恩讐の鎮魂曲

著者 :
  • 講談社
4.05
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本棚登録 : 709
レビュー : 150
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199674

作品紹介・あらすじ

悪辣弁護士・御子柴礼司、医療少年院の恩師・稲見が殺人で逮捕された――

圧倒的迫力のリーガル・サスペンス!
またしても止まらない「どんでん返し」!! 

「王様のブランチ」「ダ・ヴィンチ」などで話題沸騰! 
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』シリーズ最新作!!

改めて問われる「贖罪」の意味とは――

韓国船が沈没し、251名が亡くなった。
その事故で、女性から救命胴衣を奪った日本人男性が暴行罪で裁判となったが、
刑法の「緊急避難」が適用され無罪となった。
一方、医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されたため、
御子柴は弁護人に名乗り出る。
稲見は本当に殺人を犯したのか? 

書店員さんコメント

人間を突き動かす想いの強さと法の力の限界を
痛感させられる第一級のエンタメ作品だ!
                      三省堂書店営業企画室 内田 剛さん
この裁判員のひとりだったら苦悩するだろう。
人が人を裁く難しさを思い知った。
                      文教堂書店西葛西店 水野知博さん
かつての恩師を助けるため、心が揺れる御子柴がとても人間くさく魅力的でした。
                    MARUZEN 名古屋本店 竹腰香里様さん
一気読み間違いなし。どんでん返しの連続です!
                      書泉グランデ 近藤茂樹さん

感想・レビュー・書評

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  • 手を血で染めた人間の罪は、こういうものなんだ!罪を償うとは、こういうものなんだ!と身を徹して、御子柴に教えてるような稲見に思えました。御子柴の稲見を護る為に裁判に挑む姿は、「助けたい」という人間らしい心。最後の凛子の手紙に涙を滲ませる御子柴の姿。少しずつ変わって行く御子柴を見てると、同時に犯した罪は何故起きなければならなかったのか……深く考えました。稲見の、この生き様が後の御子柴に多くの事を問いかけ、悩み苦しんで気付いて欲しい。事件と事件が本当に上手く繋がってる本です。

  • 中山七里の作品2冊目、同じく曲者弁護士のシリーズで前作より更に彼の出自が明らかにされていて暗黒の少年期の恩師の弁護に奔走する。
    何故だか高齢になった恩師が殺人を犯したらしく しかも自供して罰を受けたいと言う。そんな人間ではないと固く信じる彼は覆す相手が検察側だけでなく弁護すべき恩師をも相手にしなければならない今回の事案。
    「どんな被疑者にも護られるべき権利があり、そしてどんな人間にも償う権利がある」との恩師からの教えに習い弁護士の道に進んだけど、命とカネは人の優先順位の最高位と思い込んでいたがどうやら違っていたらしい。
    事件の舞台になった介護施設の様子もよく知っているので誇張はあるけどよく分かったし韓国のセウォル号事件みたいな海難事故が入口になっているのもなかなかでした。

  • 脛に傷持つ悪辣弁護士の御子柴氏が、今回は恩師たる稲見元教官の事件に立ち向かいます。
    ただ今回もまたいわゆる「普通」の事件の構図とはならず、御子柴は彼らしからぬジレンマに悩まされます。
    今回の物語の肝は、この御子柴の懊悩にあるように思います。大切な人間のために戦っているのに、その手はどうにも空を切ってばかり。それでも、戦うのか?意味があるのか?苦しむ彼の姿は、なんとも辛いものでした。

    事件そのものも陰鬱としたもので、世情を反映した介護施設での事件ということでリアリティがあります。これに違い現実があちこちにあるのだろうと思うと、ぞっとさせられるばかりです。

    ミステリとしての意外性…というか、起承転結の付け方はある意味作者らしいと思います。ただまあ若干都合よくアイテムが出てくる感じは否めませんでしたが。

    個人的には、シリーズ物の一作として、御子柴氏が三度遭遇した苦難に立ち向かう姿を印象深く読みました。そして綺麗すぎるかもしれないラストシーンを経て、また次作、彼がどう変わるのか(変わらないのか)が楽しみになりました。

  • 激混みの耳鼻科に行くことになり、かなりの待ち時間が予想されお供に持参しました。

    うるさいうるさい待ち合い室で、のめり込み読み進み、うっかりウワッと泣いてしまいそうになったのは、稲見教官の妻のところで見た新聞記事の助かった老人の名前が明らかになった瞬間でした。

