小やぎのかんむり

著者 :
  • 講談社
4.04
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本棚登録 : 227
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200059

作品紹介・あらすじ

厳格で上から物を言う、父。それに従う、母。中学3年の主人公夏芽はそんな毎日を捨て去るように、遠く離れた寺でのサマーキャンプに応募する。だが、参加者はたった一人で…!?

感想・レビュー・書評

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  • 中学3年生の夏芽は、ケガの療養のために自宅にいる高圧的な父から逃げるために、山寺のサマーステイに参加することにした。そこには、ちょっと変わった(不真面目な?)住職と、その孫娘、修行中の若い僧侶がいたが、参加者は彼女一人だけだった。最初の晩、彼女は自分の布団の中に眠る子どもを発見する。それは、母親からここに隠れているように言われた5歳の男の子だった。彼らの奇妙な同居生活(サマーステイ?)が始まる。

    話が進むにつれ、かわいいタイトルと表紙の写真からは想像もできない重い話が広がる。その重さが、田舎の美しい光景と人々のやさしさに晒され、癒されていく。

    ユーモアを挿み込みながら心の痛みと向き合うところが市川朔久子らしい。

    虐待されていた子どもが新しい環境にすぐに馴染んでしまったり、思春期の少女が、ただただ真面目に自分の罪と向き合ったり、……う~ん、ちょっとそれはあまり現実的じゃないでしょうと思われる点も散見しましたが、それでも、前を向いていきたい若者たちのエネルギーで読ませてしまいます。

    難易度は高学年ですが、内容を考えると中学生で良いと思います。

  • 家庭が安住の場所ではない、または学校も同じく、というような設定の話ばかりの昨今である。
    この話も私立の女子校に通う一見恵まれた環境にいるように見える主人公が、実は苦しい心を抱えて生活している、という設定だ。
    そんな状況から抜け出したくてお寺のサマーキャンプに参加。参加者は自分だけだが、お寺を取り巻く人々と生活にやっと普通に息をする感覚を取り戻す…。
    主人公と同年代の子ども達にとって、この手の本はどうなのだろうか?といつも思ってしまう。主人公の成長を描いていて、心を打たれるのだが、当事者世代には見たくない現実を再び見せられる感じがしないだろうか?だから思い切りフィクションのラノベに流れてしまうのだろうか?とかついつい考えてしまう、感想からは逸脱しているが…。

  • 夏休みのお寺のショートステイ。

    自宅にいたくない中学生女子、
    親に半ば置いてけぼりにされたような5歳の男児。

    住職らしくない住職のもと、
    お寺過ごす日々。

    シンプルな生活中で自分を取り戻す彼ら。
    とてもよかった。
    お寺の大人たちがみんな、
    きちんと生きようとしている人たちで、
    そして子どもに温かい。

    みんな宝。
    子どもはもちろん大人も。

    ヒーローはいないけど勇気のでる作品でした。

    後藤さんがよかった、いい味出してた。

    むしろ後藤さんが一番よかった。ヤギだけど。

  • 夏休みの読書感想文にどうですか?シリーズ

     夏芽は、暴君のように振る舞う父に、心も身体も壊されてしまうような恐怖を感じていました。中学3年の夏休み、夏芽が家族から逃げるように選んだのは「サマーステイ」と名付けられた山寺での暮らしでした。特別なプログラムは何もない毎日でしたが、そこには人は誰もが「宝」であると信じられる優しい時間が流れていました。

  • 地元では人気の中高一貫の女子校の中3の万木夏芽(まきなつめ)は、夏休みを由緒ある静かなお山寺でサマースティに参加することに。しかし、行ってみたら参加者はたったの一人。お寺には住職と見習いの穂村さん、住職の孫の美鈴さんがいた。そこに、DVの父親から逃れてきた母親が、勝手に置いて(預けて)いった5歳の雷太も加わって過ごすことに。
    やがて寺の草刈りのヤギ3匹と夏休み中ヤギの管理をすることになっている高校生の葉介も加わった。
    夏芽の生活に不穏な空気を抱きながら読み進めていくと、夏芽がサマースティに参加したわけが、どんどん明かされ納得と同時に辛くなる。そして、夏芽が暖かい人たちに囲まれて、辛い思いをしてきた雷太を愛おしむことで、自分を肯定していく。

