失われた甲子園 記憶をなくしたエースと1989年の球児たち

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200417

作品紹介・あらすじ

センバツ史上もっとも悲劇的な逆転試合、涙のエース・宮田正直のその後にはさらなるドラマがあった。勝ち取ったプロ入りと挫折、打撃投手としてのリスタート、そしてアクシデント。頭に打球をうけ、あの甲子園決勝の敗北までをも忘却するほどの記憶障害……。宮田の人生を軸に、あの春に交錯した野球人たち――元木、種田、そして上宮と東邦双方の監督らの、まぶしき野球人生の光芒を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 1989年選抜高校野球の決勝戦、上宮(大阪)vs東邦(愛知)の衝撃的な結末をご記憶の方も多いと思います。2-1と上宮の1点リードで迎えた延長10回裏・東邦の2アウトランナーなしからの逆転サヨナラ優勝。実況のアナウンサーが「サヨナラ!あまりに可哀想!」と絶叫し、当時上宮キャプテンであった元木氏(元巨人)がひざまずいていてしまっていた姿が衝撃的でした。
    この試合に関わった上宮、東邦の両チームの選手や監督がどのような野球人生を辿ってこの試合に臨むことになったのかを丁寧に描きます。甲子園に出場できる球児の多くは小学校から全国レベルで活躍することが多く、小学校、中学校でのライバル関係のまま甲子園に至るまでに何度も対戦しているケースが多いのです。それまでの勝負でいろいろな伏線やドラマをもっています。そういう人間関係を掘り起こた本書を読むと、この試合にかける選手達や監督の思い、この試合が当事者に残した意味が改めて伝わってきます。
    「失われた」との意味は当時上宮のエースであった宮田氏がのちにプロ野球で打球が頭に直撃する大きな事故により当時の記憶が部分的に欠落してしまうという怪我をされた事を本書の幹にされているからです。
    あまりに劇的だったあの試合の最後の場面、上宮の三塁手であった種田氏(元中日)が「サヨナラのランナーがベースを踏み忘れていないか確認していた」という証言には本当に驚きました。
    選手個人個人があの試合で何を感じていたのか、筆者の丁寧な取材と脚色を抑えた文体でどんどん引き込まれる一冊でした。

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著者プロフィール

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌でスポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆。2006年独立。著書には『失われた甲子園』『プロ野球「第二の人生」』『プロ野球 二軍監督』『最後のクジラ』(以上、講談社)、『野球エリート』(講談社+α新書)、『すごい! 広島カープ』(PHP文庫)などがある。


「2019年 『広島力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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