    そこからは、そうだったのか!それもそうだったのか!あれもそうだったのか!の連続でした。
    持っていくところのない思いは、いつまでも消えず静かに燃え続ける。

    御子柴先生は感謝も恩義も何もかも込め出来る限りをし、稲見教官はすべて受け止めた上での結末を望み、これ以上どうすることも出来ない。
    辛いですね、御子柴先生、、、

    相変わらず、見事な展開でした。

    (診察に呼ばれるまでに、読み終えることができました。長すぎでしょう。)

  • 前歴から死体配達人の異名をとる、特異なキャラクター御子柴弁護士シリーズの第3弾。
    今回も、「手に汗握る」の形容もかくやのリーガルサスペンスに、堪能した。
    第3作は、タイムリーな課題といっていい介護施設が舞台。そして、依頼人が最大の敵?
    百戦錬磨の御子柴も手を焼き、裁判結果は「相撲に勝って、勝負に負ける」の例えか。
    法の限界を突き付けられ、自己嫌悪から気力を奪われて、人間らしくなった?、そんな御子柴が最後の最後で救われる。
    「どうにも分からない女だな」と、御子柴がつぶやく事務所事務員日下部洋子とのコンビも楽しみなこのシリーズは、まだまだ続きそう。
    次回作が待たれる。

  • やっぱり御子柴シリーズ面白い。今回の少々まぬけな御子柴もまたよし。最後の手紙で涙が溢れてしまた。

  • 罪を犯してしまうこと、
    そして犯した罪を償うということ、
    本当に心から罪を悔いるというのはどういうことなのだろうかと
    作者はシリーズを通してずっと私たちに問いかけている。
    そしてこの物語には、裁かれないことで
    更に不幸が加速する人がいれば
    裁かれることで救われる人も登場する。
    そこへキーワードとして登場する『緊急避難』が絡むことで
    物語は猛烈に面白くなっていくのです。
    ページをめくる手が止められなくなるほどストーリーは面白いのに
    読み終わったあと、心の中には
    答えの出ない問いが刺さったままになっているのでした。

  • この作者の話はどれも読み始めると止まらなくて好きだ。
    物語に引き込む力がすごい。

    この御子柴弁護士シリーズも好きなんだけれど、御子柴が良いキャラなのに、背景がきつすぎて好意をもちきれない。
    御子柴が好きになる一方で、倫理観がストップかけてきて好きになりきれない。
    幼女殺しに何らかの理由があればまだ、少しは、読者としても感情の落としどころを見つけられるのに、倫理観の欠如した少年による快楽殺人みたいなものだからまた、どうにもならない。
    しかし読めば読むほど好感度は上がり、特に今作は彼の人間性の豊かさが描かれていて、好きになるのだけど…、なりきれない、なりきってはいけない気持ちになる。

  • やっぱり中山七里さんの本は面白い。介護についても考えさせられたし、法律ってなんなんだろう?と思う。

  • 弁護士・御子柴シリーズ三作目。
    以前の二作と比べるとミステリ的には驚きはないんですが、稲見らしさを感じる話ではありました。贖罪、謝罪、恩ーー色々な想いを胸に奔走する御子柴と犯した罪の罰を望む稲見と。この稲見の信念が今回の障壁となります。お互いに主張を譲らないなら結果は自ずと見えてくる。ラストが効くなぁ。
    御子柴は好きだけどクオリティが落ちるくらいなら続きは読みたくないな〜。

  • 御子柴弁護士シリーズ、3作目。

    前作で御子柴の過去の犯罪歴が世間に知れ渡ることになり、これからの弁護士活動はどうなるのかと思っていたが、苦境に堕ちながらも、逆手にとって上手く立ち回っているのが御子柴らしくて良い。かたや、かつての恩師を前に、なりふり構わず感情的になる御子柴の姿も人間らしさが出ていて良かった。
    もちろん、『緊急避難』という難しい案件をテーマに、法廷モノとしても読み応えがある。恒例のどんでん返しも、いつもはこれでもかと言わんばかりに胸糞悪い方向へと転んでいくことが多いが、今回は物悲しさは残るものの、何だかスッキリした読後感だった。

  • 御子柴シリーズ三作目!
    人間味しかない御子柴が見られます。

    失速した感があるのは、私が期待しすぎてたからかな。笑
    彼が何かしたのではないか、という疑惑を持って読み進めるのが面白いのに、今回はそれがなかったのが残念だったのかも。