    ヒドイ親を否定する自分を良くないと思う子どもがいる。いじめられても自分が悪いからだと考えてしまう人がいる。
    悪い人に関わると自分が分からなくなってしまう事がある。生きていくには、自分を信じて生きて行くことが必要だ。

  • 父が交通事故に遭い家庭での療養生活をおくることになった夏。
    夏芽は、サマーキャンプに申し込み、一夏お寺で過ごすことにした。

    小さなヤギはほうり出され、中くらいのヤギは家から逃げ出し、大きいヤギは失ったものが大きすぎたのかな


    いたいのいたいのとんでけーの場面が好き。

    中くらいのヤギは、冠をもらったからきっとだいじょうぶだ。

    何年か前の職場に毎秋一カ月間ヤギが庭に放し飼いになってた。
    小説と同じく、女の子は機嫌を損ねるようなことをしなければ愛想がよかった。ずっとモグモグしてたけど。
    が、一度気性の荒い男子が来たことがあって、体を洗わせてくれないから、やはり匂いがすごかったのを思いぢした。

  • もう50歳手前のいい大人ですが、ずっと私も母を心から愛せないことに罪悪感を感じていた。宗教が、親を敬えとあまりに言うので、本当に辛かった。

    でも、こんな風にいい子でいられる場所は、きっと誰にもどこかにあるはずだから、諦めないで生きて少年少女!

    父親を死ねばいいのにと思ってしまった事に罪悪感を感じながら、家に居たくなくて、サマーキャンプを探すなつめ。交通事故で入院していた父が間もなく退院だと聞いただけで、友人と楽しく食べたたい焼きが、せり上がってくる…吐かないと。。

    なつめが選んだのは、田舎の、お寺でのサマープログラム。料金が安く、家から遠かった。。

    サマープログラムの参加者はなつめ一人きりだった。でも、その後お母さんに置いていかれた4歳の男の子、雷太も一緒に過ごす事になり、この雷太と、お寺の大人たちと、寺の芝刈りのためなやってきたヤギたち、ヤギの面倒をみている葉介もサマーステイにくわわり、雷太を父親から守る事で、なつめも少しずつ自分を取り戻していく…

    お寺の大人たちの事情、住職の人間臭さ。なつめ達のお世話をしてくれる美鈴、お坊さんらしき人、穂村さん。彼らの暖かさが本当に素敵。子どもは親を選んで生まれてこれない…そう認めてくれることに救われる。そこはなつめの居場所だった…

    ヤギたちは、自然の象徴だったのか、ストーリーテラーだったのか。
    子どもたちに胸を張って勧めたい、心に届く物語だった。

  • 表紙にだまされた~(笑)
    家族から逃れて、寺にサマーステイする中3女子の夏休み。
    家族への黒い感情って、自分で自己嫌悪しちゃうのよね。心にたまった澱に押し潰されそう。
    親子の縁ってなかなか切れないし、大人は狡いし。
    本の中で問題がすべて解決するわけではなく、種は蒔かれた!というところか?
    親に見切りをつけることでも大人になっていくのね…。

  • 父親とできるだけ離れていたくて、中三の夏芽は「お寺でサマースティ」というものに申し込んだ。着いたところは山の中。参加者は一人だけだという。不安にかられる夏芽だが、飛び入りでやってきた事情がありそうな5歳の男の子雷太、近所の農家で夏休みを過ごしている高一の葉介やヤギの後藤さんも加わって、にぎやかな夏になってきた…。

  • この頃しんどい本を選んでる私を気にしてくれたのかな?MZTさんがこの本を持って来てくれた
    季節は夏 田舎のお寺 なーんかいい感じです
    ほんのりリラックスして読み始めました

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著者プロフィール

福岡県生まれ。『よるの美容院』で第52回講談社児童文学新人賞受賞。同作でデビュー。『紙コップのオリオン』は厚生労働省児童福祉文化財選出、『ABC! 曙第二中学校放送部』は第49回日本児童文学者協会新人賞受賞、第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出、『小やぎのかんむり』は第66回小学館児童出版文化賞を受賞する。ほかに『おしごとのおはなし美容師 かのこと小鳥の美容院』などがある(以上講談社)。

「2018年 『よりみち3人修学旅行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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