ブラック・ドッグ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200158

感想・レビュー・書評

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  • 種差別(スピーシズム)の克服を主張する過激な動物愛護団体DOGによるテロ事件が勃発。使われたのはペット企業の子犬工場で交配により生まれた獣「不良品」達だった…。多くの人が送ってきた人生、そして想い…、閉ざされた施設の中で、あざ笑うかのようにそれらを踏みにじり屠っていく圧倒的な暴力と理不尽な蹂躙が描かれる。スピード感ある展開と迫真の描写に引き込まれるが、テーマは少々現実離れ?

  • アチラコチラストーリーが満載で、
    切り替えちょっと大変でした。

  • なんか人間が嫌になる。ハマさんコンプ読みの為の最後の砦となった本作。過激動物愛護団体「DOG」が仕掛けたテロ。遺伝子変異による凶悪な犬が人間を喰らいつくす。結構スプラッター描写ありなのでその辺は無の境地で読んだ。全ての動物は平等であるVSペットは商品であり消費すべきものという極論と極論のバトル。何が正しくて何が正しくないのか。深く考えると迷い込む。登場人物が多く出てくる割に書き分けが見事だし、壮大なミスリードにもやられた。発達障害もキーになっており読み応えはあったが、犬を飼っている人は気分が悪くなるかも。

  • 半分くらいまで読んだけど、気持ち悪いだけで面白くなかったのでやめました。犬が人を襲う場面が多すぎる気が・・・・。

  • 面白かった。ここまで極端は事は思わないけど、共感できる部分もあり考えさせられた。

  • グロいと聞いていたのでずっと読むのを躊躇してたけど、躊躇してないで早く読めば良かったと思った。
    確かにグロいシーンは多い。
    でも思ったよりは大丈夫で、逆にこのシーンの数々に意味がある。
    読後、うーんと唸りながらも、いろいろ考えさせられた一冊になった。
    葉真中作品はロスト・ケア、絶叫を読み、その中では本作が一番良かった。
    他の作品ももっと読んでみたい。

  • 草食主義であり、過激な動物愛護団体の「DOG」。
    彼らは、
    理想的な犬を生産するため、過酷な交配で犬をボロキレのように扱う企業とそれに対をなす、遺棄され処分される運命にある犬たちを救うボランティア団体の集う場所に「黒い犬」をはなつ。
    そこには中学生の団体、上手に生きられない息子と老いた母親もいた。
    ボランティア団体の一見いい人っぽい代表。
    そこに属する女性と彼女の恋人。
    自閉症で特別な能力をもつ中学生の少年とその幼馴染、彼をいじめるクラスメートたち。
    犬を生産する企業の代表と犬の心が分かるというカリスマ的な女性。
    政治家ー。
    彼らに「黒い犬」は襲いかかる。

    割に分厚い本だけど、すぐに読めてしまった。
    内容よりも文章で読まされたという感じ。
    これを下手に書いてたら、ただのつっこみどころ満載の小説になっていたと思う。
    登場人物が多く、彼らが個性的で一人ひとりをちゃんと描いているのが良かった。
    彼らがどうなるんだろう?
    という思いでぐいぐいと惹きつけられる。
    考える所もいろいろとある本だった。

    ただ、「DOG」という団体のしている事は矛盾だらけだと思う。
    人間と動物は同じ、平等だと言い、黒い犬を仲間だとしながらも彼らを殺人マシーンとして利用している。
    自分の手を実際に汚す覚悟もなく、上から見下ろしている人間たちは見ていて気持ち良くないし、共感もできなかった。

    天使のように可愛い白い犬と狂暴で巨体の黒い犬。
    その差は遺伝子上ではほんのわずかな差だと言う。
    同じように自閉症の少年と他の子たちの違いもほんのわずかな差。
    元々は同じ種なんだから・・・。
    それなのに、周りの扱いは全然違う。
    自分たちと違う性質のもの、違う主張のもの、そういうのはただ排除すればいいんだろうか。

    この本では他にも対なるものが多く描かれていた。
    犬を繁殖の機械としか見ない団体と処分される犬を救う団体。
    人生上手に生き抜いてきた人、生きるのが下手な人。
    貧しく泥臭く生きてきた人間とインテリや金持ちの人間ー。
    それらもこの本の結末の視点からすると、そう大した差ではないのかも・・・と思ってしまう。

    この本を読んで、ペット業界は裏の世界とのつながりが昔からあるというのは初めて知った。
    ペットブームの昨今、その裏にあるものはどういうものか知っておくのはいい事だと思う。

    こんな風にいろいろと考えさせられる本で、それだけに視点がバラけたような気もする。
    後味の良い本ではないし、犬好きな人にとっては読むのがつらい本だとは思う。

  • 過激な動物愛護団体『DOG』は、種差別の克服を大義名分とした
    テロ集団。
    ペットのイベントが行われる会場が封鎖され、ある生き物12頭が放たれた。

    想像していたものとは大きく違った作品。
    初めから終わりまで、一体何人の人が殺されたのか。
    そのシーンもかなりグロく、イメージしないで読むのに苦労しました。

    我が家では愛犬と幸せに暮らしていると自負していますが、ペット産業の矛盾も感じてはいます。
    複雑な気持ちになりましたが、とりあえず読了。
    ある意味印象深い作品となりました。

  • 動物愛護団体“DOG”は、その目的(種差別の撤廃)のため、殺人も辞さない過激な集団で知られている。今回のターゲットは、ペット企業“アヌビス”がスポンサーを務めるペットフェスタ。果たして彼らの〈審判〉を止められるのか…。

    大長編にもかかわらず、最後まで一気読みさせてしまう圧巻の筆力。さすが葉真中顕さん。それはまるで映画を見ているような感覚。
    グロテスクで、救いがなくて、登場人物はバッタバタ亡くなっていくのに、目が離せません。
    大型犬を飼っているので、心を痛める場面も多かったものの、“DOG”の主張が全く理解出来ない訳でもなく…。

  • 1作毎に作風が変わる葉真中顕。本作は昔(20〜30代?)のぼくなら、おそらく彼のベストに推したであろう作品だ。種差別の克服を主張する過激な動物愛護団体が、日本を舞台に仕掛けたテロ。攻撃手段は〈黒い獣〉。こちらの予想をことごとく覆し終局へ向かう物語はしかし凄惨すぎる。人が死に過ぎるし、その描写はまるでスプラッターだ。辟易しながらも読むのをやめられない、いやむしろ早く先を読みたいと思わせるのはさすがだ。続編はないのかなあ?

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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