    弁護士vs依頼人。言葉にはしづらいけど、稲見教官と御子柴の「生き方」のぶつかりあい、これは稲見への親孝行みたいなものだったと思う。有能な弁護士として自分のことを守ってくれたことをわかっている上で、それでも、いや、だからこそ、自分の生き方を曲げなかった。
    御子柴の感情が大きく振れたことで、彼の心のなかが少しわかった気がした。谷崎会長の気持ちがよくわかる。
    今回でてきたヤクザNo.3が後半全く話に絡んでこなかったのが残念。次回作以降かな。

  • 御子柴礼司シリーズ第3弾。
    今回も面白く、一気読み。
    法や制度の、落とし穴や問題点を、鋭く描く筆者。
    ただ問題を描くだけでなく、きちんと読み応えのある物語でもあるのが、すごい。
    心理描写が丁寧。
    稲見の思いも、御子柴の思いも、痛いほど伝わり、最後はじーんときた。

  • 御子柴の人間らしい一面が垣間見れるのが良かった。でも「緊急避難」判例って実際に使われたことあるんだろうか。
    老人ホームの介護実態の話も含めて、こんな事件があったら世論すごそう。

  • 御子柴の弁護の冴えが見どころではあるが,被告人の元教官で父とも想う稲見氏の佇まい身の処し方に感銘を受けた.また本筋ではないが,介護士の待遇がもう少し良ければ,介護士も本来の優しさを発揮できるのではとも感じた.

  • 御子柴礼司シリーズ
    今回の舞台は老人ホームで、弁護するのは少年院での恩人稲見さん
    いくつもの伏線があって、結果的に復讐が達成される。
    稲見さんと元奥さんの潔さが素敵だ。

  • 少年のときに大量殺人をした御子柴は、今はふてぶてしい弁護士となった。昔お世話になった「先生」が殺人の疑いで捕まったと聞き……。あの御子柴にもかなわないひとがいた。

  • 御子柴礼司シリーズ3作目です。御子柴が少年院時代お世話になった教官、稲見が起こした殺人事件がテーマです。序盤は少し退屈でした。今まで以上に地味な下調べ。でも、やはり最後はさすがの圧倒的展開。前2作同様、隠された真実の衝撃は大きかったです。それにしても、面白いなぁ。

  • 唸らせるトリックも、どんでん返しもなし。「少年A」に重なる大罪を犯した主人公が弁護士となり、セウォル号沈没を想起させる事件下で他人の命を犠牲にして生き延びた男に纏わる因果応報に、私情を抑えることなく絡む。意表を突くのは次々と明かされる血縁関係で、その設定に苦笑しつつも、それが陰鬱な裁判審理の中で気散じだったりする。更生、復讐、正義、判決、ありふれていながら定義と容認がやっかいなそれらに改めて向き合える作品だ。御子柴は、殺害した幼女の親に対してどんな贖罪をしているのか、そいつが気にはなる。

  • 御子柴が手がける事件はどうしても、彼が勝っても被告人が必ずしも幸せになるとは限らない事件ばかり。前回はそれが顕著だったけど、今回は被告人が勝つことを拒んでいた。

    御子柴が回を重ねるごとにどんどん人間味をだしてくるのだけど、彼のいい面がみえてくればくるほど彼の起こした事件とのギャップが大きくなって、遺族とか身内はいたたまれないだろうな、なんてストーリーとは少し違うところに心奪われながら読んでいました。

    一気読みできる安定の面白さでした。

    2018.3.4

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著者プロフィール

中山 七里 (なかやま しちり)
1961年生まれ、岐阜県出身。男性。幼少の頃から読書が趣味で、高校時代から執筆を開始。花園大学文学部国文学科在学中に江戸川乱歩賞に応募したこともあった。
就職後は執筆から離れていたが、島田荘司を生で見た体験から執筆活動を再開。2009年、第8回『このミステリーがすごい!』大賞で『さよならドビュッシー』と『災厄の季節』の2作が最終選考にダブルエントリーされ、前者で大賞を獲得して48歳で小説家デビュー。後者も、「読みたい!」との声が続出したため、『連続殺人鬼カエル男』と改題し、2011年に文庫本として出版される事となった。
代表作に『さよならドビュッシー』などの「岬洋介シリーズ」、『贖罪の奏鳴曲』にはじまる「御子柴礼司シリーズ」。多くの作品が映画・テレビドラマ化されている。

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