にいる人にしてあげられることがあるとしたら、
    ただ友として隣にいて、そっと寄り添うことだけなのかもしれないね。

  • 大好きな小説のひとつである、チルドレンの続編。

    十数年ぶりの続編ということで、前作の記憶はおぼろげで、覚えていたことは
    盲導犬、銀行強盗、家裁調査官、陣内さん、、、
    ストーリーはうろ覚えだけど、陣内さんのキャラクターが強烈で、ときに笑いながら読んだ記憶がある。

    本作ももちろん、破天荒な陣内さんは健在。
    前作のような短編集ではなく、ひとつの物語として仕上げられている。
    記憶よりも陣内さんの破天荒さが落ち着いていて(齢をとったから?)物語も笑えるようなものではなく、
    物事や結果の正しさや因果関係、憎悪の連鎖など、少年犯罪をテーマに考えさせられるような作品だった。
    一方で、相変わらずテンポよく軽快な物語の流れは、テーマの重さを和らげ、
    チルドレンの続編だなーと再認識させられた。

    読了後の前作とはまったく違う感覚に、チルドレンを再読してみることを決意。

  • 『チルドレン』の続編。また陣内に会える!とワクワクしながらページを開いた。もちろん、期待は裏切られる事はない。陣内は相変わらず、破天荒だけと、カッコよかった‼︎

  • チルドレンの続編。
    多分チルドレンは読んだなぁと思ってこっちを読んでみたけど、どうもチルドレン、読んでなかった。

    家裁調査官と事件や事故を起こした少年達の物語。
    こんな調査官、絶対いないだろっていう、滅茶苦茶な男、陣内。言ってることも滅茶苦茶だけど、周りには良い人が居たりする。
    どうしていいかわからない少年達にもその滅茶苦茶でありながらも一本気なところに胸を打つものがあるんだろうなぁ。
    なかなか面白かった。

  • チルドレンと連続で読んだので、とても10年以上の時が経ったと思えなかった。
    時に身震いしながら、時に涙しながら、時に恐怖におののきながら、時に笑えたお話。

    テーマが重すぎるのに、流れは軽快。
    こどもを持つ親には、きつい。
    でも「犯人の大半が今なにが起こってるのかついていけてない」「大半の若者がごく普通の見た目」ってところで、あぁそうなんだろうなと。。

    答えはでないものばかり。
    でもきっと考えていかなきゃいけない。

  • 私は読んだ本の内容をすぐに忘れてしまう方なのだけれど。
    チルドレンの陣内と永瀬君のエピソードは強烈に記憶に残っていて。その、チルドレンの続編。
    陣内の破天荒振りは変わっていなくて、永瀬君の登場も嬉しい。
    少年が起こした交通死亡事故という重いテーマだけど、読後感は悪くない。
    やはり伊坂さんの独特の言い回しや気の利いた台詞、好きだなぁ。

  • 今回も伏線がいっぱい。それが回収されていくのが快感。
    伊坂作品は読んでない本の方が少ないから、「これは伏線だな」というのがだいたい分かるようになったきた。しかし、最後の伏線だけは予想外だった。
    陣内さんはめちゃめちゃな人だけど、悪い人じゃないんだなー。武藤との会話が今回も面白い。
    唐揚げのくだりは声出して笑ってしまった。

  • 伊坂幸太郎はやはり天才だ。
    ありとあらゆるところから物語が動き出し、そして散らばっていたハズの事柄が一つの物語にたどり着く。そして、やはりそれぞれのキャラクターが実に素晴らしい。
    だが、記憶に残る作品かというと、そうではない気がする。その文体のせいか、なんか軽いんだな。でも、それが味なんだろうけど。
    内容は、普通の作者が描いたら重く、暗くなりがちの少年犯罪であったり、罪と罰であったりなのだが、そんなテーマでも伊坂幸太郎に掛かればむしろ、明るく爽やかだ。

  • チルドレンの続編。
    陣内さんは実際にいたらやはり迷惑なんだが
    どうしても憎めない不思議なキャラクターだ。
    武藤らも含めて相変わらず台詞のテンポとセンスが良く
    小気味良い。

    当初は続編を書くつもりはなかったそうだが、
    陣内ならどうするか、と少年が起こした事件を見て思い
    このサブマリンが生まれたのだとか。
    チルドレンは
    調査官が頑張れば必ず非行少年は理解してくれる、
    という話にはしたくないと思い執筆されたそうだが
    更に本作では揺れ動く人の感情、はっきりしない結末に加え
    エンターテインメントを意識して書かれたという。

