- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062200516
作品紹介・あらすじ
大義、嫉妬、敵愾心。押しつぶされそうな時もある。
この三成は、屈さない。
あの嫌われ者は、何のために闘い続けたのか――。
豊臣家への「義」か、はたまた自らの「野心」からなのか。
覇王信長の死後、天下人を目指す秀吉のもと、綺羅星の如く登場し活躍する武将たちを差し置いて、最も栄達した男、石田三成。彼の「眼」は戦国を優に超えていた――。
歴史の細部を丁寧に掬う作家、吉川永青が現代人に問う、政治家石田三成の志。渾身の書き下ろし長編小説。
感想・レビュー・書評
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石田三成
評価低いと言うか、
今でも嫌いって人多いよね。
関ヶ原の負け方が負け方だけに、
人気ないのは仕方がないか。
しかし、
家康に真っ向から挑んだ人物が他にいたか?
豊臣の名のもとではあるが14万の兵を集めたのだ。
魅力ある人だったんじゃないだろうかと思う。
三成が家康と同等に一国の王だったら…
どうだったのだろうか?
良くも悪くも、
王佐の才の持ち主で王にあらずか。
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石田三成を主人公とした歴史小説。三成は秀吉の天下を支えた人物である。秀吉は晩年に独裁者として害悪になったされることが多いが、本書は九州征伐の頃からおかしくなっている。
伴天連追放令も自分の思い通りにならなければ気が済まない独裁者の異常性の表れになっている。近年はキリスト教禁教の動きをスペインやポルトガルの植民地になることを避ける施策と肯定的に評価する立場がある。これに対して『治部の礎』は独裁者の思い付きである。
秀吉の伴天連追放令は内心の自由の侵害と切支丹大名の黒田官兵衛を怒らせた。「個々の信仰にまで口を出すなど、天下人の行いに非ず。斯様な沙汰は下々を縛る無法と言わざるを得ませぬ」(124頁)。秀吉と官兵衛が疎遠になった理由は、秀吉が官兵衛の才能と野心を恐れて遠ざけたためとされる。これに対して『治部の礎』は伴天連追放令を契機とする。 -
よく書かれている石田三成の生涯である、どの本よりも、石田三成をよく捉えている。戦国武将の比較的脇役に近い武将を捉えるのがうまい。
石田三成の挙兵は、単なる豊臣のためでなく、義などくだらないと言いきる石田三成。
天下人は正しい道を、乱れた世を一新し、戦なき世を作り上げる。世を統べるためには、自分を顧みてはならない。己が身を捨てるようでなければならない。
のちの徳川は、石田三成の理想の仕組みを作り上げている。まさに、石田三成は、自らが滅ぶ事で、天下の礎を作ったのかもしれない。 -
まあ普通かな
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この世に魅力的な人はあれど、完璧な人はいない。
豊臣秀吉は魅力的だけれど、ときどき、どの歴史の狭間で実はひどいこともしているとされている。
その秀吉を尊敬もするけれど、その忠義ゆえに諌めることも必要だし、葛藤する石田三成の姿を描く。
吉川永青さんの前の作品がわりと好みだったのと、石田三成は嫌いではないので、手に取ってみたけれど、全作の「悪名~」ほど良くなかったかな。
石田三成のキャラが、前作ほど魅力的に作り上げられてないからかもしれない。 -
三成は言う。
「豊臣への忠節はあれど、天下の大義のために戦う」と。「和讒者(わざんもの)」として嫌われ
みなから疎んじられたのは
日の本の行く末を定めるため三成が演じたものか。
昨年の大河ドラマで三成を演じた山本耕史さんのお姿がチラッと頭をよぎる。
細部に渡り、すごく丁寧に書かれているので
戦のシーンを思い描きながら、一気に読み進めることができた。
おもしろく読了。 -
おさらい真田丸的な。
秀吉生きてる間は憎まれ役でよかったけど、
それが裏目に出まくった治部様ですな。
ここの刑部様は体育会系。 -
石田治部少輔三成とは何者だったのか?
大河ドラマ 真田丸でも、強引な政権運営が目につく石田三成。
彼は何を考えていたのだろうか?
関ヶ原の戦いにおいて、西軍 豊臣方を率いで戦い、破れて処刑された。
豊臣方北条攻めの際にも、のぼうの城 忍城攻略に失敗した戦下手。
徳川家康が我が国を統一した以降の歴史では、良いとこ無しの武将として記憶されている石田治部少輔三成。
しかし、豊臣秀吉の家臣としては政権運営の要として、名だたる武将もバッサバッサと仕置きしていく姿が目につく。
いったい、石田三成はなぜそこまで権力を握ることができたのだろうか?
また、秀吉は彼に何を望んだのだろうか?
家康天下統一の前に、そのグランドデザインを描いたともいえる秀吉。
その政の中心にあった治部少輔の姿を丹念に描いた本作品を読むと、兵站を考えずに突き進んできた日本の軍隊、そして目先の利益しか考えない今の政治家、企業家の中に、石田三成のようにビシッと将来を見据え、自らを貶めてでも目標に向かって邁進する武将がいればなぁと思わざるを得ない。
真田丸で石田三成の印象が強い今、読むべき一冊だと思います。