尻尾と心臓

著者 :
  • 講談社
2.76
  • (1)
  • (3)
  • (8)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 94
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062200523

作品紹介・あらすじ

回り道をしなければ、見えないことがある。仕事にも、人生にも。――

未知の経験を求めて経営コンサルタントから転職した笹島彩夏は、社命を帯びて子会社に出向してきた乾紀実彦とともに、新しい営業補助システムの開発に携わる。しかし強烈な個性を持つ社長の岩佐が支配する子会社の中で、余所者の二人は周囲からの反発と見えない壁に翻弄されて……。「会社」という闇の中で、二人が見出したものとは?
読売賞作家が小説ならではのアプローチで現代の「仕事」の意味を問う傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 九州の食品会社から東京の子会社に出向してきた乾と外資系コンサル出身のデキる女性、笹島がコンビを組んで、営業アシストツール「セルアシ」の開発に取り組むお仕事小説。

    よくあるサクセスお仕事痛快モノかと思って読み進むとそんな単純なお話ではなく、舞台となる会社「カキヤ」も気難しい社長も含めてかなり特殊で、この2人の仕事もうまくいったかと思うと壁にぶつかったり。しかもこの2人もお互いに信頼しあっているわけでもなく、いまいちかみ合っていない。

    とにかくとってもリアルです。その中で、最後近くで笹島が自分の母親とのエピソードと思い合わせ、仕事にはその人だけの人格、リアリティーが顕れると気づくあたりがテーマなのでしょう。

    どんな仕事であってもそれは「自分を表現できる」場、たとえ努力がすべて報われるとは限らなくても・・・。同じ会社員として少し勇気をもらえる気がしました。

  • 本社・子会社・派遣・下請け・関連企業と立場がいろいろな人間が入り組んで一つのプロジェクトを進めようとする。
    本社は九州で子会社が関東と言うところがもう転倒していてややこしい。もともとは食品問屋だが今開発している商品は品物ではなくネットサービスだ。

    話しの進み方も終わり方ももやもやしていて池井戸小説のようにスカッとするところはない。おそらくこちらの方がよりリアルであろう。

  • とてもとてもリアルな仕事小説。
    身につまされる気持ちで読んだ。
    怖い社長は魅力的。これもリアル。

  • 尻尾って何なのか、心臓って何なのか、わからなかった。乾と柿谷と来ればセレッソ大阪で、どこかにオマージュが隠れているのかと思ったけど、それも見つけられなかった。乾と笹島が微妙な立場でプロジェクトを成功させなければならない理不尽は、他人ごとではない。安藤課長から日報フォーマットをもらうだけのことになぜこんなに時間や労力を使い、気持をすり減らさなければならないのだろう。「そういうことを含めて仕事」みたいに言う人もいるし、実際そうなんだろう。何をしたくて、何をするべきかがはっきりしていれば最短、最速で辿り着くことを考えたほうがいいんじゃないのかな。これまでの会社員生活を根性論でやり切ってきたほうだけど、働き方改革の中では無駄な努力になりかねない。カキヤやインナー・パスポートの仕事ぶりは、自分に置き換えてしまって楽しめなかった。オイラもそんな風だなぁなんて。

  • 80ストーリーは良く練られているけど、結局主人公が誰で結末が何か良くわからん!

  • 九州に本社がある会社から東京の子会社に出向
    営業改善システムを導入する新規事業部に配属
    子会社の社長は本社の言いなりにならない
    コンサル会社かた転職してきた女
    結局、採用されたかどうか不明
    コンサル女にはマスター男がいる

  •  私は働くことは好きではない。誰だってそうだろうが。しかし、仕事には好ましい面がある。自分自身を見つけるチャンスがあることだ。それは、他人には決して分からない、他の誰のものでもない、自分自身のリアリティーだ。他人には単に外見しか知らないから、本当のところ、それが何を意味するのか分からないものだ。(p.302)

  • 会社員小説というジャンルらしい。
    外資のコンサルから、国内企業に転職した女性と、その会社に本社から出向になった男性を中心に、会社での業務を中心に話が進められる。

    同じような経験を、実体験として持っているだけに、まぁ、そんなもんだよねとつらつら読んでいく。
    途中、自分の経験ではありえないことも出てくるが、まぁ、会社によってはあるかもねと通り過ぎる。
    そして、話は終わらない。
    企業は継続していくのが使命の一つなので、いい企業は終わらない。そして、きっちりけじめをつけないのも、日本的企業の体質ではあるので、本書も終わらない....
    うーむ。

  • 企業小説?らしいけど、よくわからないまま読みました。なかなか読み進まなく、苦労しましたが、最期に彼、彼女の人としての成長がみれて、読んで良かったと思いました。人生何が、何をもたらしてくれるのなんてわからないもんですね!  
    一般企業って働くの憧れありますけど、生半可ではダメ(当たり前だけど)ですね。

  • 会社。0718K

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

伊井直行(いいなおゆき)
1953年、宮崎県生まれ。83年「草のかんむり」で群像新人文学賞、89年『さして重要でない一日』で野間文芸新人賞、94年『進化の時計』で平林たい子文学賞、2001年『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞。他の著書に『お母さんの恋人』『青猫家族輾転録』『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』『ポケットの中のレワニワ』『岩崎彌太郎「会社」の創造』『会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって』などがある。

「2016年 『尻尾と心臓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

尻尾と心臓のその他の作品

尻尾と心臓 Kindle版 尻尾と心臓 伊井直行

伊井直行の作品

尻尾と心臓を本棚に登録しているひと

ツイートする