    飽く迄もフィクションであり、やりきれない悲しさの漂う文学的な小説ではなく
    エンターテインメントに振り切った面白い小説を目指したというだけあって
    正に『やりきれないけどそれだけではない物語』に仕上がってる。

    扱っているテーマ自体は思いが、読み進めるのは全く苦ではなく
    エンターテインメントが強すぎる訳でもなく
    希望も仄見えるストーリーだ。

    チルドレンを読んでいなくても問題ないが
    読んでいればより楽しめるし、再度読み返したくなる。

    主人公である武藤は常識人である。
    仕事を真面目にこなし、悩んだり、
    駄目なことを駄目だと思いつつはっきり言えなかったりと、
    陣内に比して読者の身近な共感しやすいキャラクターになっており
    それも読みやすさのポイントだ。

    近頃『伏線』の認識ハードルが低くて
    何も伏せられていない提起された問題の答えが提示されたのを
    伏線がすごいなんていう人が多くなっていて常々疑問なのだが
    伊坂先生の話は伏せらせすぎて伏線とも気づかなかった些細なことも
    全てが拾い上げられてきっちり収束していくのも相変わらず気持ち良い。

    ご都合主義という感想をちらほら見かけるが、
    フィクションな上エンターテインメントに振って敢えて書いているものなので
    自分はとても読みやすく良い本だったと思う。

    以降ネタバレあり。

    堂々と正しいとは言えないが、内心では多くの人が
    正しい、許される、ありだと思うようなことは
    実際にはある。
    小山田くんが脅迫した相手が、過去に誰かを脅迫した人ばかりを選んでいたというのもそうだろう。
    最初に人を脅迫した、と聞いただけのときから
    少なくとも印象は変わってくる。
    かと言って正しいこととは言えない。
    今の日本は法治国家だからこそ、悪い人だから殺してもいいとはならない。
    だが、気持ちとしては復讐なら仕方ないとどこかで思うこともある。

    そんな脅迫者を脅迫することについて、面白いと
    はっきり言えてしまう陣内さんは強い。
    弱いやつじゃなく悪人を狙え
    サッカーならミスを挽回することもできるが人の命は失ったら戻らない。取り返しがつかない
    というのもそうだ。
    人生を麻雀にたとえて、配られた牌が悪くても
    その中でできるだけましな手で上がるようにするしかない
    というのも頷くところだ。
    それが不公平だとかずるいとかそういった感情とは
    違うところからある意味で冷静に真実を見ている言葉だ。

    そんな陣内さんが、滅茶苦茶をやっていて
    普通には慕われていないにしろ、少年たちが覚えている存在であり
    また陣内さんも彼らのことをきちんと覚えてくれているのが良い。
    関わった案件の少年ではなくて、友達として接してくれているところも
    世間一般では大人げないにしろ、心が救われる。

    若林くんが起こした事故が見えないときもずっと潜んでいてことあるたびに、急浮上する。
    それは今回のように回り回って棚岡少年に影響を与えもするし
    若林青年本人にも襲いかかる。

    サブマリン。

    無邪気に加害者ばかりを憎む部外者の自分たち。
    事情を知ったら加害者に同情してしまうような
    身勝手である意味純粋でもある。
    それが世間でもある。
    割り切れず、難しい。
    陣内さんが言っていたとおり、正義は勝つなら
    簡単で受けがいいのだが、人生はそうもいかない。

    それでも、頑張っている人は報われて欲しい。
    そう思う。

  • やっぱり名作

  • 軽妙な会話と登場人物たちのキャラで暗くはないが少年事件というテーマは重い。
    考えても明確な答えは見つからない問題だと思っていたけど、これもそう、読みながら色々考えた。
    陣内の態度とか言い方とかは、実際に対面したらどうかは別として、小説として読む分にはとても伝わるし、ハッとさせられるし、やっぱり好きだ。

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著者プロフィール

1971年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞。ほか『砂漠』『グラスホッパー』『火星に住むつもりかい?』『フーガはユーガ』『シーソーモンスター』『クジラアタマの王様』『ペッパーズ・ゴースト』など多数の著書がある。

「2021年 『小説の惑星 オーシャンラズベリー篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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