涙香迷宮

著者 :
  • 講談社
3.07
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本棚登録 : 735
感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199544

作品紹介・あらすじ

明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。

感想・レビュー・書評

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  • 力作だとは思いますが、詩、いろはカルタ、碁に関する知識がない私はついていけなかったです。
    この世界に興味があれば物凄い作品だったと思ったのかもしれません。
    また、殺人がおきてもゲーム感覚で、緊張感のない展開も、物語に入り込むことが出来なかった要因だったのかもしれません。
    本の装丁も綺麗で期待していたので、ちょっと残念。

  • 2020/07/19読了
    #このミス作品35冊目

    "囲碁の天才牧場智久シリーズ"
    翻案小説執筆で明治に活躍した黒岩涙香
    彼の残したパングラムいろは歌の暗号と
    とある殺人事件の謎を解く。
    とにかくこの暗号50のいろは歌を創った
    著者がとにかくすげえ、というかやべえ。

  • 竹本健治さんの本は結構久しぶりに読みました。牧場智久シリーズ、なんですね。シリーズ自体が初めてです。
    日本のミステリ・・・だけでなくいろいろなものの「始祖」である黒岩涙香の暗号を解読しつつ殺人事件の推理も・・という。黒岩涙香という人については全然知らなかったんですがこの本で「ずいぶんすごい人だったんだなあ・・」と勉強になりました。これほどの傑物がなんでここまであんま知られてないんだろう?
    で、この本自体は・・面白いは面白いんですが黒岩涙香の生涯の話がメインになってしまって関心がそっちに偏ってしまった印象。暗号文もあんまり多いと読んでてちょっと疲れてしまったというか。。。

  • 暗号に次ぐ暗号で面白かった。もう殺人事件とかどっかいっちゃったな笑そして最後の謎は解けないまま…

  • 黒岩涙香という実在の人物が残したであろう暗号を解き明かしていくのだが、その暗号が非常に難しい。「いろは歌」が四十八首ある地下室、その頭文字を読み取り現れる「いろは歌」、そこから更に暗号を解く。本格ミステリではあるが、とても知識が及ばない為に自分で考えられない。
    よく考えられていると思うがエンターテイメントとしては好みが分かれる。

  • 最初から思わせぶりな事件が有り、続けて密室殺人が有り、仲間内に犯人がいる設定が有り、暗号解読も有る。てんこ盛りだ。
    読んでて面白いけどリアリティは全く無い。
    ただ「いろは歌」の設定は凄いし暗号もムッチャ難しい。考えるのも、探偵役に解かせるのも大変だったろう。推理小説マニアの為の一冊。

  • 殺人事件は起こるものの、そちらは添え物。
    黒岩涙香についてと、残されたいろは歌の暗号がメイン。
    筆者がすべて考えたことを思うと、すごい、の一言。
    競技かるたのルールを統一したとか、黒岩涙香の功績と多才ぶりに驚かされた。
    類子は女子高生に見えないし、全体的に言動がレトロ。
    褒め合い合戦と、智久・涙香への絶賛は、ややくどい。

  • 若き天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役にしたミステリー。
    シリーズものであることも知らず、それどころかこの著者の本を読むのも初めてなのですが、序盤から次々と繰り出される黒岩涙香に関する蘊蓄の数々に圧倒されました。
    そして、最大の見どころは中盤のいろは歌。
    48文字をかぶることなく使うだけでなく、「いろはにほへと…」のそれぞれの文字を先頭に据えたいろは歌がずらりと48首並んでいる様に鳥肌が立ちっぱなしでした。
    しかも、意味が通るだけでなく涙香の嗜好を織り交ぜているのです。
    さらにさらに、そこから派生する暗号まで作っているのだからものすごい…。
    著者の頭の中はいったいどうなっているんだ??

    暗号の行きつく先を知りたくて、ページをめくる手が止まりませんでした。
    蘊蓄を並びたてる感じも個人的に好きなので、同じ著者のほかの作品も読んでみたいと思います。

  • 2017年のこのミス第1位。本格暗号ミステリーと言うことで、レビューも賛否評論分かれていたが、私は意外にあっさり読めた。確かに暗号の件は、「よくここまで考えたものだ」と圧倒されるが、肝心の殺人事件の解決がどこかおざなりで、何をメインにしたいのか、とらえどころがない。暗号の解読は、他の読者さんが書いていたように高田崇史のQEDなどを読んでいれば、そんなに抵抗はないかと…文体もフランクなので、結構読みやすい。1980年代から続くシリーズらしいけど、私はこの作者さん初読み。そして、他のシリーズは読まなくてもいいかな。そもそも囲碁とか分からないし。涙香のうんちくは楽しめた。

  • 「このミス」で第一位の評価だったが、私はそれほどでも…。いろは=パングラムの披歴には感嘆するしかないし、この暗号を解くのもミステリだといえばその通り、竹本健治の力量を否定する気は毛頭ない。ただ、すべてがいろはの暗号解読に収斂し、殺人事件の動機も解決もどうでもよくなった感がある。囲碁も興味ないし、牧場智彦に思い入れないし。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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